研究代表者
齋藤 美穂
SAITO Miho
人間科学部教授
本プロジェクトの概要と目的
本研究プロジェクトは感性工学的手法や認知科学的手法を用いながら、人間行動の個人差の研究に「嗜好」という切り口から介入を試みるものである。
嗜好(preference)は感性の指標であり、感性の表象である。また嗜好は人間の日々の行動を無意識に規定しているが故に人間行動の研究に占める位置は非常に重い。そこでこのプロジェクトでは感性を文理融合の視点から研究するにあたり、環境認知における感覚-知覚-認知の一連のプロセスに関連した様々な研究領域から嗜好の解明にあたることにする。

具体的な研究対象は、色・光・音等の物理的環境に対する生理的レベルにおける応答特性や認知レベルにおける情報処理特性、ロボットを含むコンピュータネットワーク等の人工的環境に対する人間の嗜好性、また学校のカリキュラム・友人・教師といった物理的・人的環境に対する児童の嗜好等である。各領域が「嗜好」というフィルターを通して人間の感性の特性を検討し人間に対する学際的理解を深めることを目的とする。
本研究プロジェクトにおける研究グループは主に以下の6分野に分かれる。
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- 色彩情報設計における嗜好性研究グループ
- 建築空間等における色彩情報設計に対する感性的側面および快適性に関して嗜好を切り口として研究するグループ。
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- 香りにおける嗜好性研究グループ
- 香りの嗜好性に関して好悪の分類をすると共に生理的な応答特性と心理的側面との関連を含め検討するグループ。
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- 音声における嗜好性研究グループ
- 音声に対する好悪の分類およびその物理的特性の解析を行うことを目的とし音声における嗜好性を研究するグループ。
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- 表情における嗜好性研究グループ
- 映像やWeb上の画像における表情認知に対する好悪の傾向およびその文化的背景を研究することを主な目的とするグループ。
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- 感覚センサーおよびロボットにおける嗜好性研究グループ
- 福祉施設や介護福祉ロボットの設計にかかわる被介護者の嗜好性を検討することを目的とした研究グループ。
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- 学校カリキュラムにおける嗜好性研究グループ
- カリキュラムの嗜好性に関わる要因や教室内での物理的・人的環境に対する児童の感性的側面における嗜好性を中心として検討するグループ。
以上のグループがグループ間でも連携を保ちながら活動および検討を進め、生体工学、認知科学、教育工学、環境心理学等、人間の側から嗜好を切り口として学際的に感性を研究することにより人間に対する理解を深めていく。
プロジェクト期間
2004年4月~2007年3月