研究代表者
竹中 晃二
TAKENAKA Koji
人間科学部教授
本プロジェクトの概要と目的
近年、わが国の子どもにおいては、肥満をはじめとする健康阻害、ストレス関連の不定愁訴、運動不足に起因する体力低下、さらには社会性の欠如などが話題に上ることが多くなった。これらの問題の背景には、身体活動量の低下、夜更かし、欠食・間食、子ども同士による遊びの不足、遊びの質の変化、頻繁な習い事・塾通いなど、現在の子どもが抱えるライフスタイルの乱れが指摘されている。
これらの乱れを正す試みとして、対症療法とは別に、効果的な予防措置の開発が求められていることは言うまでもない。また、予防措置を行う際のアプローチ方法としては、個別対応にとどまらず、地域、学校、家庭を巻き込んだポピュレーションアプローチをいかに効率的に行うかも重要な課題である。
本研究は、子どもにおける現在の健康づくりのみならず、将来の健康づくりにも寄与できるように、彼ら自らが生活習慣を整え、それらを習慣化していくことを目的に、行動変容の観点から介入を加え、その成果を検証することである。本研究では、第一オーディエンスとしての子どもだけでなく、第二オーディエンスに保護者、小学校教師、および指導者を置き、彼らに対して子どもに働きかける行動変容方略を教授し、それらの方略を実践させることで、子どもの習慣づくりに貢献させようとしている。
本研究においては、ヘルス・コミュニケーションの方策を積極的に組み込んだ介入を行う。ヘルス・コミュニケーションとは、行動科学、社会科学、マスコミュニケーション、マーケティングなど様々な領域における知見を適用して行う健康行動変容アプローチである。対象者を一律に捉えないで、ターゲットとする対象者の特徴や健康行動における「行いやすさ」を見極めた上でそれぞれに特化した介入を行うこと、また対象者をある特徴によって複数の下位集団に分け、それぞれの下位集団に応じたアプローチを行うことでそれぞれの健康行動実践の度合いを上げようとしている。
研究構成員
- 竹中 晃二(早稲田大学人間科学学術院教授)
- 菅野 純(早稲田大学人間科学学術院教授)
- 嶋田 洋徳(早稲田大学人間科学学術院教授)
- 上地 広昭(山口大学教育学部講師)
- 大場 ゆかり(早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員)
プロジェクト期間
2010年4月~2013年3月