新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響に伴い、これまでとは違った生活を余儀なくされ、社会のあり方が大きく変化し、先の見通しが立てにくくなっています。
このような状況下では、以下のような不安やストレスを感じやすくなります。
心身の健康を保つためのヒントを紹介しますので参考にしてください。
心理的ストレスについて
ストレスを感じることは「自然な反応」です。
現在の状況下では、不安やストレスを感じるのは特別なことではなく、むしろ自然な反応です。
たとえば、以下のようなことが想定されます。
- 新型コロナウィルス感染症関連
・自分が新型コロナウィルスに感染するのではないか、あるいは知らないうちに他者に感染させてしまうのではないかと恐怖や不安を感じる。
・これまでの生活ではそれほど気にならなかった症状(咳や微熱など)に過敏になり、感染したのではないかと不安や恐怖を覚える。
・この感染症がいつ終息するのか見通しが持てないことに不安を感じる。
- 生活関連
・外出自粛の目的は理解しているが、行動が制限されることに苛立ちを感じる。
・家で過ごす時間が長くなることで孤独感が増し、気分が落ち込む。
・1日の活動量が減少したことで、寝つきが悪くなったり夜更かしをするようなったりして、生活リズムが乱れるようになった。そのことで、またさらにストレスを感じるようになった。
・いろいろ心配するあまり食欲がなくなった。あるいは逆に、たくさん食べるようになったり、お腹が空いていなくてもついお菓子などを食べたりするようになった。
・家族と一緒に過ごす時間が長くなることで、家庭内の人間関係上の葛藤が生じやすくなる。
・不安やストレスで肩こりや頭痛などの症状が出やすくなる。
- 大学生活関連
・新型コロナウィルス感染症拡大の影響で入学式がなかったので大学生になった感じがしない。
・クラスやゼミでどんな人たちと一緒に勉強するのかわからず不安だ。
・オンライン授業にうまく取り組めるか不安を感じる。
・研究室での実験やフィールドワークができず、論文作成や研究をどう進めていけばよいのかわからず焦っている。
・授業やサークル活動に参加できないので友人や仲間を作ることができず、孤独なのがつらい。
・親の収入が減り、アルバイトもなくなり、このまま大学を続けられるのか不安だ。
・東京でひとり暮らしを続けるのが経済的に厳しくなったが、簡単に実家に戻ることも難しく、どうするべきか悩んでいる。
- 進路関連
・WEB就活になり、これまでと異なった方法に対応しなければならず戸惑う。
・希望していた業界が新型コロナウイルス感染症の影響で大きな影響を受けてしまい、自分の進路を一から考え直さねばならなく なってしまった。
・採用試験が延期になったが、延期後の実施時期が未定のためモチベーションを保ちながら勉強を継続できるか心配である。
ストレス対処法について
- 規則正しい生活と適度な運動を心がけましょう
・食事や睡眠を十分にとり、規則正しい生活を心がけましょう。
睡眠を記録するアプリを活用すると自分の睡眠状況が可視化でき、眠りの質の改善に役立ちます。
・朝、日光を浴びることで体内時計がリセットされ、脳内では精神を安定させる働きがある「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。朝はなるべく太陽の光を浴びるよう心がけましょう。
さらに、体内時計を整えるには食事も大切です。
(参考:ノーベル賞で話題の『体内時計』は『時間栄養学』でコントロール」早稲田ウィークリー)
・家で過ごす時間が長くなることで気分の切り替えがしづらくなる面があるかもしれません。
大学に通うことができなくても、日常的な活動(パジャマから着替える、身だしなみを整える、勉強(研究)するなど)を維持するようにしましょう。
・不安やストレスに対処するためにアルコールや喫煙、薬物を摂取するのは避けましょう。
・できるだけ運動する機会をつくりましょう。
戸外で散歩やジョギングをする時もマスク着用を忘れずに。室内ではストレッチや体操などがおすすめです。
動画サイトでは手軽にできる運動がいろいろ紹介されていますので参考にしてください(例:“運動不足解消”などのキーワードで検索)。
- リラックスできる時間をもちましょう
・1日の中でほっとしたり楽しんだりする時間をもちましょう。
音楽を聴く、読書をする、楽しい動画を見る、映画を観る、ゲームをする、ゆっくりと入浴するなど自分に合ったものを行うようにしてください。
・リラックスできる空間をつくるために、掃除をしてみるのもよいかもしれません。部屋がきれいになると気分もスッキリします。
- 人とのつながりを保ちましょう
・友達や家族と今は直接会うことが難しくても、SNSや電話、ビデオ通話などで連絡してみましょう。今考えていることや感じていることを相手と共有できると心が落ち着きます。
- 正確な情報を得るようにしましょう
・新型コロナウィルス感染症について正確な情報を得るようにしましょう。
・情報やニュースに多く触れることで、不安な気持ちが強まる可能性があります。そのようなときは、意識的に情報に触れる時間を減らしましょう。
・偏見や差別に基づいた言動に同調しないように、冷静に行動しましょう。
ウイルスがもたらす怖さは病気そのものだけではないことを理解するのに、日本赤十字社の資料(「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」)が役立ちます。
・早稲田大学や行政が提示している学生への経済的支援策について、自分の置かれた状況に役立てることができるか具体的に検討してみましょう。
おわりに
日常の生活がいつ戻るのか先の見通しがもてず不安な毎日を過ごしていらっしゃると思います。
私たちができることは、自分がおかれている環境のなかで、「今、自分ができること」に気持ちを向けていくことではないでしょうか。
またいつものようにキャンパスで過ごせる日を心待ちにしつつ、こころとからだの健康に気をつけてお過ごしください。
【参考資料】
- 早稲田大学新型コロナウィルス感染症への対応について https://www.waseda.jp/top/2020covid-19
- 早稲田大学新型コロナウィルス感染症拡大に関する総額5億円の学生緊急支援について https://www.waseda.jp/top/news/69100
- 早稲田大学奨学課 https://www.waseda.jp/inst/scholarship/
- 早稲田大学「ノーベル賞で話題の『体内時計』は『時間栄養学』でコントロール」早稲田ウィークリー
https://www.waseda.jp/inst/weekly/feature/2020/06/08/75326/
- 厚生労働省新型ウィルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html - 厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)休養・こころの健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart - 日本赤十字社(2020).「感染症流行期にこころの健康を保つために」シリーズ日本赤十字社
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200327_006138.html - 日本赤十字社(2020).「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html - 緊急時のメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)に関する機関間常設委員会(IASC)リファレンス・グループ(2020).新型コロナウィルス流行時のこころのケアVersion1.5
https://www.ajcp.info/heart311/wp-content/uploads/2020/03/IASC_BN-on-COVID-MHPSS1.5_Japanese_0323.pdf - アメリカ心理学会〔American Psychological Association: APA〕(2020).Keeping Your Distance to Stay Safe.日本心理学会「もしも『距離を保つ』ことを求められたなら:あなた自身の安全のために」
https://psych.or.jp/about/Keeping_Your_Distance_to_Stay_Safe_jp/
【学外のこころの悩み相談】
- 厚生労働省ホームページみんなのメンタルヘルス地域にある相談先 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/consult_2.html
- 厚生労働省ホームページSNS相談等を行っている団体一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sns.html