Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早大生リポート

「教育学科の歩き方」 院生と創る学びのコミュニティー

10年間の蓄積データを下に相談会でサポート

大学院教育学研究科 修士課程 2年 藤本 啓寛(ふじもと・たかひろ)

教育学科生が「より充実した学生生活を送ることができるように」との思いから、2018年1月26日(金)、29日(月)、30日(火)、31日(水)の4日間、教育・総合科学学術院 教育会と教育学科の先生方、そして卒業した先輩方のご協力の下、企画展・相談会「教育学科の歩き方」を開催しました。

 

 

 

 学びを支えるコミュニティーの“薄さ”

振り返ると私は、学部生のときに「学びを支えるコミュニティーの薄さ」を感じていたように思います。早稲田大学は日本大学に続き、国内で学生数が2番目に多い大学です。1学年1万人の分厚い同窓生は、卒業してみると心強く感じられるものの、当の在学期間中はあまり実感が湧きませんでした。私にとって学内で最小単位の所属であった教育学専修でさえ80人も在籍し、必修授業のみの関わりでは友人関係はごく少数に限られました。いわんや先輩・後輩は、講義型が中心だった授業だけでは関わる機会さえありませんでした。2年生まではサークルや学外活動での友人関係が中心であり、3年生から始まる2学年交えてのゼミ活動で初めて「学びを支えるコミュニティー」ができたような感覚を抱いたのを覚えています。「学びを支えるコミュニティー」とは、一人一人の問題意識を大切にしつつも、切磋琢磨(せっさたくま)しながら共同的な学びに巻き込んでいくコミュニティーです。早稲田大学には多くの学生が在籍しているがゆえ、学びを支えるコミュニティーが薄まるという逆説的な現象が起きていたように感じていました。

企画の原点 「研究会・CoERA」

研究会・CoERAでは、専門用語の使用をなるべく控えることを心掛けています

一方で私は、そういった感覚を自覚しないまま、大学院に進む仲間たちを中心に「CoERA(Collaborative Education Research Association/協働的教育研究会)」という自主研究会を4年次に立ち上げました。CoERAでは、「教育研究」という緩いテーマ設定を逆手に取り、自身の専攻や研究、その価値を、当該分野の素人に近い他者に分かりやすく伝えるコンテンツを開発し、月に1回の研究会を開催しました。研究会メンバーからは、「ゼミとは異なる学びのコミュニティーの意義深さ」を伝える声がいくつも上がりました。大学院進学希望の後輩メンバーからは、大学院の実情や研究の意味を感じられると好評でした。私は次第に、個々の学びが重なり合う研究会・CoERAの開催と、前述の学びのコミュニティーへの渇望が重なっていることに気付きました。そこで、CoERAのメンバーを母体として「教育学科の歩き方」の企画をスタートさせました。数人のコア・メンバーでスタートした本企画でしたが、教職員・校友・現役学生総勢80余名に協力いただき、丸1年かけて開催にこぎつけることができました。

教室いっぱいに描かれた「学びの航海図」

単なる企画展に終わらせず、立ち寄って話せる空間を作ろうと、「相談会」も取り入れたのが本企画のウリでした

企画展・相談会「教育学科の歩き方」は、教育学科の学生を対象とした学生支援イベントです。学生が集まるラウンジに隣接した教室(会場)の入り口では、専攻・専修ごとの学びの地図をパネルにして掲げ、来場者を出迎えました。教室の奥では、教育学科生の中では少数派の進路である教員就職や大学院進学を考えている学生を支援するため、過去10年間でその進路を選んだ先輩にアンケートをお願いし、生の声を集めて展示しました。また参加者には、学生をサポートしてくださる各専修の助手の方へのインタビュー、国内随一の蔵書量を誇る中央図書館や、10年間の指導経験値が詰まったライティング・センターのデータなど、学内に点在する学びに役立つ資源をかき集め、そのうまみを凝縮した冊子『教育学科まるわかりブック』を配布しました。これらのコンテンツを見終えた後には、企画展・相談会スタッフが個別で相談に乗る体制も整えました。中には、学修や進路の悩みを1時間以上話す人もいましたが、一緒に考えることで、視野を広げたり、納得して選択ができるようになってもらえたと思います。

つながりを紡ぐ、学生「参画」のオルタナティブ

延べ40人を数えた参加者からは、「進路の参考になった」「先輩が親身に相談に乗ってくれた」といった声をいただくことができました。企画側のスタッフからも、「後輩の力になることができ、やりがいがあった」といった声が上がりました。また、「学期が始まる4月に再開催してほしい」など、前向きな意見もいただきました。この企画展で生まれた学年内・学年間のつながりを、今後も継続していきたいと考えています。

「教育学科の歩き方」のポスター

早稲田大学では、中長期戦略Waseda vision150の核心戦略の一つに「大学の教育・研究への積極的な学生参画の推進」を掲げています。全学規模で行われるVision 150学生提案コンペや学生授業アンケート、多岐にわたるスチューデント・ジョブなど、その取り組みは十分評価されるものでしょう。一方で、「参画」というカッチリとした形式を用意しつつ、インフォーマルなネットワークといった、特定の形式を持たない学生の可能性が芽吹きやすい地盤があると、なお良いと感じています。主客明快な概念に学生の可能性が押し込められるのは少しもったいないと感じています。顔が見え、感覚を共有できる身近さを大切に、お金や打算的な利益に収まらない動機が集まって初めて、「学びを支えるコミュニティー」は生まれうるのではないでしょうか。

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