【今週の相談】
麻しんの予防接種は、諸外国で行われているのでしょうか。
グローバル化が進む今、世界的な感染状況が気になります。
(社会科学部4年 女性)
保健センター保健師
石井 美樹(いしい みき)
麻しんは「はしか」とも呼ばれ、“赤い発疹”を特徴とし、風邪様症状(高熱・咳・鼻水・結膜炎症状など)を伴う全身疾患です。特効薬はないので症 状に対する治療が行われ、一度かかると一生免疫が持続するといわれています。しかし、まれに合併症として脳炎を発症したり、死亡することもあるので、感染 予防が大切です。麻しんの免疫を持っていない人が発症者に接すると90%以上の人が発症するほど感染力が強く、空気感染もするので手洗いやマスクでの予防 はできません。麻しんワクチンの接種が有効な予防法です。
諸外国での予防接種状況ですが、2013年には世界の小児の84%が1歳までに1度目の麻しんワクチン接種を受けています。確実に免疫を付け集団発生を予防するために2回接種が推奨され、2回の接種を定期予防接種としている国は日本を含む148カ国です。
麻しんワクチンによって、全世界での麻しんによる死亡者数は54万4,200人(2000年)から75%減の14万5,700人(2013年)と なりました(WHO調べ)。麻しんは多くの発展途上国、特にアフリカやアジアの一部では今でも頻繁にみられる疾患ですが、欧米などの先進国でも流行がみら れます。また、日本でも2007年から2008 年にかけて大流行がありました。
自分の身を守るとともに、自分自身が麻しんの運び屋にならないためにも予防接種歴をいま一度確認してみましょう。また、麻しんにかかったことがあ ると思っていても、実は麻しんではなかったということもあるので、一度免疫の有無を確認するために抗体検査を受けることをお勧めします。
以下の項目にチェックが入ると麻しんにかかる可能性が高い
□予防接種を受けたことがない・もしくは1回しか受けていない
□抗体検査を受けたことがない
□医療機関・教育機関で働く予定・もしくは実習する予定がある
□海外旅行・留学予定がある