Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

中野の国際学生寮WISH 卒寮生が語る、社会に出てから生かせた経験

2014年3月に、東京都中野区に開設された早稲田大学国際学生寮「Waseda International Student House」(以下: WISH)。「Waseda Vision 150」が目指すグローバルリーダー育成の新たな拠点として、日本全国・世界各地から集まった日本人学生と留学生、約800名が共同生活を送っています。寮生は、独自の教育プログラム「Social Intelligenceプログラム」(以下:SIプログラム)への参加が義務付けられ、創造的課題解決力やコミュニケーション能力など、グローバル社会で活躍する力を養っています。ここで寮生の大学生活をサポートするのがRA(レジデント・アシスタント)。オープンから5年がたち、卒寮した先輩たちは活躍の場を社会へ移しています。今回はWISHでRAを務め、今年の春から社会人となったブラメルド真理さんと菊池勇希さんに、WISHでの思い出を伺いました。貴重な体験が今の仕事につながっているようです。

左からブラメルドさん、菊池さん

ブラメルド 真理(ぶらめるど・まり) 2015年4月よりRAとしてWISHに入寮し、先進理工学部を卒業する2017年3月まで活動。2019年3月に大学院先進理工学研究科共同原子力専攻修了。2019年4月より大手航空会社勤務。

菊池 勇希(きくち・ゆうき) 法学部に入学した2015年4月から2016年8月までWISHで寮生として過ごし、その後1年間の留学を経て、2017年9月よりRAとして再入寮。2019年3月に卒業するまで活動。2019年4月より独立行政法人勤務。

取材のため久々に訪れたWISHで偶然に再会したRAの後輩たちと(前列中央がブラメルドさん、後列右から2人目が菊池さん)

――WISHへの入寮と、RAになりたいと思ったきっかけを教えてください。

菊池

高校生の頃から、大学生になったら留学したいと思っていました。留学先では寮生活を考えていたので、せっかくなら事前に経験しておこうという気持ちでWISHへ入寮しました。確か、その当時ブラメルドさんがRAをされていました。

ブラメルド

お互いに顔は知っていましたが、WISHには800人以上の寮生がいますし、男女のフロアーが分かれていることもあって、なかなかお話しする機会はなかったですよね。

菊池

その後、2年次に1年間海外留学に行きました。私は早実(早稲田実業学校高等部)の卒業生なのですが、帰国して、後半の大学生活を考えたときに、これまでずっとお世話になった早稲田に何か恩返しをしたくてRAに応募しました。

ブラメルド

私はもともと民間の学生寮に住んでいて、3年次からRAとしてWISHに入寮しました。オーストラリアで生まれ育った私にとって、大学入学とともに一人で日本に来て生活するのはかなり大きなステップでした。私が経験したのと同じような孤独や苦労を感じている留学生をサポートしたいと思ったのが、RAになったきっかけです。

――RAとしてどのような活動をされていたのですか? WISHでの印象的なイベントなどあれば聞かせてください。

菊池

寮生のサポートや、イベントの運営などをしました。イベントの中では、今年2月に開催したFarewell Partyが印象に残っています。卒寮を祝うパーティーなのですが、中野サンプラザの1フロアを貸し切り、数百人の寮生や卒寮生が参加してくれました。半年ほど前から予算立てや大学側との交渉などの準備を行い、会場の装飾もRAが手作りしました。

中野サンプラザで開催したFarewell Partyの様子。(左)前列左から3人目が菊池さん、(右)前列左から4人目がブラメルドさん

ブラメルド

私が印象に残っているのは、入寮してすぐに実施したBBQ大会です。4月には300人ほどが入寮するのですが、みんなに声掛けをして、ほぼ全員が参加してくれました。場所探しから資金調達、野菜も全部用意して…。大変でしたが、初対面の日本人学生と留学生が打ち解けていた姿が印象的でした。また、入寮生を対象にした「フレッシュマンセミナー」も企画しました。異文化コミュニケーションの第一歩としてディスカッションをしたり、言葉の壁を越えてチーム対抗のゲームをしたりして、寮生との距離が一気に縮まったのを覚えています。

入寮したばかりの留学生と日本人学生が話をするきっかけとなったお台場でのBBQ大会

菊池

BBQとフレッシュマンセミナーは今でも続いていますよ。

ブラメルド

うれしいですね。

菊池

先輩たちが立ち上げてくれたイベントを、メンバーに合わせて改良しながら継続しています。寮生も定期的に入れ替わるので、アンケートなどで意見を取り入れています。より良いイベントにするために、夜遅くまで話し合ったこともありました。

(左)2015年6月に所沢キャンパスで開催したスポーツ大会(前列左がブラメルドさん)
(右)2016年7月の七夕イベントでは浴衣初体験の留学生も。RAが着付けを手伝った(前列左から2人目がブラメルドさん)

――RAをしていて大変だったことはありましたか?

菊池

夜中のトラブル対応は大変でしたね。

ブラメルド

あったね~!

菊池

寮には住み込みのハウスマスター(管理人)の方もいるのですが、日本語が分からない留学生の対応のために、夜中にRAが駆けつけることもありました。大学が対応しきれない部分をフォローするという意味では、大変でしたがやりがいもありましたね。

ブラメルド

24時間、RAとして生活をしていたことは大変でしたね。気持ちの切り替えをうまくするようにしていましたが、寮生からはいつトラブルや相談の連絡が来てもおかしくありません。みんなそれぞれ異なるバックグラウンドを持ち、それぞれの悩みを抱えています。そのことを理解し、彼女・彼らにできるだけ平等に接しなければいけない大変さもありました。

菊池

確かに、寮生との距離感をつかむのは難しいことでした。共有のキッチンで会ったら声掛けをしたり、一緒に料理を作って食べたり、日頃のコミュニケーションを大事にするようにしていましたね。

ブラメルド

共有スペースやイベントにあまり顔を出してくれない寮生に対して、WISHに入寮した目的や思いを引き出してあげるにはどうすればいいのか悩むこともありました。プライベートに踏み込み過ぎるのも良くないので、そこが難しいところでしたね。

——SIプログラムは受講だけでなく、運営もされていたのですよね。

(左)SIプログラム「Global Communication」の様子
(右)2019年6月に開催されたSIプログラム「お茶セミナー」

ブラメルド

私がRAをしていたときは運営のサポートをさせていただきました。その後、寮生の希望をカバーするために、RA主催のプログラムが始まったようです。

菊池

みんなが希望する企業やインターン先の先輩社員などを呼んで講演会を開いていました。SIプログラムは通常、英語か日本語のプログラムですが、日本と中国の学生がそれぞれの母国語を教え合って文化交流を行う、中国人RA主催のプログラムもありました。プログラムの内容は公募制で決まるので、WISHに入寮したら、興味のある分野で活躍する方たちを呼ぶこともできますよ(笑)。

日本語を学びたい中国人と、中国語を学びたい日本人をマッチングして文化交流をするSIプログラムの様子

――SIプログラムへの参加やRAとしての活動は、ご自身の就職に何か影響しましたか?

菊池

進路選択の視野が広がったと思います。入寮したばかりのときは、将来について漠然としか考えていなかったのですが、他学部の教授の講義や、さまざまな業界の方の講演を聞くことで、多くの発見がありました。また、プログラムでは日本人学生と留学生が一緒になってディスカッションやグループ発表を行っていたので、就職採用試験でのグループワークは自然とこなすことができましたね。

ブラメルド

私は、WISHで寮生と交流する中で、本当にいろいろなバックグラウンドや生き方があり、それぞれにストーリーがあると知ることができました。そして、自分がやりたいことは人と交流し、グローバルに活躍することだという思いが強くなりました。あるとき、航空会社の方がSIプログラムの講演にいらっしゃったんです。そこで、理系学部卒・院卒でも航空業界で活躍している人がたくさんいると聞き、先進理工学部に所属していた私でも目指せるのだと知りました。今は、このときにお話を聞いたグローバル企業に就職し、多国籍のお客さまに対し接客の仕事をしています。何が求められているか、どんな対応が必要かを見極める際に、RAとしての活動で培ったコミュニケーション力がとても役立っていると思います。

菊池

私も、WISHでの経験が今の仕事につながっていると思っています。現在、政府系機関職員として働いていますが、省庁や民間企業、諸外国との間に立ち、それぞれの利益につながるよう調整や橋渡しを行っています。大学と寮生の間に立ち、大学が目指す教育と寮生の生活の質の向上を実現するためのサポートを行うRAの役割は、今の仕事への思いと重なる部分がありますね。

――最後に、これからWISHへ入寮する学生や、RAを考えている早大生に向けて一言お願いします。

菊池

寮内では、ぜひ共有スペースを利用した交流やイベントに積極的に参加してほしいです。WISHには、自分にない経験や考えを持つ仲間がたくさんいます。仲間たちから多くのことを吸収していってほしいと思います。

ブラメルド

これはWISHに限ったことではないのですが、大学生活は何でもチャレンジできる期間です。一歩踏み出す勇気を持って、さまざまなことに挑戦してほしいです。そうすれば大学での4年間が大きく変わるはず。他の寮生に声を掛けてみたり、困ったときはRAや先輩、友達に相談しましょう。留学生がたくさんいる早稲田大学だからできること、国際学生寮WISHだからできることは何だろうと、考えてみてください。

取材・文:萩原 あとり
撮影:山口 貴弘

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