


※カフェフロハンの旧店名は「From Hand To Mouth」


こんにちは、2007年第二文学部卒のマンガ家・織田博子と申します。普段は、世界の家庭料理を現地の人と作って食べてマンガを描いています。そんな私に舞い込んだのが、早稲田大学の学生が創作した川柳をマンガに描くというお仕事。しかも、作品がこちらです。
「ワセメシの おかげで育つ 我がボディ」
これは運命でしかありません。私も、在学時代にワセメシにハマり、「わせたべ(早稲田食べ尽くし計画)」と称して、ワセメシを開拓していました。

うれしくなって早速、取材のために、久しぶりに高田馬場駅へ。学生時代、私は交通費を浮かせるために、いつも高田馬場駅から歩いて大学に通っていました。今回、取材するお店はどれも早稲田駅寄りなのですが、馬場歩きの風景は私にとって大学生活の一部だったこともあり、気が付いたら高田馬場駅で降りていました。
高田馬場駅から大学、そしてそれぞれのお店へ行く道すがら、昔と変わらない姿で今もあるお店、卒業後に開店した新しいお店、そして残念ながらなくなってしまったお店もたくさんあることを知りました。
でも、思い出のワセメシも、私の知らない新しいワセメシも、どことなく似ているんですね。
川柳のごとく、ワセメシは今も昔も「たっぷり大盛りにする愛情」「多様な希望に応えるサービス精神」「食を楽しくするエンタメ精神」の3点盛り。各店主のまるでわが子にそそがれるような学生への深い愛情も、変わっていませんでした。
- わせだの弁当屋
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「24時間同じおばちゃんが接客している」「肉が多すぎてフタが閉まらない」「昔はチェーン店だったんだけど、オリジナルメニューを増やしすぎてチェーンを追い出された」
そんなウソか本当か分からないようなエピソードを持つ“わせ弁”。卒業して13年がたち、あのおばちゃんはいなくなっていましたが、たたずまいは変わっていません。
久しぶりだったので、少し控えめに「早稲田弁当」をお願いしたら、後からやってきた学生さんたちは慣れた口調で「なすから弁当明太(めんたい)ご飯で」「しゅうから丼マシマシで」と注文。一気にタイムスリップしたような気分になりました。学生のリズミカルな掛け声も、普通盛りなのに容器からあふれんばかりの大盛りサイズなのも、何も変わっていなかったのです。
- 三品食堂
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昭和の老舗の雰囲気がただよう店内。著名人だけでなく、学生さんからも贈られた、愛あふれる寄せ書きが壁にびっしりと飾られている景色は、変わっていませんでしたね。寄せ書きは毎年更新されていて、今も愛されるお店であることが伝わってきます。
名物の「カツ牛めし(カツギュー)」に、「カツカレー」。今回は、迷ったらこれ! という、両方の名物がひと皿に盛られた「カツミックス(略してミックス)」を注文。三品食堂の“三品”とは、牛めし・カレー・トンカツのこと。つまり「ミックス」は、このお店のフルコースなわけです。三品食堂を訪れたら、まずはこれを注文するのがテッパンです。
久しぶりに食べたミックスはどれも変わらず、なつかしい味。中でも 牛めしは、その見た目とは異なりとても上品な味わいで、学生時代、足しげく通った、私の永遠のワセメシそのものでした。
Twitter:@sanpin_shokudo
- 麺爺
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2010年代を代表するワセメシ、というのでしょうか。私の学生時代にはなく、このお店のことを知らなかったのですが、現在、早稲田の街に3店舗も展開するという、すご腕の油そば屋なんですね。
入学当初、大学の守衛さんに道を聞いたら「メルシーの角を曲がって…」と説明され「メルシーって何!?」となったものですが、今はおそらく「麺爺の角を曲がって…」と言うのでしょうか。
実は今回、油そば初体験。また、久々のワセメシだったため、「食べ切れるか…」と不安になったのですが、これがまぁ、おいしかった! インパクトのある極太麺が、テーブルに置かれているポン酢でさわやかに「味変(あじへん)」します。ベースのおいしさもさることながら、結構な量でも味変を楽しみながら食べられるので完食。なぜかBGMがディズニーメドレーなのも、券売機の効果音がスーパーマリオなのも、エンタメ精神を感じられて、とても充実した時間を過ごすことができました。
Twitter:@menzy_abura

ワセメシを何年かぶりに堪能し、ちょっと思いました。
大切なものって、離れてみてからかけがえのなさに気付くもの。卒業してはや13年。在学中はずっとお世話になっていたワセメシを食べながら、「三品食堂のメニューを全制覇したい」「麺爺の味とトッピングの至高のマッチングを探求したい」と思っても、私にとって早稲田の街を毎日歩く日々は、遠い過去のこと。かなわない願いです。
でもあらためて感じた、「揚げ物多いな…」と思いながらもどれもおいしすぎてついつい完食してしまうワセメシの魔力。
おかげさまできっちりワガママボディに仕上がりましたが、おいしいものは、毎日食べたっていいじゃないですか。食べることは、この上ない幸せです。だから早稲田に通うすべての早大生に言いたい。
「幸せはすぐそこにあるよ」と。
今は、大学に通うことがままらない状況で大変かと思いますが、馬場子さんの言うとおり、今も昔も、早大生はワセメシに育てられる運命なのです!
1日でも早く、早大生とワセメシの幸せな日々が戻ってくることを願って...


川柳作者・馬場子
在学中の4年間、日々あらゆるダイエットに励んでいましたが、毎日のようにランチタイムにカロリー高めなワセメシを食べていたため、一向に痩せなかったことをネタにしました。
私が特に足しげく通ったのは、ル・カフェ・レトロと麺爺、ターリー屋。中でもル・カフェ・レトロ定番の「ケチャップオムライス」がお気に入りでした。しかも、毎回ケーキセットにして、しっかりデザートまで注文していたので、今思えばどれだけ食べていたのか。そんな魅惑的なワセメシに囲まれた大学生活はとても幸せで、おかげで痩せるどころか、むしろ入学時から5〜10kgほど太った…というオチもあります。
卒業してからは忙しくなり、早稲田へは一度も足を運んでいなかったのですが、織田さんのマンガを読んでとても懐かしくなり、ワセメシを久しぶりに食べに行きたくなりました。
同時に、このコロナ禍で閉店せざるをえないお店がたくさんある中、われらがワセメシのお店が心配です。私たちを日々支えてくれているワセメシを、卒業生も現役生も一丸となって守っていかなければ…! 皆さん、感染予防対策をしっかりして、食べに行きましょう!!
そして、織田さん、私が在学中に詠んだ川柳をもとに、こんなにすてきなマンガを描いていただき、ありがとうございました!

- 織田博子
食を旅するイラストレーター/マンガ家。
「世界家庭料理の旅」をテーマとして、ユーラシア大陸一周半旅行へ。世界のおばちゃんやおじちゃん、家庭料理を描く。現地の空気感あふれるイラストやマンガが特徴。
旅のコミックエッセイ「女一匹シベリア鉄道の旅」、「女一匹シルクロードの旅」、「女一匹冬のシベリア鉄道の旅」「女一匹冬のシベリア鉄道 特製余録」「北欧!自由気ままに子連れ旅」(イースト・プレス)
Twitter:@OdaHirokoIllust
Webサイト:http://www.odahiroko.skr.jp/編集:サムライト株式会社