セミナーシリーズ 第1回「宇宙論研究の最前線 – Tokyo New Faces in Cosmology -」(9/22)
主 旨
海外の第一線で活躍し、コロナ禍により帰国して東京近郊の研究機関に所属する研究者を招いて、ハイブリッド形式のセミナーシリーズとして開催する。オンライン配信で彼らの最先端の研究を紹介する機会を設けるとともに、現地での顔を合わせた議論によって早稲田大学を含む近隣の研究者が新しい研究を創発する契機としたい。
※ 当面はオンライン配信のみ
日 時
2021年9月22日(水)14:00~16:00
実施形態
Zoomによるオンライン配信
参加申込み
本イベントの受付は終了いたしました。誠にありがとうございました。
講演者
難波亮(理化学研究所 上級研究員)
2013年9月ミネソタ州立大学(アメリカ)にて物理学博士号を取得後、2016年9月まで東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)、2019年8月までMcGill University(カナダ)、2021年4月まで上海交通大学李政道研究所(中国)にて、それぞれ博士研究員を経る。2021年5月より現在まで理化学研究所・数理創造プログラムにて上級研究員に就く。専門は理論的宇宙論を基として、素粒子論・重力理論など。
講演概要
「宇宙論における低エネルギー有効理論への還元と、UV理論との整合条件について」
現在までに得られた宇宙論観測データは、インフレーションと呼ばれる超高エネルギーの初期宇宙の急激な膨張、そして現在の宇宙の加速度膨張を強く示唆している。通常の物質の振る舞いでは説明不能なこれらの振る舞いは、有効理論(EFT)の立場に立つと、時間方向の局所座標変換についての対称性の破れと、それに対応するスカラー量で書き表すことが可能になっている。その代表例として、k-essenceと呼ばれる理論(インフレーションの文脈ではk-inflationとも呼ばれる)があるが、一方でその理論には一般にcausticsという動的特異点の存在が知られていて、その特異点近傍では有効理論が破綻してしまう。このトークでは、その特異点が、適切なUV理論において整合的に解消される機構を紹介する。また、UVでの安定性の条件から、EFTの観点からのみでは得られない、しかしEFTが満たさなければならない整合性条件が導出されることを議論する。
プログラム
14:00~14:10 開会の挨拶と趣旨説明(藤田智弘/早稲田大学高等研究所)
14:10~15:20 「宇宙論における低エネルギー有効理論への還元と、UV理論との整合条件について」(難波亮)
15:20~15:30 休憩
15:30~15:55 討論 コメンテーター(木村蘭平/早稲田大学高等研究所)
15:55~16:00 開会の挨拶(藤田智弘)
主 催
早稲田大学高等研究所