研究代表者
永島 計
NAGASHIMA Kei
人間科学部教授
本プロジェクトの概要と目的
本研究者は体温の概日リズム形成の神経機構について一貫して研究をおこなっている。特にげっ歯類の絶食時には明期(非活動期)特異的な体温低下が生じることを発見している。現在までの研究で以下の4点が判明している。
- 絶食等のエネルギー供給が不足した時のみ、得意的な体温低下反応が見られる。
- 暗期(活動期)には積極的な体温調節が行われるが、明期には極端に体温調節能が低下している。これは寒冷負荷時の産熱反応の抑制からも検証された。
- 視交叉上核(中枢時計)の破壊や時計遺伝子の変異、ノックアウト動物では、絶食時においても明期/暗期にかかわらず体温調節は維持されている。
- cFosの発現から評価した視交叉上核の神経活動は絶食や寒冷暴露により増強し、これは明期に特徴的に認められることを示した。
すなわち、絶食時の体温低下は、視交叉上核あるいは時計遺伝子により調節された現象であると考えられる。また、体温調節はどのような状況でも一様に行われるのではなく、時間、摂食条件の2つの要因によって大きく影響もしくは制御を受けていることが示唆される。本研究者はこのメカニズムを追求することを大きな目標にしているが未だその知識は断片的である。そこで、以下の2点を本研究で扱う。
- 視交叉上核(SCN)から視床下部神経核とくに室傍核(PVN)、背内側核(DMH)への機能的神経連絡の解析、弓状核(ARC)からSCNへの機能
- PVNでの体温概日リズム、皮膚血管交感神経調節に関わる部位の同定
研究構成員
- 永島 計(早稲田大学人間科学学術院教授)
- 時澤 健(早稲田大学スポーツ科学学術院研究員)
- 内田 有紀(早稲田大学人間科学学術院研究科院生)
- 中村 真由美(早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員)
- 依田 珠江(獨協大学講師)
プロジェクト期間
2010年4月~2013年3月