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小市民劇場 × いいへんじ『夏眠』

2015年4月30日、早稲田キャンパス近くの南門通り商店街にグランドオープンした「早稲田小劇場どらま館」。これまで多くの団体がその舞台を彩ってきました。早稲田演劇の今をお伝えすべく、公演レビューをお届けします。

【早稲田演劇の今】早稲田小劇場どらま館レビューVol. 9

2018年5月11日(金)~14日(月)

小市民劇場(公認サークル) × いいへんじ『夏眠』(かみん)

撮影:月館森(以下全て)

本作品は、舞台上だけで完結する勧善懲悪なアクションや抱腹絶倒のコメディーではありません。これらと同じように舞台上に切り出された時間を描いた物語ではありますが、その物語の後にはどことない懐かしさやゆるやかな寂寥感(せきりょうかん)が残され、それは共に私たちの日常生活につながっているかのようにさえ思わせる作品でした。

まず、注目したいのが学生時代の夏休みという時間設定です。夏休みは、誰もが体験した時間であり、毎日通う学校とは異なる非日常的な時間でしょう。しかし、夏休み初日のあれもしたい、これもしたいというワクワクする気持ちもあれば、遊びつくしてゴロゴロしながら終わっていない宿題にも手がつかない怠惰な気持ちもあります。

本作品では、そんな怠惰な気持ちに飲み込まれて現実から逃避し、眠りに入ってしまう人もいれば、新たな現実を求めて学校という日常に戻ろうとする人もいるという対比のように描かれていますが、自分の記憶を思い返してみればどちらも体験したことのある懐かしい夏休みだったように思えました。

次に注目したいのが、登場人物の2人の会話がかみ合わなくなるたびに、舞台上に投影される言葉〔台詞(せりふ)〕です。これを単純にその場面を強調する演出表現と捉えるだけでなく、映像による視覚、演者の台詞による聴覚、さらに舞台上では「ニュアンス」という言葉で語られる、言外にあるものを察するということを加えて比較してみるとどうでしょうか。この三つは同じことを言っているつもりでも、その表現を受け取る側によって異なり、それを登場人物がどのように共有していくかが繰り返し描かれていきます。こういった行為は私たちの普段の生活の中では、意識せずに行っていることですが、この無意識な行動を切り出して表現できるのも演劇の面白さでしょう。

本作品の全てが自分の記憶と重なり合うということはないでしょう。しかし、場面ごとに2人の登場人物を入れ替えながらつなげてみると、重なり合う部分が増えていくのではないでしょうか。その結果、自分の夏休みの記憶を懐かしんだり、もしかしたらあの時こういう選択をしていたらというような寂寥感が生まれたり、同じ作品を見ながらも観客次第で多様な楽しみ方のできる作品でした。

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