Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

キャリアコンサルタント、図書館司書、理工技術職員 早大生を支える専門職

約5万人の学部生・大学院生が在籍する早稲田大学。そんな早稲田には、学生生活を支えるために、さまざまな専門分野に特化したスタッフ(専門職)が働いていることを知っていますか? 今回は、就職活動(以下、就活)の個別相談を担うキャリアコンサルタント、学内の貴重資料を管理する図書館司書、理工学術院の実験をサポートする技術職員にインタビュー。どんな所で、どんな人が、どんな思いで働いているのか、のぞいてみましょう。

▼就活に悩む学生に寄り添う声掛けを キャリアコンサルタント
▼今も100年後も学ぶ人のためにできることを 図書館司書
▼学生が安全に失敗できる環境を 理工センター技術職員

就活に悩む学生に寄り添う声掛けを キャリアコンサルタント

株式会社東京海上日動キャリアサービス キャリアコンサルタント
橋本 佳世(はしもと・かよ)

早稲田キャンパス 6号館1階C Space前にて

――業務内容について教えてください。

キャリアセンターのカウンセラーとして、進路選択や就活のサポートを行っています。具体的には、学生の皆さんの主体的な進路選択を支援するため、自己分析のサポートやエントリーシートの添削、面接の練習などについての個別相談に乗っています。

――個別相談ではどのようなことを心掛けていますか?

相談に入る時の第一声、声の掛け方やトーンには気を付けています。特に6月頃は、何から就活を始めたら良いのか分からないという3年生と、引き続き就活を頑張っている4年生の相談が多いので、より心掛けるようにしていますね。また、個別相談は30分制なので、限られた時間でいかにその学生に合った支援ができるかを考えています。

――学生たちに対してどんな思いを持って仕事をされていますか?

ポジティブに1歩を踏み出せるような声掛けと、その学生の思いをくみ取ることですね。家族や友達には言えない悩みを聞いてほしいという人も多いので、丁寧に向き合うようにしています。皆さんが少しでも前向きになれるよう、背中をそっと押せるような存在でありたいです。

個別相談のブースで就活の相談に対応する橋本さん

――どんなときにこの仕事をしていて良かったと感じますか?

学生の皆さんに、ポジティブな気持ちになってもらえたときです。“ガクチカ”で、すごいことを言わなきゃいけないと思い込んでいる学生が多くて、例えば、就活サイトの具体例で「NPO法人に関わってインドネシアで小学校を建てた」などの素晴らしい経歴を目にして、自分には何もないと自信なさげに相談に来るんです。でも、それぞれの話を聞く中で、「アピールできることがある」ということに気付いてもらえると、本当に良かったなと思います。

――印象に残っている学生とのエピソードを教えてください。

中華料理店でアルバイトをしているだけで、自分には強みがないと相談に来た学生がいました。でも、よく聞いてみると、閉店後の掃除は本当に大変で、みんな嫌がって帰ってしまうところ、自分はピカピカになるまで掃除していますって。それってすごいことじゃないですか。みんながやりたがらないことを率先してできるのは、絶対にアピールできるよって、アドバイスしました。

――最後に早大生へメッセージをお願いします。

就活で一番大切なのは「前向きな姿勢」だと思うんです。いきなり10社落ちたとなると、落ち込んでやる気がなくなってしまうかもしれませんが、たまたまその会社に縁がなかっただけで、自分が輝ける場所は必ずあります。だから、落ち込みすぎず、前向きに臨んでもらいたい。

キャリアセンターで相談するとなると、「ちゃんとしていないと怒られるんじゃないか」「敷居が高い」と感じる人もいると思います。でも、私たちは少しでも学生の皆さんの役に立ちたいと思ってサポートしているので、本当に気軽に利用してもらいたいです。ちょっとした相談でもいいですし、「何をすればいいですか?」からでも大丈夫です!

橋本さんの仕事の相棒:イヤホン

橋本さん

最近は留学先からオンラインで企業面接が受けられるようになり、海外にいる学生とオンラインで相談を受ける機会も多いので、イヤホンは必需品です。相談の前には、「時差はどのくらいかな」「第一声は現地の言葉にしよう」など考えています。

キャリア・就活個別相談

開室:月曜日~金曜日 9:30~17:00
場所:早稲田キャンパス 6号館 1階C Space
※ 詳しくは、キャリアセンターWebサイトを確認してください

C Spaceの様子

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今も100年後も学ぶ人のためにできることを 図書館司書

図書館資料管理課・特別資料室 図書館司書
嶌田 修(しまだ・おさむ)

早稲田キャンパス 中央図書館前にて

――業務内容について教えてください。

中央図書館4階にある特別資料室は、早稲田大学図書館の中でも古典籍と呼ばれる古い資料を保存・管理している場所です。国宝や重要文化財をはじめ、近代以前に出版された書物や書き写された資料、また近代以降でも作家の原稿や政治家の書簡など、数多くの貴重な資料を収蔵しています。

少人数で業務にあたっているので、私も含め職員全員で資料の収書や整理、蔵書管理などのバックヤード業務から閲覧をはじめとする利用者対応まで、あらゆる業務を担当しています。また、古典籍資料を撮影してデジタル化したり、この先も長く読めるように帙(ちつ)と呼ばれるカバーを作って本を保護したり、状態の悪い資料には修繕もしたりしています。

さらに最近では、デジタル化した資料を今後どう生かし発信していくかを考えるプロジェクトなどにも携わっています。保存と公開を両立させるとも言いますか、現在はもちろん、50年後、100年後に学ぶ人たちのためにも今何ができるかを考え、日々業務をしています。

資料の保存状態をチェックする嶌田さん。資料は江戸時代前期のもの

――利用者対応では、学生たちとどのように接していますか?

閲覧に来る学生の中には初めての人もいますので、そんなときは学生が何を求めているのかをキャッチして、どのような資料が必要なのかを考えます。また、初めて来る学生のほとんどは現物資料に触れたことがないので、扱い方をレクチャーすることもあります。

――学生たちに対してどんな思いを持って仕事をされていますか?

閲覧に来た学生に対しては、現物資料を見る楽しさ、またその一方で難しさも感じてほしいですね。扱い方も含め古い資料を読むのは大変かもしれませんが、ここでの経験から現物資料を見ることの重要性や、資料が醸し出す現在との“距離感”などを感じてもらい、資料への向き合い方を知るきっかけになればと思っています。

――どんなときにこの仕事をしていて良かったと感じますか?

特別資料室に限った話ではないかもしれませんが、資料を閲覧した学生が“あ、分かった”という顔をして帰るときがあります。資料を読むことで“何かが分かった、知ることができた”という経験はとても大切なものだと思うので、私もすごくうれしいですね。

それから、どんな資料を図書館に入れるかを選ぶ選書・収書という業務があるのですが、資料を収蔵してもその全てがすぐに研究に生かされるとは限りません。でも、集めた資料が研究に生かされていることが分かると、非常に達成感があります。万人受けする資料というものはなかなかありませんが、さまざまな研究に資する資料を集め、公開していくことを目指しています。

特別資料室の書庫では、収書した貴重資料を保管している

――最後に早大生へメッセージをお願いします。

在学中にたくさんの出合いや経験をしてほしいと思います。その中の一つとして、図書館での書物や資料との出合いも皆さんにとって宝物になると思うので、どんどん図書館を利用してほしいですね。

現物資料には力があると私は信じています。特別資料室としては、フラッと来て「貴重な資料を見せてください」と言われても急には見せられませんが、卒業論文や研究のために現物資料を見ることはとても大事なことだと思います。そのような目的意識がある場合は、図書館員としてできうる限りのサポートをしたいと思っています。

嶌田さんの仕事の相棒:資料調査グッズ(鉛筆、消しゴム、メジャー、ルーペ、くずし字解読辞典)

嶌田さん

古い資料を扱うときは、鉛筆以外の筆記用具は御法度。ちなみに腕時計も資料を傷つける可能性があるので、資料を見るときには外します。くずし字の解読には今はアプリもありますが、紙の辞書も愛用しています。

中央図書館特別資料室

開室:月曜日~金曜日 9:00~18:30(授業休止期間中は9:00~17:00)土曜日・日曜日は閉室
場所:早稲田キャンパス 中央図書館4階
※ 詳しくは、中央図書館Webサイトを確認してください

取材・文:末光 京子(1998年理工学部卒)
撮影:石垣 星児

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学生が安全に失敗できる環境を 理工センター技術職員

理工学術院統合事務・技術センター 技術部 教育研究支援課(三系)技術職員
田中 悠輔(たなか・ゆうすけ)

西早稲田キャンパス 63号館地下1階11室にて

――業務内容について教えてください。

教育研究支援課には一系から四系まであり、一系は理工学術院の3学部(基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部)の必修である分野横断的な基礎実験を、それに対して二系は機械系と建築・土木系、三系は電気・電子・情報通信系、四系は物理・化学・生物系の専門実験を担当しています。私が所属する三系の電気工学実験室は、11学科の学生がそれぞれの専門に特化した実験を行う場所です。

その中で私は、実験コンテンツの開発・改良から実験の指導、安全管理など、実験全体の運営を担っています。教員と相談しながら実験内容を考えて、準備はもちろん、学生に指導をして結果を基に考察まで進められるよう支援します。例えばシミュレーションを行った後に実験に取り組んでもらい、結果に違いが出たら、その理由について考察してもらうこともあります。

実験で使用する計測機器を調整する田中さん

――学生たちに対してどんな思いを持って仕事をされていますか?

学生が誤った作業をしたことでけがや事故につながらないよう、安全に失敗できる環境を整備していますので、学生たちには失敗を恐れず実験に取り組んでほしいと思っています。実験をしてみると、思っていた結果にはならないことがよくあるのですが、そういう失敗から得られるものはたくさんあると思っています。だから、いろんな失敗をしてもらえると、こちらとしてはうれしいですね。

――どんなときにこの仕事をしていて良かったと感じますか?

実験内容は毎年試行錯誤しながら改良しているので、学生が実験を通して学びを深める姿に立ち会えるのは、私たちとしても手応えを感じる瞬間です。

メカトロニクスの基礎について学ぶ「メカトロニクスラボF」の様子。田中さんを含め技術職員が教員やTAと実験指導をしている

WASEDAものづくりプログラム(以下、ものプロ)ではメンターとして学生グループの技術的な相談に乗ることもあるのですが、学生たちからモチベーションをもらうことも多いです。ある年、「その年の恵方を自動で向いて、黙って恵方巻を食べるのをサポートする椅子のようなマシンを作りたい」という学生がいたんです。作りたい理由は当初分からなかったですが(笑)、技術が足りなくても物事を進める意欲にあふれていて、やりたいことがあることの大切さを感じました。

――印象に残っている学生とのエピソードを教えてください。

ものプロに初めて携わった時、方向性の違いからけんかになってしまった4人グループを担当したんです。私はどうしようかなと思いつつずっと見守っていましたが、4人は言いたいことを言い合い、最終的には一致団結して進めることができました。そして、最後には私に感謝状を書いてくれたんです。大したことはできていないと思っていたので、もらった時は驚きましたが、学生が大人に介入されすぎず、一方でちゃんと見てもらえている、そういう場所を提供することも大切な役割だったんだと感じました。私たちの価値って、こちら側から見えているものだけで決めてはいけないんですよね。

――最後に早大生へメッセージをお願いします。

どんどん失敗をしてください。理工学術院では知識や技能だけではない、自分の手を動かすことでしか得られないものをたくさん得てほしいと思っています。そのための安全な環境を整え、困った時に相談に乗るのがわれわれの役目だと思っているので、たくさんわれわれを利用しながら失敗をしてほしいな、と思っています。

田中さんの仕事の相棒:金尺(かねじゃく)

田中さん

金属製の定規で、機械系の人間の多くが使っているイメージです。物を作る時に対象のサイズを測るんですが、身に着けていると簡易な測定が手軽にできるほか、梱包を開ける時にカッター代わりに使うこともあり、いろいろ使い勝手が良いんです(笑)。

取材・文:末光 京子(1998年理工学部卒)
撮影:布川 航太

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【次回Special Issue予告】10月1日(木)公開「早稲田カフェ」

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