Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

留学生数1位の早稲田、国際交流が盛んと思ったら意外と… 4人の早大生が始める大学改革プランとは?

Vision 150 Student Competition総長賞座談会【前編】

学生が自由にテーマを考えて大学側へ具体的な施策を提案する「Waseda Vision 150 Student Competiton」。第5回目となった2016年度大会は、エントリーした32チーム中8チームが決勝大会(2017年3月13日開催)に進出し、工夫を凝らしたプレゼンテーションでしのぎを削りました。同コンぺに出品された優れた提案・企画については早稲田大学で実行されるプロジェクトの参考となり、実際にGSセンター(2017年4月)やキャリアセンター早稲田分室「C Space」(2017年4月)が設立されました。

2016年度に同コンペで金賞(総長賞)を受賞した「W3~W-Cubed~」の提案は、早稲田大学の学生がより積極的に国際交流を深めていく制度的な仕掛けに関する提案です。チームのメンバー4名と、審査にあたった橋本周司 ・副総長(理工学術院教授)と村上公一・学生担当理事(教育・総合科学学術院教授)による座談会を開催し、その意図や展望について語ってもらいまし た。

参加者

早稲田大学副総長 橋本 周司 (はしもと・しゅうじ:理工学術院教授)
早稲田大学理事 村上 公一(むらかみ・きみかず:教育・総合科学学術院教授)

「W3~W-Cubed~」メンバー

国際教養学部 4年 黒田 千滉(くろだ・ちひろ)
国際教養学部 4年 倉林 鮎子(くらばやし・あゆこ)
国際教養学部 4年 ヨアキム・エリック・グッナル・ラーソン
教育学部 4年 イ・ヨンア

「Watashi-Waseda-World」が目指すグローバルリーダー

村上理事

2016年度の「Waseda Vision 150 Student Competition」で金賞(総長賞)を受賞された「W3~W-Cubed~」の4人にお話を聞きたいと思います。発表の中で言い足りなかったこと、また準備段階で皆さんの間に意見の相違はなかったのかなどもお聞きしたいところです。

 

倉林

私たちは学生一人一人(Watashi)が、早稲田(Waseda)をプラットホームにして、世界(World)へ密接につながるW3「Watashi-Waseda-World」を実現するため、日本人学生と留学生が一緒に学ぶ「W-Class」(※1)と、日本に頼れる人がいない留学生を早大生がサポートする「W-Mentor」(※2)を提案しました。W-Classは、今すぐ必修科目にすると日本人学生の数が圧倒的に多くなり、留学生が少数になって話しづらくなってしまいます。まずは、オープン科目の一つとして試験的に始め、必要に応じて広げていった方が良いと思います。最終的には2032年の創立150周年に全学生がインタラクティブなクラスを受講しているようにとW-Classを提案しました。

※1)「W-Class」は、学部・国籍に関係なく、日本人学生と留学生が一緒に受ける必修授業。日本人の1年生と来日したばかりの留学生によってクラス編成する、ゼミ形式の授業。

※2)「W-Mentor」は、早大生が日本で頼れる人がいない留学生の留学生活をサポートする「メンター」となって、留学生との長期的な交友関係を築くことを目的としている。

 

黒田

私たちが大切にしたいのは日本人学生と留学生が一緒に考え、主体的に行動する経験を積み、双方が積極的に授業で関わることです。その中でグローバルリーダーの資質を養うことを考えています。

グローバルリーダーというものが何を意味するのかが一番のポイントだと思います。私たちが考える、真のグローバルリーダーとは、単に海外で活躍する人という意味だけではなく、主体的に考え、多様な価値観を持ち、周りの人を巻き込んで行動できる人を指します。この真のグローバルリーダーを育成するため、このような提案をしました。

 

橋本副総長

大学は今、アクティブラーニングなど、講義の中で学生が積極的に発言し、グループで討論して発表する授業に変えていこうとしています。将来的には全ての授業にアクティブラーニングの要素を取り入れたいと考えています。2032年には、こういった取り組みが特別なものではなくなっていると思います。W-Classはその前段階になるのではないでしょうか。

 

黒田

そうですね。日本人学生と留学生が半々だとしても、どうしても日本人だけ、留学生だけと固まってしまうのが現状です。私が取っているクラスは留学生の方が多いくらいですが、日本人と留学生が一緒に話し合うことは多くはないです。

決勝大会では効果的にスライドを用いた論理的なプレゼンテーションで魅了

村上理事

皆さんの提案は1年生から始めるというものですね。

 

倉林

1年生からにした理由は二つあります。一つは1年生のうちから関わることで、留学や国際的なことに興味を持つことができ、残りの大学生活にそういった要素が取り入れられるのではと考えたためです。二つ目に、受講者数が多くなることを見込んで、教授ではなく、授業を受けた学生がTA(ティーチングアシスタント)となって授業運営ができるようにしたいと考えたためです。

 

橋本副総長

それもまさに大学がやり始めているリーダーシップ教育です。学生が自分で経験して、次は教える立場になる。そしてお互いに教え合う。そういう環境を作らないといけません。「経験できる場」を作っていく必要があります。

 

村上理事

かつては留学生が少なかったので、いわゆるグローバルリーダーになろうという人はその少人数の留学生に食らいついて、とにかく機会を探して海外に行っていました。そして、そういう人たちが早稲田を卒業して活躍していました。しかし、現在、早稲田大学は全学生にグローバルリーダーになってもらうために、多くの機会を設けています。「グローバルに」という思いをそれほど強く持っていない学生に、どのようにして関心を持ってもらうかが今の課題となっています。

ショッキングだったアンケート結果

「W3~W-Cubed~」が日本人学生369人と外個人留学生147人に実施したアンケート結果の一部

村上理事

皆さんの報告で一番ショッキングだったのはアンケートの結果です。これを見た瞬間、この話は最後まで聞かなくてはと思いました(笑)。これだけ留学生があふれている環境の中で、留学生と話したことが全くない人が32.8%。数カ月に1度を入れると45%。これは一体何なのか。その一方で「留学生の友達が欲しいですか」と聞くと「とても思う」「まあ思う」が83.2%。このギャップは何なのだろう。これを発表の最初の方にもってきたことに感心しましたね。

 

黒田

プレゼンテーションの構成は観客のインパクトに残るよう、かなり意識しました。

 

村上理事

アンケートの数字は実感として感じられるものですか?

 

倉林

「留学生と話しているか」の数値については、実感できるものです。しかし「留学生の友達が欲しい」という学生の数は意外と多くて驚きました。これはもったいないことです。早稲田は日本一留学生が多い大学ですし、留学生と接したくなる、話さなければならない環境を作りたいと考えました。

 

ICC

プレゼンでは国際交流の様子を紹介

橋本副総長

早稲田大学ではICC(異文化交流センター)など、いろいろなところで異文化交流できるチャンスを作っていますが、交流したいと強く思っている人しか来ていないようです。多くの学生は「交流したい」と心の中では思っているけれども、自分から動くことはしないのかもしれませんね。

 

倉林

そのような学生は、アンケートでは「留学生の友達が欲しい」と答えつつも、どこかで人ごとのように思ってしまっているのかもしれません。また、ICCでは留学生と日本人がペアになって相互に言語学習をするプログラムを提供しています。しかし、英語圏の方と友達になりたいという人は多いにもかかわらず、実際には英語圏出身の留学生は少なく、半分くらいはマッチングされずにいます。これもすごくもったいないです。ここでW-Mentorを導入すれば、さまざまな国籍の学生とグループ単位でマッチングができるので、この問題も解消されると思います。

 

村上理事

W – Mentorはメンバーの経験から発想されたそうですね。

Student Competitonでプレゼンした4名

倉林

はい。私は大学2年生の時、米国のポートランド州立大学に1年間留学しました。渡米前に学生寮の申請をしたのですが、入居できないことが分かり、急いでアパートを探さなければならなくなりました。大学周辺で評判の良い、一人暮らしのできる場所などについて知りたかったところへ、大学から「彼女(現地学生)があなたのメンターです。困ったことがあったら相談してください」というメールがきました。その方がメールで真摯(しんし)に相談に乗ってくれて、無事にアパートを見つけることができました。そんな経験から私も日本で、留学生のサポート活動をしたいと思いました。

 

実はW – Mentorに関して、最初、私の意見は他のメンバーとは違い、メリットもあれば、デメリットもあると思いました。私も外国人留学生として、入学手続きや住居探しなどですごく大変な思いをしました。しかし、そのときに頑張ったからこそ、ここまで4年間日本で生き残れたのではないかと思ったのです。大げさですけど(笑)。助けがないからこそ、その壁を乗り越えるために自分で動くようになるのではないかと思いました。しかし、アンケートの結果から、助けを求めている学生が実際には多くいることが分かりました。それにもかかわらず、大学にこのようなシステムがないことはとっても残念だと思いました。私は1年間日本語学校に通った経験があったので、なんとか一人で乗り越えられたのかもしれませんが、日本語や日本文化についてあまり知らない外国人留学生にとっては助けが必要だと思います。

ヨアキム

私は日本で住む場所、1カ月でどれくらいお金が必要なのか、というところから同じ寮の友達に教えてもらいました。区役所に行っても日本語が全く分からず、何をしていいのか理解できなかったです(笑)。そのときは友達が付き添ってくれて助かりました。運が良かったと思います。保険の手続きは自分でやってみて成長できたと感じました。特に電話が一番難しかった! 英語で会話できる場所がどこにあるのかという情報もあれば良かったなと思います。

 

黒田

外国人留学生とは付き合いにくいと思っていた人も、このような自然と接点を持てる仕組みができれば、W – Mentorになる人も増えてくると思います。私たちのもう一つの提案、W-Classとの相乗効果を期待しつつ、長期的に見ることが大切だと思います。

 

長期的というのが重要だと思います。おそらく、W – MentorとW – Classで全てを解決することは難しいと思います。今はまさに「前段階」という表現が当てはまると思います。私たちのようにコンペで提案してみたり、多くの学生にやってみようという働き掛けを続けたら、もっともっと変わっていく。そのきっかけになればと思います。

後編「早稲田の海外留学が減っている? 学生による学生を“揺さぶる”改革が始まる」へ続く

(座談会撮影:商学部 5年 笹津 敏暉)

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