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特集

「話せる図書館」早大に誕生 読書も勉強も議論もはかどるCOZYな空間

3階コモンズ3(ブラウジング)は長時間の滞在・利用を想定し、ソファー・テーブル席を多数配置。会話可能な広いスペースに

早稲田大学中央図書館(早稲田キャンパス)の“開館以来の大改修”が一旦終了し、2019年4月1日、大規模なスペースでグループディスカッションや会話を可能とする世界でも珍しい「話せる図書館」として大きく生まれ変わりました。

「図書館は会話厳禁」という従来のイメージを大きく変える改修で、ラーニング・コモンズなどから成る会話可能な「Active Area」が大幅に拡充された一方、従来どおり会話禁止の「Quiet Area」、PCも使用不可の「Silent Area」、さらに一切の電子機器も使用不可の「Super Silent Area」が新設されるなど、用途別にエリアも再整理されました。

早稲田大学の「対話型、問題発見・解決型教育」を支える能動的環境と、従来の荘厳(そうごん)かつ静かで穏やかな環境が併存する新時代の図書館。より使いやすくなった中央図書館を有効活用するための方法について、早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)の文学部3年・我妻はな(あがつま・はな)さんと法学部2年・植田将暉(うえた・まさき)さんがゲイ・ローリー前副館長(2019年3月退任。法学学術院教授)に聞きました。

写真左:ゲイ・ローリー教授
写真右:植田将暉さん(左)、我妻はなさん(右)

我妻

ローリー先生の考える「中央図書館の一番の魅力」は何でしょうか?

ローリー

やはり「蔵書の数」ですね。私が日本に来て「与謝野晶子」について研究していた修士時代を振り返ると、当時通っていた大学には古い本の蔵書があまりなく、頻繁に国会図書館に行かなくてはなりませんでした。でも、早稲田に来てからは学内の図書館で用事が済んでしまうので、国会図書館に行く機会がほとんどなくなりました。古いものだけでなく雑誌も含めて豊富にありますから。


我妻

そんなすごい図書館だったんですか!? 知りませんでした・・・。

ローリー

それともう一つは「使いやすさ」です。以前、所属していた他の大学ではたくさんの図書館があったのですが、それぞれ開館時間が異なるんです。「あ、この本はあっちだったか」と思って行ってみたらもう閉まっていて来週まで開かない、というような経験がよくありました。その点、早稲田の図書館は検索性も優れていますし、中央図書館は平日22時閉館と、遅くまで利用できるのが本当に助かりますね。

2階にあるコモンズ2(ディスカッション)

我妻

充実した蔵書の中でも、特にこの分野に強いというのはありますか?

ローリー

以前、教育・総合科学学術院でご活躍された中野幸一先生(早稲田大学名誉教授)が収集された『源氏物語』に関する資料である『九曜文庫』が寄贈されています。九曜文庫以外にも、源氏物語を研究する上では一級品の資料がそろっています。他にも江戸時代の書籍はいくつもありますし、ロシア文学についても昔から強いと聞いています。また、何と言っても「古典籍総合データベース」という、早稲田大学図書館が所蔵する古典籍についての書誌情報と関連研究資料、さらには全文の画像データを約30万点も検索・閲覧できるサービスがあります。学術研究目的であれば誰でも自由に利用することができます。


植田

実際にどのように利用されているのですか?


ローリー

例えば、ハーバード大学が刊行している『ハーバードジャーナル』という英字雑誌を少しめくっただけでも、「出典:早稲田大学」と書かれた図表やイラストを数多く見つけることができます。これらも「古典籍総合データベース」から利用申請されたイラストですから、早稲田ならではの魅力だと思います。

レポート執筆で分からないことがあったら、とりあえずラーニング・アシスタントに聞こう

植田

よく利用している学生でも「あまり知らないのでは?」というサービスは何でしょうか?

ローリー

古典籍以外にも多様なデータベースがありますし、毎年、データベースに関するワークショップを実施しています。いつも学生の皆さんには「ぜひ登録してみては」とお薦めしているんですよ。中央図書館2階では、大学院生が応対してくれる「LA(ラーニング・アシスタント)デスク」を設けており、「こんなレポートを書きたいんだけど……」といった相談も気兼ねなく受けてくれると思います。より専門的な質問なら、専門職員もいますので一緒に調べてくれます。


我妻

私は普段はワセオケ(公認サークル交響楽団)の活動で忙しいので、勉強と両立させるためにも是非、利用したいと思います。


ローリー

何かを学ぶ上では、Google検索だけではない、さまざまな検索スタイルがあることを知っていただきたいですね。また、「図書館間相互協力(Interlibrary Loan:通称ILL)」による資料の取り寄せサービスもあまり知られていないかもしれません。本学で所蔵していない資料を、国内外問わず他大学等の別の図書館から現物または複写物で取り寄せて利用することができます。オンラインから申し込むこともできるので、ぜひ活用していただきたいサービスです。

オレンジ色の部分が会話可能スペース

植田

今回の図書館リニューアルは「開館以来の大改修」ということですが、こだわった点はどこでしょうか?

ローリー

リニューアルにあたっては、教職員間で1年以上かけて話し合いを重ねました。また、学生にはアンケート調査だけでなくインタビュー調査を実施して、どんなスペースが求められているのかを徹底的に調べましたし、利用者は実際にどう図書館を使っているのか、時間帯や時期によって使われ方がどのように異なるのかを把握するための観察調査も3年かけて行いました。

植田

そんなに調査したんですか!


ローリー

その結果を踏まえてできたのが、グループ学習や討論会などさまざまな学習・研究形態に対応できるよう、図書館ならではのラーニング・コモンズエリアを拡大したことです。コモンズエリアのある図書館は増えていると思いますが、ここまでの規模は国内外を含めて、あまりないと思います。

エリア別のルール

※ 詳しい検証結果については早稲田大学図書館報『ふみくら』95号にも掲載されています。

ローリー

もちろん、図書館ですから「静かな場所を保ってほしい」という声も多くあります。その両方 が共存できるよう、会話ができる場所としての「Active Area」、ガラス張りの壁で区切った先 は会話禁止の「Quiet Area」、会話だけでなくキーボードの音が出るPC利用を禁止した「Silent Area」、さらに電子機器の利用も一切禁止した「Super Silent Area」と明確に区分けしています。また、長時間でも快適に利用してもらえるように、ちょっと喉が渇いたときに利用できるカフェスペースも充実させました。就活中の急な電話に出られるようにしてほしいという声を受けて、通話可能スペースも設けています。いろいろな目的で図書館が使われていくわけですから、誰であっても快適に利用できる空間を目指しました。

サイレント・リーディング・ルーム。PCだけでなく、一切の電子機器も使用禁止となっている

植田

先生の学生時代と比べて、図書館の利用方法はどう変わってきましたか?

ローリー

私がオーストラリアの大学で過ごした学部学生時代には、学習スタイルは、先生の話を聞いてノートをとるだけの「講義」と、あるテキストや論文について先生や学生と議論する「チュートリアル」の二つの形式しかありませんでした。自分で何かを調べて発表する、というやり方がそもそもなかったんです。一方、早稲田で教えるようになって最も感心したのは、学生の人前での発表が上手なこと。あまり英語に自信がなくても、きちんとできる。グループ別の課題に取り組むことにも慣れています。


植田

意外ですね。自分も感心されるように、もっとプレゼンの練習をします!


ローリー

最近では大学構内のあらゆる場所で、学生がグループで一生懸命ディスカッションをし、発表を準備しているのが目につきます。図書館は、そんな今の学習スタイルへも支援できる場でありたい。そのためのリニューアルです。2階のラーニング・コモンズにはホワイトボードもありますので、“書いて消して”もできて、つっこんだ議論ができる場所になったと思います。図書館という場所は、専門分野についてより深く学ぼうとするほど、使い方・付き合い方が違ってきます。皆さんそれぞれ、自分に合った付き合い方を見つけてみてください。

2階のグループ学習室。後ろは大きなホワイトボードになっている

我妻レポーター「使わないともったいない!」

これまで図書館を利用するのはレポートを書くときだけ、という学生生活を過ごしてきました。でも、今日の話を聞いて素直に「もっと使ってみたい」「使わないともったいない!」と思いました。データベースについても、これから卒論に取り組まなければいけないので、しっかり活用したいです。

また、今回リニューアルをしたことで、話せるスペースと集中できるスペースに分かれ、その上「スーパーサイレント」もあるということに驚きました。誰にとっても使いやすいスペースになったということだと思いますので、友達にも薦めたいです。特にみんなで勉強できるスペースというのは、発表のリハーサルにも使えていいですよね。教室に似た空間だと緊張し過ぎちゃうので、ちょうどいいんじゃないかなと感じました。

自販機で軽食や飲料を購入して食べることができるRefresh Area

植田レポーター「自分の好きな場所にもっと多様な可能性が」

図書館のイメージと言えば「一人で黙々と本を読む場所」というものでした。でも、今回ローリー先生からお聞きした、リニューアル後の中央図書館の役割、ラーニング・コモンズエリアのあり方というのは、本から得たものを人と交流してより広げていく、というもの。学びがより広がっていく印象を受けました。自分の好きな場所にもっと多様な可能性がある、ということに驚いています。友人たちにも「図書館、過ごしやすくなったから行った方がいいよ」と伝えたいですね。

それと、図書館の隣にこんなリフレッシュエリアがあるなんて知りませんでした。ドリンクだけでなくパンの自販機もあって、ちょっと小腹がすいたときにもいいですよね。中央図書館の周りってコンビニがないので、まさにこういう場所を求めていたんです。ここは、できれば内緒にしたいなぁ(笑)。

絵画前の階段にて。リニューアルで絨毯も一新した

取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
人物撮影:小野奈那子
その他写真:早稲田大学図書館提供

各エリアの詳細は以下のリンク先をご確認ください。

4月1日(月)中央図書館リニューアル・オープン!

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