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国際ビジネス大会で2位入賞! 世界中の学生と共に企業課題に挑む

「将来は、グローバル社会に貢献するビジネスリーダーに」

商学部 4年 コウ テンジョ

2025年8月にシンガポールで開催された、世界中の学生が集まるファミリービジネスに関する国際大会「BFI Case Jam 2025」で、チームとして第2位に輝いた中国出身のコウさん。6時間という制限の中で、異なる国や文化の仲間と力を合わせて企業の課題解決に挑みました。英語で学び、グローバルな環境下で学生たちと議論を重ねてきた商学部の Global Management Program(以下、GMP)(※)での日々が、この経験を支えてくれたと語ります。そんなコウさんに、国際大会への挑戦の裏側とGMPでの学びについて聞きました。

(※)学部4年間を通じて「国際社会に貢献するビジネス・リーダー」を育成することを目指すプログラム。学部共通の卒業要件とは別に、GMPゼミやコア科目、英語運用能力などの修了要件が設定されている。

――今回出場した「BFI Case Jam 2025」とは、どのような大会ですか?

シンガポール経営大学(以下、SMU)のビジネスファミリーズ研究所(BFI)が主催する、ファミリービジネスをテーマにしたケーススタディーコンペティションです。2025年で4年目を迎えたこの大会では、実際に世界のファミリービジネスが直面する経営課題に対して、限られた時間の中で解決策を導き出すことが求められます。チームで行うため、即興性や協働性が特に重視される点が特徴です。当日は、世界各国から集まった120名以上の学生がランダムで約30チームに分けられ、課題解決に向けて議論を重ねました。

各チームはまずビデオプレゼンテーションによる予選に臨み、審査員の評価によって選ばれた上位3チームが決勝へ進出。決勝では全体の前で発表を行い、最終的に1位から3位までの受賞チームが決定しました。

当日提示されたケースは、マレーシアのあるファミリービジネスの農産企業について、「今後5年間でどのようにすれば収益を2倍にできるか」というものでした。 マレーシアの企業経営に関するデータ収集が必要ということもあり緊張しましたが、チームの中にマレーシア出身の学生がいたので、とても助けられました。結果として、私が所属したチームは決勝に進出し、第2位を獲得することができたんです。

受賞ボードを持って、チームメンバー4人とSMUの先生方で撮影した写真(左から2番目がコウさん)

――チームで課題に取り組む中で大変だったこと、意識したことはありますか?

6時間ずっと同じケースに取り組んでいたので、途中でみんなの集中が少し切れたり、意見の違いが出てきたりした場面が大変でしたね。ケースに取り組む中で、売り上げを増やすための施策として新しい市場を見つける必要があったのですが、私はマレーシアや東南アジアだけに注目していては成長が難しいと感じたんです。

そこで、中国出身ということを生かし、中国市場の現状や可能性を基に新しい戦略を提案しました。ただ、チームのメンバーから、「中国市場は難しいのではないか?」という声も出て。限られた時間の中で、意見の対立をどうまとめるか悩みましたが、根拠のある提案にするために、できる限り論文や記事、データを集めて説得力を高めるように意識しました。最終的に、中国市場の成長機会を的確に捉えた分析、実現可能性の高い戦略、ブランド体験を重視した戦略の具体性が評価され、うれしかったです。

プレゼンテーションで使用したスライド資料。中国のフルーツEコマース市場の成長性、若年層の消費傾向、主要競合の特徴などを整理し、中国市場におけるプレミアム商品の拡大機会や方向性を示した

――早稲田大学商学部に進学したきっかけと、GMPを選んだ理由を教えてください。

中国に住んでいた中学1年生の時から日本語を勉強していて、日本の大学に進学することが目標でした。中国では、日本の大学の中で早稲田大学が一番有名なんですよ。私自身が、中国での生活と日本語の学習を通じて異なる文化や価値観に触れてきたという国際的なバックグラウンドを持っていることもあり、世界のビジネスや企業戦略について深く学べる商学部は、自分にとって最も良い環境だと思いました。

また、GMPには多様なバックグラウンドを持つ学生や留学生が多く、英語を習得したい学生もたくさんいるところに魅力を感じました。今年は韓国合宿にも参加でき、他国で議論や研究ができる機会が豊富にある点も、GMPを選んだ大きな決め手の一つです。こうした環境の中で、GMPの先生から国際大会への参加を勧められたことが、今回の「BFI Case Jam 2025」への参加にもつながりました。

韓国合宿で撮影したGMPメンバーでの集合写真(前列左から3番目がコウさん)

――GMPやゼミでは、どんなことを学んでいますか?

私はエドマン・ジェスパー・カール・ヨーラン先生のゼミに所属しているのですが、先生が研究で2年程イギリスの大学に行っているため、今はゼミ活動がないんです。3年生のゼミ生もいないので少し寂しいですね。私が3年生の時は、ある企業の実際の問題を解決するという課題の下、1学期間ずっとその会社の経営戦略やダイバーシティー施策について研究し、最終的にその企業の前で解決策を発表しました。

月に1回開催されるGMPフォーラムでは、学生たちが毎回違うチームに分けられ、提示されるテーマに取り組みます。さまざまなメンバーと一緒に協力し課題を解決していくのが、とても面白いです。フォーラムの終盤には、特に優れた解決策として選ばれたチームがその場で発表して、先生から直接フィードバックをもらいます。いろいろなチームで多様な視点から課題解決の方法を学べるところが、GMPの良さだと実感しています。

この他、今学期はキャリアフォーラムもありました。GMPの校友が来て、自分のキャリアの話をしてくれたり、就活の相談に乗ってくれたりと、就職活動を考えている学生にとってはすごく魅力的なイベントです。

GMPフォーラムでのプレゼンテーションの様子(右端がコウさん)

――英語での授業や国際的な環境での学びを通じて、どんな力が身に付いたと感じますか?

シンプルな質問、簡単な質問を恐れずに積極的にたくさんすること、課題や論点の出発点をそろえることの大切さを学びました。学生みんなが異なる文化的背景を持っているので、同じ課題だとしても、違う観点から考えもしなかった解決方法が出てくることもすごく刺激的です。また、エドマン先生の影響も大きいと思います。初回のゼミで、「ここは良くない」「ここをもっとこうした方が良い」とはっきり指摘してくださって。最初は少し驚きましたが、そのフィードバックがとても新鮮で、自分の成長につながっていると感じます。日本語の授業ではあまり見られないような、率直で直接的なやり取りができるのも、英語で学ぶ環境ならではだと思います。

11 号館で取材に応じるコウさん

11号館で取材に応じるコウさん

――今後挑戦してみたいことや、将来の目標について教えてください。

交換留学中、授業の企業訪問でニューヨークにあるソニーの米国本社を訪問した時の様子(左から2番目がコウさん)

現在は、アメリカの大学院に出願をしている段階です。2024年8月〜2025年5月にアメリカへ交換留学をしたのですが、現地で授業を受ける中で知識や経験が全然足りていないことに気付いて。自分の興味や将来の方向性がまだ定まっていないまま就職活動をするよりも、今は学びを深めて自分の選択肢を広げていこうと決めました。国や業界が変わっても通用する考え方を、大学院での学びを通して身に付けていきたいです。GMPの理念でもある「グローバル社会に貢献するビジネスリーダー」になることが、私の将来の目標です。

第915回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
商学部 2年 松本 佑貴

【プロフィール】

TWICEのライブでの一枚。推しはジヒョだそう

中国出身。南京外国語学校卒業。お勧めの授業は、矢後和彦先生(商学学術院教授) が担当するGMPのコア科目。趣味はK-POPを聴くこと。特に好きなグループはTWICEで、ライブに行くこともあるそう。好きなワセメシは、「東京らっきょブラザーズ」のスープカレー。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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