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授業に託すこと

授業で扱うテーマは、できるだけ時事性に富んでいたり、「我がこと」として考えやすいものの方がよい。「学問に“我がこと”から切り離せるものなどない!」と学生を喝破したい気持ちもなくはないが、間口は広い方がよい。ほとんどの学生が、専門の研究者の道を選ばない。むしろ社会のありとあらゆる領域へと巣立っていく早稲田の学生の未来を喜ばしく思い、受講生諸氏に何を考えてもらい、何を「託す」かを自覚したい。

授業規模によって、どうしても扱えないテーマ、掘り下げきれないテーマがある。例えば、「心の傷」に関するものは大規模授業では躊躇(ちゅうちょ)が生じる。受講生の人となりをほとんど知らない中で、その話がどのように受け止められるかを予測しきれない。大きな傷をもちながら、その手当てもなく、日々を耐え忍び、受講している者もいる。人に接近することは、親しみを与えることであり、脅威を与えることでもある。親しみやすい授業、ヴィヴィッドな情報がいつもよいとは限らない。

ウェルテル効果のように、「不適切」な、しかしある人にとっては親和性が生じるかもしれない情報を提供してしまうリスクもある。情報をどのように受け止めたか、そこで何を考えたか、フィードバックや対話によるフォローが難しい状況で知識だけの提供はすべきではないだろう。

私が授業で扱えていない、しかし扱わねばならないテーマに「津久井やまゆり園」の殺傷事件がある。まずは少人数クラスから、このテーマを授業内でハンドリングできることが目下、私の教師としての到達課題である。

(T)

第1047回

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