Waseda Weekly早稲田ウィークリー

キャリアコンパス

真剣に取り組むことは、自分自身と向き合うこと。 -消防士 岸部 敬

横浜市消防局に入局し、特別救助隊の一員として働く岸部敬さん。火災現場や事故現場、被災地などの「命の最前線」で、常に危険と隣り合わせの仕事に従事している。その生きざまや使命感の源泉をたどると、早稲田大学体育各部「ハンドボール部」での経験に行き着くことができた。

「有言実行」と「真剣さ」の重要性を学んだ主将時代

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1988年生まれ。2011年、早稲田大学スポーツ科学部卒業。同年、横浜市消防局に入局。現在は泉消防署中田消防出張所に所属。消防官の中でも特に体力・技能・知識に優れ、厳しい試験と研修を突破したスペシャリスト、特別救助隊して、火災時の人命検索や交通事故などでの救出活動など、最前線で活動している。

中学生のときから、岸部さんの生活はハンドボール一色。大学選びの決め手も、当然のようにハンドボールだった。「高校生のとき、早稲田大学の試合を何度か見る機会があったのですが、いつ見ても、試合に出ている選手とベンチメンバーの一体感や雰囲気が素晴らしかったんです。自分もここでハンドボールを頑張りたい!一度そう思ったら、もう何の迷いもありませんでした」。

大学入学後も部活動に励み、最終学年では主将に就任した岸部さん。ただ、その役割は想像以上の激務だったという。

「高校までの部活動と違い、大学では普段の練習から学生が主体となって取り組まなければなりません。日頃からディスカッションを重ねても、練習中は熱くなり過ぎて言い争いになったり、時にはけんか腰になることもありました。そこでチームがバラバラにならないよう、一つにまとめ上げるのは本当に大変でした」。

その年、春・秋のリーグ戦ではチームがまとまりきらず、結果が伴わなかった。どうすれば個性の強いメンバーが同じ方向を目指せるのか?そこで岸部さんは、主将として二つのことを意識するようにした。一つは自らの言葉を行動で示す「有言実行」。そしてもう一つが、部員一人一人と真摯(しんし)に向き合う「真剣さ」だった。

「自分の本気を示すことができれば、相手もちゃんと向き合ってくれる。そして、言葉に説得力を持たせるために、自分自身が率先して努力し、技量を上げていく。その大切さを学んだ1年間でした」。

こうして迎えた大学生活最後の公式戦、全日本学生ハンドボール選手権大会。ようやくチームとして一つにまとまった早稲田大学は、全国3位という好成績を残すことに成功した。

「最後の最後で、やっとみんなのベクトルが同じ方向を指すことができました。前年先輩方が敗れた大学に勝っての3位だったので、本当にうれしかったですね」。

危険な現場だからこそ、覚悟を決めて、真剣に

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大学卒業後、消防士の道に進んだ岸部さん。「ハンドボールで日本一を目指して努力してきた過程を、今度は人の命を救うことに費やしたい」と選んだ今の仕事においても、「有言実行」と「真剣さ」は必要不可欠だという。

「消防・救助活動は、個人プレーよりもチームプレーで対処することがほとんど。また、瞬間的な判断が必要になることも多く、その中でちゃんと自分の意見が言えること、その意見に責任を持つことが求められます。時には危険な現場にも身を置くわけですから、覚悟を決めて、とにかく真剣になることが大切なんです」。

岸部さんが学生に伝えたいことも、この「真剣さ」の重要性についてだ。

「私にとって早稲田大学は、『真剣に取り組む』ことの意義を教えてくれた場所です。皆さんも何でもいいので、自分が真剣になれることを見つけ、その達成に向けて頑張ってほしいです。真剣に物事に取り組むようになると、向き合うべき対象はやがて自分自身になる。そこで自分の弱さや性格が見えてくると、人間的にとても成長することができると思うんです。早稲田にはそういう熱い気持ちを持った人がたくさんいます。だから恥ずかしがらずに、がむしゃらに何かに取り組んでみてはいかがでしょうか」。

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