「率直に考え、率直に伝える」を、社内でも面接でも重視しています
就職活動において、採用側はどのような人材を求め、学生のどこに注目しているのか? また、実際に入社した人は、会社に対してどのような感想を抱いているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。そこで今回は、キャリアセンターの学生キャリアボランティアであるSCV(※)が「アクセンチュア株式会社」の人事採用担当者と若手社員に、就職に関する疑問を伺いました。
近頃人気が高まっているコンサルティング(以下、コンサル)業界の中でも、特に多くの早大生が就職しているアクセンチュア。SCVの中村涼人さん(人間科学部4年)は、アクセンチュアには素直な対話を重要視する風土があることを知り、それが面接でも大切にされていると感じたようです。
(※)Student Career Volunteerの略。早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信などを担う学生ボランティア。
アクセンチュア株式会社
人事本部リクルーティング 新卒採用統括
福田 美穂(ふくだ・みほ)さん(2012年国際教養学部卒業)
ビジネスコンサルタント
鎌田 夏生(かまた・なつき)さん(2021年文化構想学部卒業)

(左から)中村さん、鎌田さん、福田さん。アクセンチュア東京オフィスにて
綿密なサポートの下、成長できる環境があります
中村:コンサル業界への人気が非常に高まっているのを感じますが、それをどう分析されているのか教えてください。また、御社の強みや仕事の特徴は何でしょうか?
福田さん:コンサル業界が人気である理由の一つとして、圧倒的な成長ができる環境が挙げられます。どの会社でも成長はできると思いますが、コンサル業界の特殊な点として、その道何十年の経営のプロであるお客さまに対し、課題を解決に導く提案をするため、高いレベルの仕事が要求されます。そのため、ビジネスパーソンとして生き抜くためのスキルを身に付けたいという方にとって、非常に魅力的に映っているのではないでしょうか。

一気通貫型の業務を通じ、お客さまに対しさまざまな提案を行う(資料提供:アクセンチュア)
その中でアクセンチュアの強みとして、キャリアの多様性が挙げられます。まず新卒は職種別に採用しており、自分のやりたい職種を選んで入社できます。その上で、入社後に関わるプロジェクトが多岐にわたるため、さまざまな専門性を構築できます。その後も、参画するプロジェクトだけでなく、職種や所属先の希望も出せるため、自らキャリアのかじ取りをしていくことになります。コンサル業界の中でも、アクセンチュアのキャリア選択の幅広さは突出しているように思います。
中村:職種別に採用しているということですが、学生は何を基準に職種を選べばいいのでしょうか。
福田さん:2パターンの学生さんがいらっしゃいます。まず、学生時代に培ってきた専門分野をそのまま生かしたいという方。例えば、「データサイエンティスト」や「AIアーキテクト」、「デザイン」などの職種は、学生時代に研究してきたり、一定の経験を積んできた方が応募されることが多いです。一方、特に専門性を持たない方に関しては、率直にご自身の興味、または今後の可能性を考えて職種を選んでいただければと思います。
入社した方の志向も人それぞれです。将来起業したい方もいれば、自分は中長期的に何をしたいのか、答えが出ていない方も実は多くいるんですよ。アクセンチュアの中で最も一般的な職種は、テクノロジーを武器に幅広いプロジェクトに参画する「ビジネスコンサルタント」ですが、ビジネスコンサルタントで経験を積んだのちに自分の得意分野を見いだす方もいます。また、一度選んだ職種は変えることもできるので、キャリアの入り口として興味がある分野を選んでいただければと思います。
中村:将来起業したいから入社する方もいるのですね。そのような退社前提での入社は可能なのでしょうか。
福田さん:よく驚かれるのですが、大丈夫です。アクセンチュアをご自身がやりたいことをかなえるためのプラットホームだと思って、どんどん活用してくださいとお伝えしています。私自身は中途入社なのですが、入社した初日、当時の社長がスピーチの中でそう話したのを聞いて衝撃を受けたのを覚えています。
もちろんアクセンチュアに合う方には長く働いてほしいとは思いますが、何か成し遂げたいことがあったり、こういう自分になりたい、こういう仕事をしたい、という思いを尊重する文化が根底にあります。ですので、一生を会社にささげる必要は全くなく、「ポジティブな卒業」という選択も受け入れられているイメージですね。そうした背景から、「卒業」後に再びアクセンチュアに戻ってくる社員も多数いますよ。
アクセンチュアを「卒業」した社員同士のネットワークも形成されている
中村:御社の企業風土を教えてください。また、新入社員へのサポート体制はどのようなものがありますか?
福田さん:アクセンチュアの企業風土として「Think straight, talk straight」、率直に考え、率直に伝えるという文化が根付いています。バックグラウンドや価値観が多様な社員がいる中、率直に考えたことを率直にぶつけ合うからこそ、お客さまや社会にとってベストな提案が生まれると思っています。率直に、とはいっても言い争うのではなく、それぞれの立場の意見をフラットに受け止め、建設的に議論することで、より良いものをつくっていこうという雰囲気があります。
入社後のトレーニングもしっかりしていますのでご安心ください。入社して数カ月間基礎を学んだ後、それぞれのプロジェクトに配属されますが、必ず直属の上司(スーパーバイザー)が付き、綿密なサポートを行います。
他にも「ピープルリード」という上司も社員一人一人に付いています。アクセンチュアでは一つのプロジェクトが終わるとそのメンバーは解散して、それぞれが別のプロジェクトに入ってしまいます。そこで、ピープルリードが担当社員の成長や貢献度、あるいは課題などを中長期的に見ていき、キャリアのアドバイスやフィードバックを行っています。定期的な面談だけではなくチャットなどでも気軽に話ができ、何でも相談できる存在です。
中村:今後の事業展開や会社の目指す姿などを教えてください。
福田さん:アクセンチュアには「テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現する」というミッションがあります。その中でも「360°バリュー」の提供を大切にしています。コンサルティングはお客さまの利益を追求してご提案するのが仕事ですが、財務的な利益だけではなく非財務的な指標も含めてご提案しています。例えば、人材育成や優れた顧客体験、サステナビリティの観点を取り入れるなど、お客さまである企業だけではなく、社会全体にとってより良い価値を創造していくことがこれからの主軸になっていくと考えています。
中村:その中でどのような人材を求めていますか。また、外資系企業である御社では高い語学力が求められるのでしょうか。
福田さん:多様な方にお越しいただきたいと思っています。以下の項目の1つでも当てはまる方は、ぜひ興味を持っていただきたいですね。

チャレンジ精神が旺盛な人から誠実な人まで、さまざまな人材が求められている(資料提供:アクセンチュア)
語学力に関しては、英語を得意としない学生さんも多数入社しています。ただ、入社後はやはり英語のブラッシュアップが大切になってきますね。英語ができるとプロジェクトやキャリアの選択肢がぐっと広がりますので、そこは頑張ろうと企業説明会ではお伝えしています。
中村:面接などで学生が注意するべきことは何でしょうか。また、印象に残る学生の特徴があれば教えてください。
福田さん:面接といえど会話であることを、ぜひ心にとどめていただきたいです。緊張のあまり、質問には答えず予め用意した答えを言ってしまったり、これを言い切らなくてはと焦るあまり、私たちの言葉を聞いていなかったりするのは非常にもったいない。逆に、会社側に聞きたいことがあればご質問いただいて構いません。面接はキャッチボールであるということを忘れずにコミュニケーションしてもらいたいですね。
また、自分の言葉で、自分の経験をお話しされている方は、面接でもすごく印象に残ります。どこかから借りてきたような言葉ではなく、自分の言葉で語っていると感じるとき、いいお話を聞けた、いいコミュニケーションができたと感じます。

若手社員の鎌田さんも、最終面接の冒頭で「面接はコミュニケーションの場だから、自分の思いをぶつけてほしい」と言われたことが印象的だったという
就職活動では、社会人経験がない中で働き先を決める難しい決断が求められますが、自分の思いに素直になることが大切です。企業側から選ばれるだけではなく、まずご自身が選ぶ立場であり、自分は本当にこの会社に行きたいのか、この進路を選ぶことが自分にとってベストなのか、とよく考えて決めてもらいたいと思います。
温かい人柄の社員が多くいるのも働きやすさの一つです
中村:鎌田さんが御社を志望した理由を教えてください。
鎌田さん:学生時代、キャリアを長期的に捉えることが難しかったのですが、選択肢が多すぎるからこそ、広い世界を見て、多くの人と知り合いたいと思っていたんです。そんな中、アクセンチュアの企業説明会で業務の幅広さや人材の多様性を知りました。何か本当にやりたいことを見つけたときに、それを実行できる自分でいたいと思い、充実した環境でそのようなスキルを身に付けられると感じたアクセンチュアを選びました。
また、自分は理不尽なことが大嫌い! だからこそ、アクセンチュアの「Think straight, talk straight」の文化が自分の肌に合うと感じました。
中村:入社前の想定と違ったことはありましたか。
鎌田さん:外資コンサルというと個人プレーで業務を進めるイメージがありましたが、面倒見が良い方ばかりで、良い意味でのギャップがありました。大変なときは助けてくれますし、普段からしっかりとサポートしてもらえるので、働きやすいです。
中村:現在の仕事内容を教えてください。
鎌田さん:2021年8月に入社(※)し、2カ月半の研修を受けた後、同年11月からクラウド型システムの導入案件に携わっています。お客さまの経営管理状況をシステム化して分析し、業務改善を提案する仕事です。私は文化構想学部出身なので、プログラミングには全く触れたことがなくて不安でしたが、周りのサポートのおかげで何とかキャッチアップできました。
(※)アクセンチュアでは、4~8月に分散して新入社員が入社している。
中村:どのようなキャリアプランを描かれていますか。
鎌田さん:住みたい場所を軸に、そこに住むためにはどのような仕事をすればいいのかがキャリア選択の基準になっています。リモートワークが中心ということもあり、就職してから江ノ島に引っ越したのですが、好きな場所で好きな人に囲まれて暮らすのっていいなと実感しています。
もう一つのキャリア形成の基準としているのが、やりたいことをベースにすること。もともとローカルビジネスや地方創生に興味があり、大学卒業後から入社前まで岩手県にあるNPOで町づくりに関わっていました。ですので、アクセンチュアでも地方での仕事に携われたらと考えています。

福島県会津若松市にある、アクセンチュア・イノベーションセンター福島では、デジタル技術の実証実験を行っている。鎌田さんも興味がある所属先の一つだそう
取材・文:小堀 芙由子(2009年政治経済学部卒業)
撮影:布川 航太
面接ではありのままの自分を見せるのが大切
人間科学部 4年 中村 涼人(なかむら・りょうと)
アクセンチュアは、社員一人一人の向上心が非常に強く、「Think straight, talk straight」の下、意見をぶつけ合いながら最適なソリューションを導き出していく企業でした。そのように意見を率直に言い合える風土を魅力的に感じました。
また、福田さんの「面接は会話のキャッチボール。ありのままに話してくれたら」という言葉が非常に心に残りました。実際に、鎌田さんは最終面接の場で、リラックスしながら対話することを求められたといいます。面接の場となると、どうしても力が入ってしまいます。企業側も、ありのままの学生と「対話」したいと思うので、これから就職活動を行う方には、大前提として心にとどめておくべき言葉だと思いました。
今回、早大生から人気のアクセンチュアのお話を伺うことができたのは、就職活動を終えている自分にとっても貴重な経験となりました。就職することをゴールとせず、常に自分の成長を考えながら今後働きたいと思います。
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