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早稲田大学の起業支援とアントレプレナーシップ教育
特集:ntrepreneurship from Waseda
Wed 29 Apr 26
特集:ntrepreneurship from Waseda
Wed 29 Apr 26
早稲田大学でイノベーションを生み出す人材の教育やベンチャー企業の育成を担うのが、「アントレプレナーシップセンター」です。所長を務める石井裕之教授が、同所の方針と取り組み内容について説明します。
石井裕之 アントレプレナーシップセンター 所長・理工学術院教授
全ての学生の成長に資するアントレプレナーシップ教育プログラム
アントレプレナーシップセンターの前身となる「早稲田大学インキュベーション推進プロジェクト」は、2001年に発足しました。本学はアントレプレナーシップを「困難を乗り越えて、新しい価値を生み出していく力」と捉えています。この考えを全学的に育成し、挑戦の一歩を後押しをするのが、アントレプレナーシップセンターの役割です。
学生に向けた取り組みの中心が、アントレプレナーシップを学ぶ教育プログラムです。社会の中で自分が信じる価値を形にする力は、起業の志望者のみならず、全ての学生に求められます。その経験を早い段階で積めるよう、当センターではオープン科目などを運営する「グローバル・エデュケーション・センター」と連携し、2026年度からは全ての学部生が受講可能な全学副専攻「アントレプレナーシップをスタートさせます。「ビジネスクリエーション」 や「起業マインド」 の科目群によって、事業計画の構想やプロジェクト推進の力を身につけることが可能になります。
授業外での学生の成長を支援する課外活動プログラムとして、「WASEDA ギャップファンド・プロジェクト」では、自身のアイデや技術で事業化を目指す学生に、試作開発の資金を提供し、仮説検証の機会を創出しています。2025年度からは、プロダクト開発に取り組む清水建設株式会社との連携プログラム「WASEDA ものづくりプログラム・ADVANCED」や、社会起業家の誕生を支える株式会社ボーダレス・ジャパンとの提携による「W-SEED ソーシャルアントレプレナー育成プログラム」もスタートし、社会課題を持続可能な形で解決する人材の育成に取り組んでいます。
本格的に起業を志す学生は、アントレプレナーシップセンターに会員登録することで、登記における住所利用、オフィスとしての活用、法務や税務、労務、特許などのコンサルティングなど、充実したサポートを受けることができます。金融機関やベンチャーキャピタル、潜在顧客、卒業生組織である稲門会などとの連携にも取り組んでおり、ネットワークの力で起業準備や事業成長を前進させられるでしょう。
イノベーションを創出する人材を輩出し社会の発展に貢献する
アントレプレナーシップセンターでは、研究者に向けた起業支援も行っています。大学での研究成果を社会で実装する上で、起業は有効な手段です。そのプロセスを支えるべく、ロードマップ作成などを行う専門の事業化アドバイザーを配置。また、ビジネスモデルを構築する上で欠かせない概念実証(PoC)のフェーズでは、「早稲田 PoC ファンド プログラム」 として研究開発費を提供することで、初期の仮説検証を支援しています。社会的なインパクトを備える研究者の活動支援は、教育の質向上にもつながるはずです。
社会が活性化する上で、スタートアップは重要な存在です。かつて日本の高度経済成長期には、多くの起業家が産業の発展をリードしました。成熟社会を迎えた現代、新たな価値創造や社会変革をもたらすキーワードはテクノロジーですが、大学は先端技術を生み出す場でもあります。100年、数百年先の未来を見据え、研究者たちが活動するキャンパスに広がるのは、イノベーションの可能性です。こうした環境は、アントレプレナーシップの養成に最大限活用されるべきでしょう。
早稲田大学には、学生や研究者、ベンチャー企業、投資家、専門家が交流する土壌が、着々と築かれています。アントレプレナーシップセンターは今後、このエコシステムを拡張すべく、施策の充実化を図ってまいります。