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この教室では全員が起業家、そして投資家 ビジネスアイデア・デザイン 

大隈記念講堂前で。左から、鈴木さん、井上先生

13の学部があり、多岐にわたる学問領域で学生を育成する早稲田大学。「こんな授業!どんなゼミ?」では、どんな授業やゼミがあり、どんな学びが得られるのかについて、実際に受講した学生が紹介します。

ビジネスアイデア・デザイン(BID)【商学部設置科目】

商学部 3年 鈴木 康大(すずき・こうた)

良いアイデアは、思いついた瞬間から事業になるのでしょうか。井上達彦先生(商学学術院教授)とビジネスバンクグループ代表の浜口隆則さんが考案した「ビジネスアイデア・デザイン(BID)」は、ビジネスアイデアの発想法を学ぶだけでなく、生み出したアイデアをチームで事業案へ磨き上げ、ピッチ(※1)を通じて互いに評価し合う実践型の授業です。

※1 ビジネスシーンにおける短いプレゼンテーション

授業の目標は、ビジネスモデルの考え方を得ることと、アイデア創出の技法を実際に使えるようになることです。文理問わずさまざまな学部生や修士・博士課程の大学院生が班をつくって仮想の「会社」 を組み、異なる専門や経験を持ち寄るため、自分一人では生まれない着眼点に、何度も出合えました。

筆者の班が作成した事業案のスライド。中・高生の探究学習と大学院生(研究者)をつなぐプラットフォームを考案しました。班員は6名で、班名であるMondia ROUTEの由来は「世界へ通じる道」

授業は金曜の4・5限に連続して行われます。4限では、前週に学んだ発想法で各班が事業案をピッチし、聞き手は投資家として、授業内通貨をどの案にいくらBID (Business Improvement District、入札)するか議論します。5限では、ビジネスバンクグループ取締役の黒田訓英さんや井上先生から、願望を起点にする「あったら良いな」や他分野の仕組みを応用する「アナロジー」といった発想法についての講義を受け、そこから一週間かけて次の案を練り上げ、再びピッチとBIDに臨みます。

私は「会社」内でアイデア発想とピッチに力を入れていました。ある週では、出した案の「マネタイズ(※2)が弱い」と班員から指摘され、事業内容を一から見直してピッチ直前に構成が変わることもありました。限られた時間でアイデアを発想し、事業案に落とし込み、相手の心を動かすピッチに仕上げていく過程は決して楽ではありません。ですがその分、BIDで評価を受けることには圧倒的な面白さがありました。

※2 無収益のサービスなどを収益化すること

中学・高校側から見た探究学習での困りごと(左)と、研究職の課題(右)をマッチングさせて、解決することを考えました。(※クリックして拡大)

最も印象に残っているのは最終回です。累計BID額で2位となった私たちの班は、上位チームに与えられる機会として、ウェルインベストメント代表の瀧口匡さんをはじめとする、投資家の方々の前でピッチしました。講評で問われたのは、事業案の内容だけでなく、そもそも捉えた顧客の困りごとは妥当なのかという点まで! 最終的には投資家の方からの入札を得られた一方、発表を整えるだけでは投資家の判断は動かせないのだと痛感する場でもありました。

BIDの最終結果。上段は、所持金額によって順位が確定した結果。右側にあるのがこれまでに獲得した落札アイデアです。下段は最終買取後。上位3チームのみが他の班が落札したアイデアを所持金で買うことができ、4位以下は自分の班のアイデアが買い戻された際の収入によって順位が変動します

この授業で学んだのは、アイデアの新しさだけでは事業にならないということです。顧客に直接話を聞くなどして課題を確かめ、仮説を修正し、価値を伝えなければなりません。将来起業を志す私にとって、思いつきを「選ばれる事業案」へ変える難しさを体感できたことが、最も大きな学びでした。

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