高等研究所セミナーシリーズ
【ポスト・コロナ時代のグローバル・ヒストリー研究】公開講演会:
「極東での独丁戦争―天津沖でのデンマーク商船拿捕事件をめぐって」(12/23)
趣旨
1864年春、ヨーロッパではユトランド半島に位置するシュレースヴィヒの帰属をめぐって普墺両国とデンマークが交戦(独丁戦争)していた頃、中国の天津沖ではある事件が起きていた。極東に派遣された1隻のプロイセンの軍艦が中国の領海内でデンマーク商船を拿捕したのである。このとき清朝政府はヨーロッパ国際法を援用してプロイセンに抗議、後者がデンマーク商船を解放することで幕が引かれるのだが、これについては、中国が国際法を援用した初めての事例として、先行研究(特に中国における国際法研究)ではよく引き合いに出されている。しかしながら、肝心の事件そのものについて、さらにはこのときのプロイセン側の動きについては関心が寄せられず、依然としてよく知られていないところが多い。そこで本講演では、主にプロイセンの外交文書を用いて、この事件の全貌に迫りたい。そして、それが独丁戦争やビスマルク外交、さらにはドイツ統一問題にどのような影響を及ぼしたのか、極東での「海」の問題からグローバルな文脈で考察してみたい。
登壇者
飯田洋介 (駒澤大学文学部 教授)
1977年茨城県生まれ。専門はドイツ近現代史。2008年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。早稲田大学文学学術院助手、岡山大学大学院教育学研究科講師、同准教授を経て、2021年より駒澤大学文学部歴史学科准教授、現在、同教授。著書に『ビスマルクと大英帝国:伝統的外交手法の可能性と限界』(勁草書房、2010年)、『ビスマルク:ドイツ帝国を築いた政治外交術』(中公新書、2015年)、『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争:ビスマルク外交を海から捉えなおす』(NHKブックス、2021年)などがある。
日 時
2023年12月23日(土)14:00~17:30
会場
オンライン開催 ※ZOOM
プログラム
14:00~14:10 開会挨拶(谷口眞子)
14:10~15:10 講演:
「極東での独丁戦争―天津沖でのデンマーク商船拿捕事件をめぐって」(飯田洋介)
15:10~15:30 休憩
15:30~17:25 討論
17:25~17:30 閉会挨拶(谷口眞子)
司 会
谷口眞子(早稲田大学文学学術院 教授)
対 象
大学院生、教員、一般
主 催
早稲田大学 高等研究所
申込み
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