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特集

【地方公務員 所沢市役所編】人事担当者に聞く「光る個性を大きな力に」

「飾らない素の表情」を見たい

就職活動において、採用側は学生のどこに注目しているのか? 多くの学生が気になるところです。今回は、キャリアセンターの学生キャリアボランティア(SCV※)が、所沢市役所の人事担当者へ就職活動における素朴な疑問を聞いてきました。

所沢市は埼玉県南西部に位置する人口約34万人の市で、2020年に市制施行70周年を迎えました。所沢キャンパスがあるため、所沢に暮らす学生も多いのでは? そんな所沢市を支える市役所職員は市民と接する機会が多く、一番身近な公務員と言っても過言ではありません。SCVの松川来未さん(文学部2年)はインタビューを通して、学生時代に経験を積むことの大切さを実感したようです。

※SCV:Student Career Volunteerの略。早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信などを担う学生ボランティア

所沢市役所

総務部職員課 人事担当(採用担当) 松永 朋子さん
総務部職員課 人事担当(採用担当) 山田 龍さん
総務部職員課 厚生担当 大村 文さん(2020年 人間科学部卒業)

(左から)松永さん、大村さん、松川さん、山田さん(所沢市役所本庁舎)

※インタビューは、新型コロナウイルス感染症の予防を徹底した上で行いました。

インタビュアー:SCV 松川 来未(まつかわ・くるみ、文学部2年)

市役所の職員は地方公務員という立場ですが、どのような学生や人材を求めていますか?

松永さん 所沢市における採用活動のキーワードは、「プライド」と「チームワーク」です。公務員は市民のためにあるという「プライド」を持ち、職員同士だけでなく市民や関係企業・団体の方々と「チームワーク」を築ける人が、この所沢市をより良い街にしていくために必要だと思っています。それに加え、2020年度からは「カラフル」というテーマを掲げました。チームワークや組織力をさらに高めるために、一人一人の強みや個性といった多様性を尊重したいという思いを込めたものです。

山田さん 「プライド」や「チームワーク」といった絶対的な適性を根底に持ちながら、それとは別の、光る個性が一つでもある人をどんな職種においても積極的に受け入れたいですね。個人に焦点を絞ると、できることとできないことがどうしてもありますが、市役所には職員がたくさんいるので、全員合わせてできないことはほとんどないと思います。さまざまなベクトルで努力してきた人が集まり、市役所全体がパワーアップしていくのが理想です。

今年度2回目の採用試験募集案内の表紙。所沢市では基本的に年2回、春と秋に採用試験を行っている

選考ではどのような学生が印象に残りますか? その「光る個性」をどう見極めているのか教えてください。

松永さん 自身の体験談を話したときに、「ああ、この人はこういう風に努力してきたんだな」と具体的にイメージできる話だと、人として強く印象に残ります。どの経験が良いということではなく、また体験自体にはそこまでのインパクトがなくても、目的を持って努力してきた経験の中で、どんなことを得て、どんなことを大切にしてきたのか、胸を張って、楽しそうに話してくれると、その人の個性として伝わってきて印象に残りやすいと思います。強みや人柄が、映像として目に浮かぶような体験談を聞きたいです。一方で、話したいことが多すぎてまとまりがない人もいて、そうするとどうしても印象をつかみづらくなってしまいます。面接の場で緊張することを見据えて、ある程度は面接対策をする必要があるのかなと思いますね。

山田さん 面接で重視していることが二つあります。一つが、志望動機などのあらかじめ聞かれるであろうと想定している事柄に対して、どう気持ちを込めて答えられるかという点。これは練習によってある程度作り込むことも可能かもしれません。なのでもう一つの点として、さまざまな角度からの質問をして「飾らない素の表情」を引き出すことに注力しています。うまく話せなかった場合でも、その中から「この人は素直そうだな」とか「明るいな」といった特徴が見えてくることがあります。そうした個性を見逃さないようにしていますね。

大村さんは新卒入庁1年目

大村さん 昨年、私が実際に選考を受けて思ったのは、面接でうその話をしたり、よく見せようと話を誇張したりするとバレてしまうのだろうなということです。入庁してから同期と話していると、「全然うまく話せなかったのになんで通ったんだろう」と疑問に思っていた人が意外といました。飾らずに自分のありのままを伝えられた人が認められたのだと思いますし、それは公務員として必要な「誠実性」にもつながると感じます。

では、仕事の特徴や組織風土について教えてください。

山田さん 私自身、所沢市役所に入庁する前後で大きく印象が変わったのは、職員みんながとても楽しそうに仕事をしていることでした。市役所の仕事は黙々とデスクワークをするイメージが強かったのですが、実際は人と話しながら進めていくことが思った以上に多く、活発に意見を交換し合う環境がとてもいいなと感じています。

たしかに、公務員の仕事は、民間企業の営業職のようにノルマに追われることはないというイメージから、過度の負担が少なく、それが和気あいあいとした雰囲気につながっていると感じる部分はあります。それでも、限られた時間の中で膨大な量の業務をこなさないといけなかったり、災害時などは家庭より優先して業務にあたらないといけなかったりと、市民の期待や責任の重さを感じながら日々仕事に励んでいます。

松永さん 上司が若い職員の意見を積極的に聞いてくれる組織風土はありますね。そういうところからもコミュニケーションが活性化されているのかなと感じます。基本的に公務員というのは何かに特化したスペシャリストではありません。すなわち、「自分一人だけでは仕事は進まないんだ」という認識を持った上で、周りと積極的に情報共有していくことが重要です。共有することでより良い仕事になっていく、そうしたマインドは文化としてしっかり受け継がれていますし、働きやすい環境というのはそうした根本的な部分からきているのだと思います。

所沢市役所のWebサイトで「未来(あす)を見つめ、今を動く!」という市長のメッセージを拝見しました。普段どういった意識で仕事をされているのでしょうか。

松永さん 例えば、来年の職員採用を行うにあたり、もしコロナがひどい状況になったら採用試験はできるだろうかとか、担当業務に関してあらゆる想定をして、今後こういうことがあったらどう対応しようとか、そういった準備や意識は常に持ちながら仕事をしていますね。世の中で起きていることが自分の業務にどんな影響があるのか、それに対して今できることは何か、その個々の意識の集約が、この街を良くしていくのだと思います。市政全体の街づくりの観点でいうと、個人ではなく組織として動いていくものなので、共通の大きな目標に向かってそれぞれが未来を見据えて業務を行っていく形になると思います。一人一人の働きがチームワークによって結び付くことで、市の大きな発展につながっていくはずです。

山田さん 今の採用担当という仕事をしていると、まさに将来を見据えた仕事だと感じます。新卒の人が入庁後すぐに第一線で活躍できるというわけではなく、そこはむしろ、その人の10年後や20年後を見据えて採用しています。例えば、この人は将来いい管理職になりそうな人柄だなと思って採用したり、その人がいる部署は活発な雰囲気で仕事ができそうだなと考えたり、この人は能力が高いからきっと後輩を教育して実力がある組織をつくってくれるだろうなとイメージしたり。その積み重ねが未来の所沢市をつくっていくのだと思います。

大村さん 私の場合、人事担当の方たちと同じ課で働いていることもあり、同期の相談に乗ったり、そこで出た悩みを人事の方に話すこともあります。長いスパンで見たときに、みんなが長く働けるようなよい環境づくりができればいいなと思っていますね。

所沢市採用PR動画の1シーン(左から松永さん、山田さん)

実際に働き始めてからアンマッチに気付くといったことがないようにするには、就職活動でどういった観点を持てばいいのでしょうか。

大村さん 市役所は部署によって仕事内容が大きく異なるので、もしかしたら「こんな仕事をするつもりじゃなかった」と思う人もいるかもしれません。しかし全ての業務には「市民のために」という共通した目標があります。就職活動をする上で「自分が何をやりたいか」はもちろん大事ですが、「誰のために働きたいか」というもう少し根底にある意識についても考えることができると、ギャップに苦しまなくて済むかもしれません。

山田さん 私は、民間企業と公務員を比べてみて、成績によって給料が変わるなど同じ組織の中で大きく優劣が出るのが嫌だなと思い、公務員を目指した部分もありました。ただ実際に働いてみると、努力や成果が給料など目に見える形に直接反映されないことに苦しむこともあります。それでも、民間企業から転職されてきた方や転職を希望して受験してくださる方がたくさんいます。それは、自分の住む街を良くしたい、より働きやすい環境で働きたい、やりがいを持って働きたいなど、仕事へ求めることは人それぞれ異なり、ライフステージによっても変わってくるからではないでしょうか。ただ、どんな仕事であれ、自分が働く上で何を一番重要視するのか、ということをしっかり考えておく必要はあると思います。それが「市民のため」という思いであったら公務員という選択肢になるのだと思います。

最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。

松永さん 勉強は、気持ちさえあれば社会人になってからでもできると思っています。逆に、学生時代にしかできないこともたくさんあると思うので、そういった体験を通して視野を広げていくことが、後々いろんなことに役立つと思っています。だからぜひ、自分がやりたいと感じたことに、一歩踏み出してほしいですね。

山田さん 市役所の仕事は、自分の生きがいを感じながらさまざまな人と関わって市を良くしていく仕事なので、同じ志を持つ人はぜひ市役所職員を目指して頑張ってほしいですね。そして目指す先が所沢市役所であればうれしいです。

文=原航平
撮影=石垣星児

経験を積んで知見を得ることで魅力ある人間になりたい

今回のインタビューで最も印象的だったのは、所沢市役所で働く職員の方々は、一人一人の個性や強みを団結させ、その一つになった大きな力で市民を支えているということです。また、上司と部下のコミュニケーションを通じたつながりや、若い職員の意見にも積極的に耳を傾ける体制が整っている雰囲気をつかむことができました。「公務員は真面目で、面白い仕事が少ない」というイメージを持つ人が多いかもしれませんが、実際には良い雰囲気の中で、市民のために責任ある仕事を任されているという充実感を持って働いていることを、インタビューの中から感じ取れました。そのことからも、就職活動ではインターンシップ制度やOB・OG訪問の機会を利用し、事前に職場の雰囲気を知りたいと思いました。

また、勉強以外にもさまざまな体験や経験がある学生は、面接でも魅力的に映るという話もあり、経験を積むことの大切さを感じました。直接就職活動に役立つことだけでなく、いろいろな方の話を聞いたり、旅をしたり、自分でプロジェクト活動を行うなど、学生時代にしかできないことに積極的に取り組み、知見や考えを広めたり深めたりしたいです。

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