
2025年12月、タスマニア西部・クイーンズタウン近郊の滝にて
日本、そして世界各地から早稲田にやってきた学生が、自身のふるさとを紹介する「早稲田ふるさと大使」。今回は、オーストラリア出身の増田さんが、その魅力を届けます。
一つの島に千の自然
国際教養学部 4年 増田 弥紗(ますだ・みいしゃ)
皆さんはタスマニア島を知っていますか? もしかしたら、スーパーで販売されているタスマニアビーフや、タスマニアのみに生息するタスマニアンデビルを思い浮かべる人もいるかもしれません。
タスマニアはオーストラリア本土の南に位置する島です。オーストラリアは「暑い国」というイメージがありますが、タスマニアの平均最高気温は冬で約12℃、夏でも約23℃と、1年を通して過ごしやすい気候です。実は、「世界で最も空気が澄んでいる場所の一つ」と言われており、北海道の3分の2ほどの面積を持つこの島には、豊かな自然が広がっています。中・高生時代の私は、自然以外に何もないこの島を退屈だと思い、東京での生活に憧れていました。しかし、東京で過ごす時間が長くなるほど「何もない」環境が恋しくなってきます。今回はほんの一部ですが、タスマニアの自然の魅力を紹介します。
タスマニアの土地の約40%は、国立公園または世界遺産として保護されています。島内には熱帯雨林のような深い森、青く透き通る海や真っ白な砂浜、広大な砂丘など、多種多様な自然があります。夜には満天の星が広がり、まれにオーロラを見ることもできます。
写真左:タスマニア西部にあるクイーンズタウン近郊の砂丘。ボディーボードで砂の斜面を滑って遊ぶことができます
写真右:実家のベランダから見えたオーロラ
熱帯雨林や滝を楽しみたい人には、世界遺産のマウントフィールド国立公園(Mt.Field National Park)がお薦めです。運が良ければカモノハシ、ウォンバット、タスマニアンデビルなどにも出合えるかもしれません。ビーチでは有名なワイングラスベイ(Wineglass Bay)も素晴らしいですが、私の一押しはタスマニア南東部にあるブルーニーアイランド(Bruny Island)。真っ白なビーチと青い海に加え、ワイン、ハチミツ、チーズ、オイスターなどのグルメも味わえます。
写真左:マウントフィールド国立公園で出合った野生のハリモグラ
写真右:ブルーニーアイランドにある展望台、トルガニニ・ロックアウト(Truganini Lookout)。トルガニニとは、タスマニア先住民パラワ族の女性の名前で、植民地化による苦難を生き抜いた人物として知られています
このように、豊かな自然に囲まれたタスマニアでは、さまざまなアウトドアアクティビティーを楽しむことができます。島内には数多くのキャンプ場があり、最近家族で訪れたバーべリー湖(Burbury Lake)湖畔のキャンプ場は、目の前に鏡のような湖が広がる景色が特に印象的でした。
また、タスマニアはハイキング好きにはたまらない環境でもあります。20分ほどで楽しめる初心者向けのコースから、4日間かけて歩く本格的なトレイルまでさまざま。私が最近訪れたのは、往復約4時間でハイクできるホーイ岬トラック(Cape Huay Track)です。切り立った断崖と海が織りなす景色は圧巻で、運が良ければ崖の上からクジラを見ることもできます。
写真左:バーべリー湖湖畔のキャンプ場。トイレやたき火のスペースなど設備も整っていて、美しい湖の景色を楽しめます
写真右:タスマニア南東部のホーイ岬トラック。「タコスだけじゃない! 知られざるメキシコ料理を大紹介」(2025年7月公開)の筆者で、友人の清水さんがタスマニアを訪れた際、一緒にこのハイクを楽しみました!

スナッグ・フォール(Snug Falls)。実家から往復約1時間で歩いて行けるため、これまで20回以上訪れています。茶色の水は汚れではなく、タンニンによる自然現象です
さらに、タスマニアの学校には「アウトドア教育」という授業があります。ハイキング、火起こし、サーフィンやカヤック、スタンドアップパドルボード(ボードの上に立ちパドルを使って水面をこぎ進むサップ)、紙の地図とコンパスを使ってチェックポイントを巡るアクティビティー、ナビゲーションなどを学ぶことができ、私が最も好きな授業の一つでした。
タスマニアは「田舎の中の田舎」です。島内に鉄道はなく、バスなどの公共交通機関も限られているため、観光するならレンタカーが必須です。それでも、その不便さを補って余りある自然があります。オーストラリアを訪れる際は、メルボルンやシドニーといった人気都市ももちろん魅力的ですが、ぜひその先のタスマニアまで足を運んでみてください。きっと、ここでしか出合えない景色と時間が待っています!

高校2年生の授業で訪れた、ウェリントン山(タスマニア先住民の呼称は、クナニ・kunanyi)にある“消える湖”(Disappearing Lake)。“消える湖”と言われている理由は、この透き通るような青色が、多くの雨が降った後にしか見られない現象だからです
◎ オーストラリア・タスマニアはこんなところ ◎
タスマニアはオーストラリアの州の一つ。オーストラリア大陸の南東海上に位置するタスマニア島と、周辺のキング島、ファーノー諸島などの島からなっている。州都はタスマニア島内における最大の都市ホバート。タスマニア島の大きさは、約6万8,000平方キロメートルで、北海道の8割ほどの面積。西岸海洋性気候に属し、オーストラリアの最南端地域であるため、他の領域よりも冷涼。日本との時差は+1時間。






