Waseda Weekly早稲田ウィークリー

News

ニュース

キングオブスポーツ「ヨット」、男女混合の頭脳戦、早大が大学日本一を奪還

「全体が認められるという意味でも、総合優勝を目指します」

基幹理工学部 4年 秦 和也(はた・かずや)

昨年8月31日~9月2日の全日本個人選手権にて。秦さん(左)とペアを組むのは西村宗至朗さん(社会科学部2年)

海を訪れた際、帆に風を受けて疾走するヨットを見たことがあるでしょう。ヨットレースは体力や技術力はもちろん、風を読みながら操縦する戦略性も重要で、人間の持つ能力全てを駆使することから「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれています。昨年11月に開催された「第83回全日本学生ヨット選手権大会(全日本インカレ)」(※)で総合優勝を果たした早稲田大学ヨット部。同大会に470級のクルーとして出場し、現在主将を務める秦和也さん(基幹理工学部4年)に大会のことや今年の目標など、話を聞きました。

(※)470級〔3枚のセール(帆)を用いるためスピードが出る〕とスナイプ級(艇が重くスピードが出にくいため戦略がより重要)があり、1チームにつき各クラス3艇が出場、11レースずつ行う。2人乗りの小型ヨットを使用。乗組員の役割は、メインセールを操り舵(かじ)を取る「スキッパー」と、体全体を使ってバランスを取る「クルー」。レースでは出場艇が同時にスタートしブイ(浮標)を回って着順を競う。総合順位は全レースの成績の合計で決定する。

――ヨットはいつから始めましたか?

中学まで水球をしていましたが、高校では新しいことに挑戦しようと考える中でヨット部の存在を知りました。ヨットは小学生の時に乗せてもらったことがあったのと、オリンピックのレース中継をネットで見た程度で全くの初心者でしたが、身体的な面だけでなく、頭脳戦でもあるところに魅力を感じました。

東京でヨット部がある高校は3校で、自宅から通える場所にあるのは早稲田大学高等学院のみでしたが、ここなら大学卒業までできると思い、受験しました。高校ではコーチがおらず自分たちで練習メニューを考えるような環境で、結果は振るわず国体にもインターハイにも出場できませんでした。都大会は優勝しましたが出場校は3校でしたし、早慶戦でも3年連続準優勝でした(苦笑)。それでも高校入学時点で7年間やると決めていたのと、高校で活躍できなかった分リベンジしたいという気持ちが強かったので大学でもヨット部に入りました。

――普段はどのように練習しているのでしょうか。

平日は全体練習がなく、トレーニングなど課題を個々にこなします。海に出るのは週末の合宿のときです。合宿所が葉山と八景島(神奈川県)にあり、春休みなどの長期休暇には週6日合宿で1日休みという生活を2カ月ほど続けます。ですので、年間で150日間くらいは合宿しています。

ヨットの操縦は基本動作があり、ある程度のレベルまで達するとそこでの差はつきにくく、頭脳戦の側面が強くなります。そのため練習後に1時間から1時間半ほどミーティングをし、練習やレース内容を振り返りながら知識や経験を蓄えていきます。

――ヨット競技に馴染(なじ)みのない方も多いと思いますが、特徴や魅力について教えてください。

競技の特徴としては男女混合が挙げられます。女子レースは女子しか出場できませんが、それ以外のレースは男女どんな組み合わせでも構いません。強風の場合は男子の方が筋力的・体格的に有利ですが、そうでなければ遜色はなく、成績トップが女子になることもあります。

自然が相手なので毎日のコンディションが全然違う分、飽きることがありません。ヨットからの景色で四季を感じることもできます。冬は雪、春は桜、今の時期は新緑、そして夏は海岸がにぎやかになり、浮輪やビーチボールが流れてくることもあります(笑)。一方で水のスポーツは危険と隣り合わせです。救命胴衣を着用するので落ちても溺れることはないですし、レスキュー艇が練習でも試合でも付きますが、主将になってから大事故につながる危険性は一層意識するようになりました。

5月に開催された、関東学生ヨット春季選手権大会(春季インカレ)のスナイプ級レース(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――昨年11月の「第83回全日本学生ヨット選手権大会(全日本インカレ)」で総合優勝しましたが、当時の心境を教えてください。

ほっとしたのが一番です。その前年は、(社会人も出場する)全日本選手権のチャンピオンが2人いる、早稲田史上最強とも言える布陣でレースに臨んだものの、風が弱く潮の流れが強いという不安定な状況の中で思うような戦いができず4連覇を逃してしまいました。この負けによって、そこから1年間はただ速いだけでなく、どんな状況にも対応できる強いチームになろう、というのを合言葉に練習しました。それが総合優勝という結果につながって良かったです。

昨年の全日本インカレにて全員でWポーズ。秦さんは2列目の左端(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――早稲田大学のチームとしての強みについて教えてください。優勝するということは経験者が多いのでしょうか?

早稲田にはさまざまなバックグラウンドの人たちがいます。入部を経験者や推薦合格者に制限する大学もある中で、早稲田は経験者だけでなく、サッカーやボートなど他競技の出身など、ヨット未経験者も入部してきます。現在の4年生も半分以上が初心者でした。最初は差もありますが、本人の努力次第で4年生になる頃にはほぼ対等の力が付きます。メンバー構成をヨットだけをしてきた人にすると、どんどん視野が狭くなり柔軟性がなくなってしまいますが、多様な人たちがいることで新しい意見やアイデアが出て、チームが活性化します。

――学業と部活の両立は大変そうなイメージがありますが、学生生活はどうですか?

小さい頃から飛行機が好きだったので、多忙になるのを承知で基幹理工学部に進学しました。飛行機が揚力で飛ぶという原理は、ヨットが進む原理と同じなんです。だから授業での学びがヨットの知識につながることもあって面白いです。

平日に全体練習がない分、他の部活に比べれば学業に集中しやすいと思いますが、月曜日にレポート提出やテストがあると土日が大変で、合宿所の消灯後や早朝にレポートをこなしたり勉強したりしています。遠征中に実験実習があったときは、遠征先から朝イチで大学へ行き、実習後に再び戻って合流したこともありました。苦労もありますが、整った環境にありがたみを感じながらヨットに乗っています。

(写真左)研究室での様子。設計図の確認や論文を読んでいる
(写真右)航空機のエンジンなどに使われる、軸流圧縮機の実験

――5月に行われた「関東学生ヨット春季選手権大会(春季インカレ)」は総合準優勝という結果でしたが、今シーズンの目標を教えてください。

もちろん勝ちたかったですが、初出場の下級生がいるなど、昨年の全日本インカレ優勝からだいぶメンバーが替わったことを考えると、悪くはない結果でした。オリンピック選考会のため海外遠征中だったり、けがで出られないメンバーもいたので、まだ余力はあると感じています。

チームとしては秋の全日本インカレでの総合優勝、2連覇が1番の目標です。40人ほどいる部員の中でレースに出場できるのは12人。でも優勝するにはその12人だけでなく全員の力が必要で、全体が認められるという意味でも総合優勝を目指します。

個人としては、主将になったことで「自分」よりも「チーム」を主語とする思考になりました。ただ、そこで自分の成長を止めてしまうと選手として魅力がなくなると思うので、引退の日まで成長し続けられる選手でありたいです。

春季インカレの470級レース(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

第731回

【プロフィール】
東京都出身。早稲田大学高等学院卒業。高校のヨット部でも主将を務めていた。慶應義塾大学のヨット部主将は高校時代からのライバルだが「慶應がいるから早稲田も強くなれる」と語る。在籍する基幹理工学部機械科学航空学科では太田研究室(太田有理工学術院教授)に所属し、大手重工メーカーとの共同研究で航空エンジン内部の空気の流れの解析・実験を行っている。学部卒業後は大学院へ進学予定で、将来は航空関連企業で飛行機の設計や開発に携わることが夢。趣味は早稲田周辺の喫茶店巡りで「cafe GOTO」によく行くそう。ヨット部Webサイト:https://wasedayacht.net/

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる