部会名:現代政治思想研究部会(部会主任:飯島 昇藏)
日 時:2014年3月29日(土)13:00-18:00
会 場:早稲田大学国際会議場3階 第3会議室
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
対 象:一般・学生・教職員・研究部会員
主催:『藤原保信著作集』刊行10年記念シリーズ研究会実行委員会
共催:早稲田大学現代政治経済研究所 (現代政治思想研究部会)
第3回 プログラム
【第1部】 13:00-15:00
司会者:木部 尚志氏〔国際基督教大学教授〕
報告者:重田 園江氏〔明治大学教授〕
テーマ:『政治哲学の復権』をめぐって
討論者:金田 耕一氏〔日本大学教授〕、田中 智彦氏〔東京医科歯科大学准教授〕
報告要旨:著作集第7巻所収の『正義・自由・民主主義―政治理論の復権のために』(1976)については、
T・H・グリーンと19世紀末イギリスの政治社会思想を中心に考えてみたい。
当時のイギリス「社会主義」思想との関係から、私自身はグリーンとラスキに共有する基盤を見てきた。
このあたりの捉え方の違いは、当時さかんになりつつあった「正義」をめぐる議論への藤原の評価とも
関連していると考える。『政治哲学の復権―新しい規範理論を求めて』(1979、増補版1988)については、
イギリス留学およびヨーロッパ滞在という経験をめぐって、これまた自分との大きな隔たりを感じたので
それを起点に話したい。
僭越ながらこの本を読み進めるなかではじめて、なぜ藤原先生に一種の「磁力」があったのかを私なりに
理解できた気がした。そういう感想も含めて考えを述べたいと思う。
プロフィール:重田 園江(おもだ そのえ)明治大学政治経済学部教授
著書『社会契約論―ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ』(ちくま新書、2013)
『ミシェル・フーコー―近代を裏から読む』(ちくま新書、2011)
『連帯の哲学I―フランス社会連帯主義』(勁草書房、2010)
『フーコーの穴―統計学と統治の現在』(木鐸社、2003)
【第2部】 15:30-17:30
司会者:上野 成利氏〔神戸大学教授〕
報告者:大中 一彌氏〔法政大学教授〕
テーマ:通常科学としての政治思想研究-『政治理論のパラダイム転換』を読む-
討論者:千葉 眞氏〔国際基督教大学教授〕、山田 正行氏〔東海大学教授〕
報告要旨:パラダイム概念の世界的な流行のきっかけを作ったトーマス・クーン自身は、論争を経て、
パラダイムに代えて、専門母型(disciplinary matrix)という用語をむしろ用いるようになったとされる。
藤原におけるパラダイム転換という用語の使用は、こうしたパラダイム概念そのものの流行に照らして
考えるとき、興味深い。
本報告では、経済学などの他分野や、日本語圏以外の研究者による、人文・社会科学領域における
パラダイム概念の使用をも念頭に置いて、『政治理論のパラダイム転換』の独自性の位置づけを試みたい。
プロフィール:大中 一彌(おおなか かずや)法政大学国際文化学部教授
論文「自発的隷従とは何か──ラ・ボエシー『反一者論(コントラン)』をめぐって」(2013)
現在準備中の訳書 G・ノワリエル『フランスという「るつぼ」』