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【キープレーヤー】ロボットに義務と権利?…注意深い議論必要 AIロボ協会の尾形哲也氏〈下〉

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Fri 08 May 26

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一般社団法人AIロボット協会理事長の尾形哲也・早稲田大教授(56)は、ロボットの権利を議論する時代が到来すると予想する。

※本記事はDOW JONES 読売新聞 Proに掲載された記事を転載したものになります。

インタビューに答える尾形教授(4月14日、東京都新宿区の早稲田大リサーチ・イノベーション・センターで) Photo: 読売新聞社

インタビューに答える尾形教授(4月14日、東京都新宿区の早稲田大リサーチ・イノベーション・センターで) Photo: 読売新聞社

―AIロボットの社会実装を進めるためには。

「利便性を高める技術でも、影響力が強ければ強いほど悪い側面も出てくる。例えばAIロボットは人間が感情移入できる存在にもなる。AIと話している方が気楽で人間と話すのは嫌だという現象はすでに起こっている。そうした課題をどう考えるか。人間は人間だからこそ認めるという価値観を残したい」

「今は人間とつながっていたい、という価値観が社会を作っているが、AIによってその社会のあり方が変わるとみている。だが、人間は人間とつながることが重要だと思う。そのため、私はあえてロボットらしい見た目になるようにロボットを開発している。ロボットの感情は人間の感情を模倣しているに過ぎない」

「いずれ、ロボットに人権に似た権利を与えようとする人も出てくるだろう。ロボットが自由意思を主張する可能性もある。そうした場合、ロボットに責任を問える一方、権利を認めざるを得なくなるかもしれない。技術者だけでなく、社会学者や倫理学者らも加わって注意深く議論や調査を続けていかなければならない。技術の進歩や社会の動きを市民も注視し、自分がどうするべきか考え続ける必要がある」

尾形教授らが開発している、靴下を履かせるヒト型ロボット(4月14日、早稲田大リサーチ・イノベーション・センターで) Photo: 読売新聞社

尾形教授らが開発している、靴下を履かせるヒト型ロボット(4月14日、早稲田大リサーチ・イノベーション・センターで) Photo: 読売新聞社

―AIロボットの研究者になったきっかけは。

「幼少期から物作りが好きだった。アニメに出てくる博士がなんでも問題解決する姿に憧れて、小学校2年生の文集で『将来の夢はロボットを作る学者』と書いていた。その後、早大の加藤(一郎)先生の特集を雑誌でたまたま読み、アニメの世界としか思っていなかったヒト型ロボットの開発をしたいと思った。私は加藤研究室のほぼ最後の卒業生となった」

「加藤先生は、ロボットを作ることで人間を知ろうとしていた。私はニューラルネットワークが好きで、それとロボットの研究を始めようとしたところ、加藤先生から『ロボットの心を考えなさい』と言われたのを覚えている。加藤先生は、ロボット(身体)とAI(神経回路)をつなげスケールさせれば、行動傾向や思考は人間の心に似たものになるという仮説を持っていた。身体と神経の関係性を議論しないと知能にはならないという話で、私の今の活動の原点になっている」

尾形哲也氏(おがた・てつや)

1969年、東京都生まれ。93年早稲田大理工学部機械工学科卒。2000年同大大学院で博士号取得。12年から同大教授。日本ロボット学会理事や人工知能学会理事などを経て、25年からAIロボット協会理事長。

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