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特集

【荏原実業編】日常生活に不可欠なBtoB 早大生が人事担当者へ逆質問

 「自分が知らない分野を知ることが大事」

就職活動において、企業は学生のどこに注目しているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。今週の特集では早稲田大学キャリアセンターの学生キャリアスタッフ(SCS※)が「荏原実業株式会社」と「日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)」の2社を訪問し、就職活動における素朴な疑問を聞いてきました。

SCSの池田陽香さん(教育学部3年)が訪れたのは荏原実業。インタビューを通して、池田さんは「日常の何気ない経験」の大切さを学んだようです。

※)早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信を担う学生スタッフ

荏原実業株式会社

総務部 人事課主任(採用担当) 石井 健太さん(2008年 教育学部卒)
総務部 人事課主任(採用担当) 萩原 純子さん
インタビュアー:SCS 池田 陽香(いけだ・はるか、教育学部3年)

――企業の特徴、仕事の内容などについて教えてください

石井さん 生活に不可欠な「水と空気」をキレイにする仕事をしています。1945年の創立以来、水処理・空調・省エネ・脱臭などに関わる様々な環境関連設備を提供してきました。メーカー事業のほか、水処理プラントのエンジニアリング事業、風水力冷熱機器販売の商社事業があります。民間に加え官公庁比率の高い領域を得意としていて、販売領域の裾野が広い企業です。

――どのような学生、人材を求めているのですか?

石井さん 会社に入ってから仕事で活躍できるかどうかという部分を求めます。企業理念の「豊かな人間環境の 創造を目指して 社会に貢献する」に共感や、やりがいを感じてくれるかどうか、そこに一番の重きを置いています。弊社は理系の企業ですが、文系は総務や経理などの管理系や商社部門の営業職で活躍の場があります。理系の知識はもちろん必要ですが、コミュニケーション力も求められます。

――面接で印象に残るのはどのような学生でしょうか。

石井さん 会社の理念や事業内容に共感する学生ですね。会社のことをよく調べてくれていると、そこから自然と意欲とか熱意がにじみ出てきて伝わります。自分の言葉で自分の熱意とかやりたいことを語る学生は一本筋が通っていて、印象に残りますね。

――学生が注意するべきことは何でしょう?

萩原さん この企業でこういうことをしたい」という意欲と熱意を持つことですね。社会に出ると、学生時代に学んだことを生かせるという場面はあまり多くないと思います。むしろ、入社して配属された部署で学んだことや経験が、社会人にとって重要となってくるはずですので、面接では、自分自身の言葉で、自分が感じる強みを前面に出していけばいいと思います。

――自分の言葉で話しているというのは伝わりますか。

萩原さん 暗記したことを話すのと、自分が思うように話すのではやはり違います。緊張で言葉が出ない、ということもあるかもしれませんが、話の中でテンションが上がったり、途中で真剣なまなざしになったりというところはあるのではないでしょうか。自分の言葉で話してもらった方がこちらも分かりやすいです。

――荏原実業に入社を決めた理由は何ですか。

荏原実業が開発・販売している水・空気・土に関する製品群(同社webサイトより)

石井さん 卒業して学習塾の講師をしていたのですが、将来のことと自分自身の働き方を考えて転職しました。もともと事務処理とか、何か一つのことをコツコツやってまとめることが好きだったことと、高校生のとき、環境問題に興味があり、荏原実業が行っている事業が自分の理想と合っていたことが決め手になりました。

萩原さん 私は弊社の最終面接のとき、ちょうど打ち合わせに訪れていた他社の方に声を掛けられて話を聞いたことです。その方は私が面接学生と分かると「ここは良い会社だよ」と教えてくださいました。それまで実際に働いている社員と話すということはあったのですが、たまたま居合わせた他社の人に話を聞くのは初めてで驚きました。すぐにこの会社はお客さまとのコミュニケーションが取れているということが分かり、入社を決意しました。

――石井さんは早稲田大学教育学部をご卒業されています。大学ではどのように過ごされていましたか。

石井さん 子供のころから参加していたボーイスカウト活動を続けていました。海岸清掃といったボランティア活動やキャンプなどの野外活動をメンバーの小学生の面倒をみながら、大人の方と一緒にやっていました。幅広い年代の方とチームとして何かに取り組むことを自然と学びました。また、研究者にもなりたかったので歴史研究の方法論を突き詰めたくて「考古学研究会」(※)にも所属していました。また、教職課程も取っていましたので、しなければならないこと、やりたいことを突き詰めることと、チームで取り組むことなどを、バランスよく経験できたと思います。

※早稲田大学公認サークル

――学生時代はたくさん遊んでいた方がいいという意見もありますが?

石井さん 社会人と違ってあまり時間に追われず、自分がしたいことに取り組むことができるのが学生時代だと思います。遊んでいても、海外で貧乏旅行をしても、留学しても、その経験が自分の成長にどのようにつながっているのか、何を学んだのか、ということが大事だと思います。

――就職先を考えている学生にアドバイスしてください。

石井さん 就職活動を始める前でしたら、自分がやりたいことや自分が知っている範囲以外のいろんな企業の活動を知ってもらいたいですね。何か一つのことを突き詰めるという学生もいますが、私の場合は2・3年生のときは、分野を狭めずに広く考えて大学の研究者や、中学・高校の教師、塾の講師など幅広い選択肢を考えて過ごしていました。企業活動には自分が知らないさまざまな分野がたくさんあるということを知ってもらいたいですね。

弊社の場合は、社会インフラに関するメーカーですが、製品やサービスが日常生活で目に触れたり、意識されたりすることはほとんどありません。しかし、生活に不可欠な「水道水」の処理など、社会に必要とされているものを扱っています。幅広い知識をもって、その中から就職先を考えることも大事だと思います。

下水処理などで荏原実業の製品が活用されている(同社webサイトより)

――「働き方」についてはどのようにお考えですか。

石井さん 企業研究はもちろん重要ですが、自分の働き方を考えることも大事ですね。一つの企業には色んな職種があります。自分が配属された場所からどのようなキャリアを築いていけるか。私は新卒のとき、「自分のやりたいことさえできればいい」と思って教育の世界に飛び込んでみましたが、結婚したり子供が生まれたりといったライフイベントを経験してから、転職しようと思いました。子供ができて働き方を考えざるを得なかったのです。一つの企業で40年勤めようとするのであれば、就職活動の時期に多くの企業を巡って質問して「働き方」について知ることも大事です。入社した先でどのようなキャリアを築いていけるのか、想像することは難しいですが、考えることは重要です。

何気なく得た経験を生かすも殺すも自分次第

SCSとして初めてのインタビューだった池田さん。物おじせずに次々と質問をしていました(荏原実業本社、東京都中央区)

同世代との交流からは得ることのできない、“社会人”としての言葉は、説得力のあるものでした。好きなことを一生懸命続けていたら、それが人生のどこかで役に立つ、という言葉はよく耳にしますが本当にそうなのでしょうか。今までの自分にはあまり実感がありませんでした。

「好きで行っていたボーイスカウトの経験が社会に出た今、役立っている」という石井さんのお話は社会に出ている方の生きた言葉として感じられました。「好き」の先にあった最初の仕事、そこからの荏原実業への転職も、全ての経験が生かされているのではないでしょうか。

今回のインタビューで、「今できることを後悔のないように行う。それは人生のどこかで確かにつながってくる」という思いを強くしました。何気なく得た経験を生かすも殺すも自分次第。後に自分の学生生活を振り返ったとき、後悔がないと自信を持って言い切れるような日々を過ごしたいと思います。

【次回特集予告】6月4日(月)公開「英語学位プログラム特集」

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