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SPECIAL INTERVIEW 岡田武史さん
特集:大学×スポーツ、広がる地平。
Mon 02 Nov 26
特集:大学×スポーツ、広がる地平。
Mon 02 Nov 26
分断を越えるスポーツの力が、未来を拓く
岡田武史さん 株式会社今治. 夢スポーツ 代表取締役会長/元サッカー日本代表監督
過去2回のFIFAワールドカップで日本代表監督を務め、現在は愛媛県今治市を拠点に活動する岡田武史さん。日本サッカーの黎明期に、高校時代からユース日本代表で活躍。1年間の浪人生活を経て、1976年に早稲田大学政治経済学部に入学した。
「同好会に所属して大学生活を楽しんでいた1年生の夏、日本サッカー協会の方々にア式蹴球部への入部を促されました。加藤久さんや西野朗さんなど、日本代表クラスの選手が所属していたのが、当時のア式蹴球部。寮生活や上下関係が苦手だった私ですが、『逃げたら、弱虫だと思われる』と練習に打ち込みました」
「お前はスポーツマンか、それともスポーツマシンか」
在学中の岡田さんに大きな影響を与えたのが、ア式蹴球部の堀江忠男監督だ。
「モスクワ五輪のボイコットに『スポーツが政治に左右されるのはおかしい』と感じ、ゼミの教官でもあった堀江先生に疑問をぶつけました。すると『お前はスポーツマンか、それともスポーツマシンか』と問われ、私は『スポーツマンのつもりです』と返答。
『だったら一人の人間としてソ連の行為をどう思う。そこをよく考えて自分で判断しろ』と諭されたのを覚えています。『人類愛のために学問もサッカーもやっている』と仰った先生の生きざまを、ずっと目指してきました」
スポーツは違いを乗り越えて人々をつなぐ
長年にわたりサッカー界に貢献してきた岡田さんは、2014年にFC今治のオーナーに就任。チームを四国の地域リーグからJ2に昇格させるとともに、建設と資金調達に奔走した「アシックス里山スタジアム」は、地域活性化の拠点にもなっている。さらに「FC今治高校 里山校(以下、里山校)」の学園長も務め、教育にも注力してきた。
「AIの発達により、社会は大きな変革を迫られています。核戦争や環境破壊を引き起こす人間は、やがてAIに管理されるかもしれません。予測不能な時代を生きるには、主体的で多様な視点が重要です。未来を拓く力を培えるよう、里山校では地域活動や野外活動など、実践を通じた学びを重視しています」
今治で岡田さんが目指すのは、「心の豊かさを大切にする社会創り」だ。
「GDPなどの数値で示せる豊かさに対し、信頼や共感、勇気、夢、仲間など、目に見えない豊かさも存在する。そうした無形資産に目を向けなければ、社会は必ず行き詰まります。地球の資源が有限であるのに対し、世界の人口は爆発的に増え続け、格差や分断が蔓延し、世界には絶望が漂い始めました。
しかし地域の共助コミュニティーであれば新たな秩序を見出せるかもしれません。コミュニティーの目的を宗教や政治に置くと価値観の違いから対立も生じますが、スポーツであれば違いを乗り越えて人々をつなぐことができる。 スポーツの価値を信じ、次世代のために力を尽くしていきます」
PROFILE
1956年大阪府生まれ。1980年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、古河電気工業株式会社サッカー部に所属。選手を引退後、サッカー日本代表監督としてFIFAワールドカップフランス大会、南アフリカ大会で指揮。コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスなどで監督を歴任し、現在は、FC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツにて代表取締役会長を務める。