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千年続く誠意「貧女の一燈」

上野の東京国立博物館で開催されていた「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」を観てきた。来場者がひと月経たぬ内に10万人を超えたことを新聞が報じていた通り、果たして多くの人で館内が溢(あふ)れていた。御大師さん、弘法大師、幾つもの名を持つ空海は日本各地に数多(あまた)の伝承を残しているが、改めてその人気の程に舌を巻いた。日本史上、特異な存在の一人といって良いであろう。

空海が開いた高野山もまた特異な場所のように思われる。未だ訪ねたことのない読者がいたら、是非訪ねてみてはどうだろうか。御廟(ごびょう)、奥の院、壇上伽藍(がらん)、見所は多いが、燈籠堂に思い入れがある。それは本学の恩師に教えて頂いた話が心に残っているためだ。僭越(せんえつ)ながらそれを紹介したい。高野山にある燈籠堂には万燈(まんどう)が輝いているが、その中に千年近く続くと言われる不滅の火、貧女(ひんにょ)の一燈がある。ある貧しい娘が菩提(ぼだい)を弔おうとしたが、先立つものがないので自らの髪を切って売り、小さな燈明(とうみょう)を高野山に献じたことによる火で、小さくとも万燈に劣らず燃え続けている。

恩師は、この一燈の様に、目立たないことでも誠意をこめて仕事をしなさい、真心は人の心に伝わるから大切にする様に、ということを教えて下さった。大切なことだと今でも胸に留めている。そんな教えを改めて思い出しながら、特別展での一時を過ごした。混雑していたが、素晴らしい展示を観られた良い時間であった。もうひとつ紹介したいことがある。本学は、キャンパスメンバーズという制度に加入していて、こうした博物館や美術館の展示を無料もしくは割引で観ることができる。学生証を持って、是非いろいろ訪ねてみてはどうだろうか。

(M.K.)

第1050回

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