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「睡眠×運送業界」で社会課題の解決へ ビジコン最優秀賞から起業を目指す

「早稲田での出会いが、起業への一歩につながりました」

社会科学部 2年 小田 啓太(おだ・けいた)

早稲田キャンパス 14号館前にて

2026年7月に開催された「第29回早稲田大学ビジネスプランコンテスト」(以下、ビジコン)で、最優秀賞を受賞した小田啓太さん。睡眠不足による運送業界の事故リスクに着目し、ドライバーの状態に応じた配車変更を支援するサービス「SleepBank Safety」を考案しました。大学入学時には起業への“漠然とした憧れ”しかなかったという小田さん。今回は、ビジネスに関心を持ったきっかけや「SleepBank Safety」に込めた思い、事業化に向けた今後の展望について聞きました。

――ビジコンに出場したきっかけを教えてください。

入学当初より、大学生向けのビジコンを運営する学生団体「Business Contest KING 実行委員会」(以下、KING)に所属しています。運営する側にもビジネスプランに関する知識が必要ということで、団体内で実際にプランを考える機会があり、そこでビジコンの面白さを知りました。

そんな中、早稲田でもビジコンを開催していることを知り、「自分も出てみよう」と思ったのがきっかけです。本格的なビジコンへの出場は初めてだったので、最優秀賞を頂いた時はめちゃくちゃうれしかったですね。自分の能力やこれまでの活動が社会でどれくらい通用するのか分からなかったので、評価していただけたことが自信になりました。

写真左:東京大学を拠点とする日本最大級のビジコン運営団体「Business Contest KING 実行委員会」の様子
写真右:「社会課題を解決するビジネスプラン」であり、「プレゼンテーションの巧みさ」が最優秀賞へとつながった

――「SleepBank Safety」は、どのようなサービスですか?

運送業界では、アルコール検査と同様に、ドライバーが睡眠不足かどうかを乗車前点呼で確認することが求められています。一方、問題が見つかってドライバーを交代させる場合、代わりの人を探したり、便を変更したりする作業は管理者の経験や判断に頼っている部分が大きいんです。

「SleepBank Safety」は、そうした配車変更を支援するサービスです。当初は睡眠データの取得から配車変更、さらに事故が起きた際の保険評価までを一つにつなぐ構想でしたが、現在は既存の点呼サービスなどと連携しながら、特に配車変更に重点を置いて事業化を進めています。

例えば、あるドライバーの睡眠不足が発覚した場合、休憩後に再度乗務させるのか、別の便に変更するのか、それとも別のドライバーに交代するのか。そうした選択肢を分かりやすく提示し、管理者だけにノウハウが集中している業務を効率化して、汎用性のあるサービスとして提供したいと考えています。

「睡眠データで、事故を未然に防ぐ」をコンセプトに立案した「SleepBank Safety」

――なぜ「睡眠」と「運送業界」に着目したのでしょうか?

元々睡眠そのものに興味がありました。人間は人生の約3分の1を寝て過ごしますよね。昔から「睡眠時間の有効活用」について考えていて、大学受験の際には、「睡眠時間を上手に使えたら受験勉強をもっと効率良く進められるのに」と思ったこともあります(笑)。

そこから睡眠に関するビジネスを考えるようになり、「睡眠に関して大きな課題を抱えているのはどこだろう」と調べていく中で、睡眠不足が重大な事故につながる可能性のある運送業界にたどり着きました。自分の興味と社会課題が結び付いた形ですね。

また、プランを作る上で一番難しかったのは、既存のサービスとの差別化です。睡眠に注目する企業は増えていますし、スタートアップが大企業と同じことをしても意味がありません。「なぜ自分たちがやる必要があるのか」を考え続け、まだ十分にサービスが提供されていない配車変更の部分に注力するようになりました。

客観的データにより「配車変更」をスムーズに行う

また、ビジコンに向けては、実際に運送会社にヒアリングを行い、本当にその課題が存在するのかを確かめることを大切にしました。スライド資料も、一目で問題の大きさが伝わるように事故件数などを数字で見せるなど、分かりやすさを意識。審査員の方からプレゼンテーションについて高く評価していただけたこともうれしかったです。

――大学入学時から起業を目指していたのですか?

いいえ、当時は「いつか起業できたらいいな」という漠然とした憧れくらいでした。KINGには長期インターンをしている学生や起業を目指している学生がたくさんいて、刺激を受けたことが大きかったですね。

そこで「まずは自分も行動してみよう」と、大学1年生の時に生成AI関連のスタートアップで約1年間、長期インターンを経験。さらにシステム開発やAIの活用について学び、その後も複数社でインターンを経験する中で、少しずつ起業に対する解像度が上がっていきました。今回のビジコンは、自分でも実際に起業に向けて一歩踏み出そうと挑戦したんです。

KINGのチームメンバーと。後列右端が小田さん

――社会科学部での学びや早稲田の環境は、現在の活動にどう生きていますか?

入学時はまだやりたいことが明確ではなかったので、いろいろな分野を学べる社会科学部を選びました。起業を考えるようになった今、経済学や経営学、政治学、法学など、この学部で幅広く知識を得られることが強みになっていると感じています。

特に、小阪玄次郎先生(社会科学総合学術院教授)の「経営学」の授業では、実在する企業を題材に「なぜ業績が伸びたのか」、あるいは「下がったのか」を学べ、現在の活動にもつながっています。秋学期からは「制度設計の経済学」を学べる笠島洋一先生(社会科学総合学術院准教授)のゼミにも所属しているので、そこでの学びを自身の事業に生かしたいと考えています。

早稲田大学では、勉強だけでなく視野が広がるさまざまな経験ができる機会が用意されていますし、友人と集まって話し合ったり作業したりできるラウンジがたくさんある環境なのも良いですね。

写真左:経営学の理解の一助となった葛山康典教授(社会科学総合学術院)の授業風景
写真右:授業以外にも、 2025年には「本庄~早稲田100キロハイク」に参加するなど、学園生活も充実

――今後の目標を教えてください。

最優秀賞をいただいた後、「2026年度WASEDAギャップファンド・プロジェクト」にも選出され、現在は仲間と2人で事業化に向けた検証を進めています。実際に運送業界の現場でヒアリングや調査を重ねながら、業界全体の課題に対して実現可能な解決策を作っていきたいと思っています。

また、「世界を変える学生起業家、その頂点へ。」と銘打つ「SPIKES Pitch in IVS2026」(4S株式会社主催)では、選考を勝ち抜いて決勝登壇する12組にも選出され、同世代ですでに事業を進めている起業家たちと出会えたことも財産となりました。

「SPIKES Pitch in IVS2026」のwebサイトに掲載

まだ将来のキャリアを明確に決めているわけではありませんが、「SleepBank Safety」を事業化する機会をいただいているので、なんとか形にして運送業界の課題解決につなげていきたいですね。

第937回

【プロフィール】

2026年夏に東京ディズニーランドへ行った際の一枚

東京都出身。東京都立新宿高等学校卒業。Sleep Bank CEO。「Business Contest KING 実行委員会」「AGESTOCK 実行委員会」に所属。最近はNetflixでドラマを見ることにハマっている。好きなワセメシは「東京麺珍亭」。

Instagram:oda_kei.ix13

早稲田が分かる大学公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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