高等研究所セミナーシリーズ
【ポスト・コロナ時代のグローバル・ヒストリー研究】公開講演会:
「移動と権力――ジェンキンズの耳戦争期のイギリスにおける「航行の自由」概念の援用とその背景――」(7/27)
趣旨
ジェンキンズの耳戦争は、カリブ海域を航行するイギリス商船の、スペイン沿岸警備隊による拿捕問題を主な原因として、1739年に英西間で勃発した戦争である。これは16世紀以来のイングランド(1707年以降はイギリス)の対スペイン領貿易をめぐる英西両国の対立の帰結点の一つであるとともに、貿易のための「航行の自由(航海の自由)」をめぐる抗争であったとも言える。本講演では、このような、海洋での移動の自由をめぐる対立という観点からジェンキンズの耳戦争を検討し、この戦争の時期のイギリス国内の政治・外交上の議論で見られた「航行の自由」概念の援用を、より長期の法思想史的・経済史的文脈の中に位置づけて分析する。そしてそれにより「航行の自由」がなぜこの時期のイギリスの政治的議論で強調されるに至ったのか、また当時のイギリスにとって「航行の自由」概念がいかなる意義を有していたのかを明らかにする。
登壇者
講演者:
薩摩真介 (立命館大学文学部 准教授 )
1976年生。専門は近世・近代イギリス海軍史、海事史、大西洋史。英国エクセター大学人文社会科学研究科歴史学専攻博士課程修了。PhD (History)。早稲田大学日欧研究機構次席研究員、広島大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、2021年4月より立命館大学文学部准教授。著書(単著)にBritain and Colonial Maritime War in the Early Eighteenth Century: Silver, Seapower and the Atlantic (Boydell & Brewer, 2013)、『<海賊>の大英帝国――掠奪と交易の四百年史――』(講談社選書メチエ、2018年)がある。
コメンテーター:
伏見岳志 (慶應義塾大学商学部 教授 )
専門はラテンアメリカ史、大西洋史。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学教養学部助手を経て、現在慶應義塾大学商学部教授。著書(共著)に『近代ヒスパニック世界と文書ネットワーク』(悠書館、2019年)『史料が語る東インド航路』(勉誠出版、2021年)などがある。
日 時
2024年7月27日(土)14:00~17:30
会場
戸山キャンパス39号館6階第7会議室(先着15名)
またはオンライン(Zoom)参加
プログラム
14:00~14:10 開会挨拶(谷口眞子)
14:10~15:10 講演:
「移動と権力――ジェンキンズの耳戦争期のイギリスにおける「航行の自由」概念の援用とその背景――」(薩摩真介)
15:10~15:30 休憩
15:30~15:50 コメント(伏見岳志)
15:50~17:30 討論
閉会挨拶(谷口眞子)
司 会
谷口眞子(早稲田大学文学学術院 教授)
対 象
教員、研究者、一般
主 催
早稲田大学 高等研究所
申込み
登録期間が過ぎましたため締め切らせていただいております。
ポスター