有名大企業との違い―企業・業界研究―
まずは新たな視点を持つことが必要

たくさんの企業の中から“本当の“優良企業を選ぶには…
今回のテーマで扱う「優良企業」とは、誰もが名前を知っている「有名大企業」のことを言っているのではありません。有名企業でかつ優良な会社であれば、それは多くの就活生が知るところであり、内定を得る上では志望者数も多く、狭き門となっています。これから就職活動を始める皆さんが探すべきなのは、多くの人に知られていなくても、“知る人ぞ知る”とされている、業績などから優良と認められる企業なのです。就活生が企業・業界研究をするにあたり、考えを改めるべきことは、知られざる企業を見つけようとする視点を持つことです。
企業選びの視野を広げる
このような話をすると、学生から「名前が知られていない会社でも、いい会社があるのですか?」ということを尋ねられます。
そこで皆さん、知っている企業の名前を何も見ずに書き出すということをやってみてください。そこでリストアップされるのは、テレビCMを流している企業やもともと知っていた企業であり、多くの人が作成するリストには共通する企業名が並ぶと予想されます。いわゆる「BtoC企業」と言われる会社が、テレビCMを流す企業の典型です。BtoC(Business to Consumer)とは、企業対消費者の取引を指します。

名の知られていない優良BtoB企業に着目する
しかし実は、日本経済を根底から支えているのは「BtoB企業」、つまりBusiness to Business=企業間取引を行っている企業なのです。私たちが普段広告などで目にする商品・サービスは、一般消費者向けに作られたBtoCのものがほとんどであるのに対し、市場規模が大きいのは圧倒的にBtoBの取引なのです。
自動車産業を例に取ると、トヨタ自動車は部品を組み立てて完成させた車を消費者に販売する日本を代表する大企業ですが、トヨタ車を構成しているパーツや内装の素材を作っているメーカーは無数に存在します。各部品メーカーがパーツをトヨタに納品するのがBtoB取引です。そう考えると、有名大企業であるBtoC企業に対して製品を納入するBtoB取引が、とても大きな市場を形成していることが容易に想像できます。
この視点で周囲の会社を見直してみると良いでしょう。身近にある数々の売れ筋商品を販売している企業のみに注目するのではなく、その商品の原材料を扱っている企業までさかのぼり、その企業は順調に利益を上げているのではないかと推測してみるのです。これは“もの”を作る業界に限りません。さまざまなサービスを供給する業界についても、同じ視点でBtoB取引をしている企業を調べてみましょう。
優良企業探索のために役立つ書籍

『就職四季報』(東洋経済新報社)

『会社四季報』(東洋経済新報社)
知られざる優良企業を調べる方法として、まずは『就職四季報』『会社四季報』を手に取ってみましょう。これらは企業のカタログ、あるいは辞書に相当するものです。これらの読み解き方を解説した書籍も出版されていますので、下記の参考図書も併せてご覧ください。
また、CSR(企業の社会的責任)の視点から書かれている書籍も活用してみましょう。CSR活動(社会貢献活動など)に力を入れられる企業は、利益があり、企業体力もある会社といえます。利益が少なく余裕がない会社であれば、CSR活動に力を入れることはできないからです。
下記の参考図書は全てキャリアセンターで閲覧することができます。これらを活用して、早期に自分だけの優良企業を見つけましょう。

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参考図書:
『「就職四季報」パーフェクト活用術―成功するための7つのステップ』「就職四季報」編集部編(東洋経済新報社)
『「四季報」で勝つ就活』田宮寛之著(三修社)
『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』東洋経済CSRプロジェクトチーム・岸本吉浩著 山本昌弘監修(東洋経済新報社)
『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)