「JA共済寄付講座 東北復興のまちづくり ―農からの地域創生―」を受講して
教育学部 1年 白石 太一(しらいし・たいち)
私がこの講座「JA共済寄付講座 東北復興のまちづくり―農からの地域創生―」(グローバルエデュケーションセンター設置科目)を受講しようと決めたのは、どんな形であれ被災地に関わることで少しでも復興の役に立ちたいという思いがきっかけでした。この講座の趣旨は“復興の<実感>と産地ブランドの<発掘>”です。今年度は会津(福島県)、いわき(同)、陸前高田(岩手県)、久慈(同)、気仙沼(宮城県)の5チームに分かれてそれぞれ3度フィールドワークを行い、それを基に昨年11月の「東北キッチン@早稲田」というイベント、1月のブックレットの完成を目指して授業が行われています。
私は、原発事故による風評被害が比較的大きかった福島県の会津チームに入りました。会津チームのフィールドワークでは、農家の方々に加えて「道の駅」の駅長さん、会津若松市役所の方々など、多方面から震災当時の様子や復興の状況などについてのお話を伺うことができました。実際にほとんどの方が震災による影響で売り上げが落ちて苦しかったというお話をされていましたが、ある柿農家さんが「武士は食わねど高楊枝(ようじ)」と表現されたように、苦悩を表には出さず、誇りを持って必死に立ち直ろうとする姿に胸を打たれました。また、全ての農産物を放射能検査するのはとても苦労するそうですが、「全部検査しているから、福島の物は日本一安全なんだよ!」と力強く語る農家さんたちの言葉には、重みと説得力がありました。福島の食材を口にすることを不安に思う人たちに、この思いが届いてほしいです。
3回のフィールドワークが終わった直後の昨年11月18日(金)から11月25日(金)にかけて、「東北キッチン@早稲田」というイベントを開催しました。このイベントは、フィールドワークを通して発掘した各地域の食材を使った料理やスイーツを、早稲田周辺の飲食店で提供して、東北の味を知ってもらおうというものです。生産者の方との交渉、協力してくださるお店探し、メニュー調整など、普段したことのないことだらけだったので、なかなか思ったようにはいきませんでしたが、自分たちが魅力を感じて選んだ食材が実際に調理されて、お客さんに召し上がっていただいたときの感動は、言葉になりませんでした。それと同時に、一つの料理をお客さんに召し上がっていただくまでの過程には、農家の方をはじめ多くの人たちが関わっているのだなと感じました。
この講座のおかげで、自分の足で現地へ行ったことで自分と東北との間につながりができ、遠かった東北との距離が縮まりました。同時に、現地に行けなくても、東北についてもっと関心を持つことや東北の物を食べることでつながることができるということを学びました。復興支援と聞くと堅苦しい印象を受けますが、大事なことは、より多くの人が東北とつながることだと思います。