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AI時代と大学

本格的なAI時代の到来である。米国では直近の経済成長率のほぼ全てをビッグテック企業によるAI投資が牽引している。反面、AI失業(※)がニュースになっている。現状、世界の失業率がそれで上昇しているというわけではないが、MIT(マサチューセッツ工科大学)のある学生は、AGI(汎用AI)の到来で人類消滅の可能性が増したと考えて、大学を中退し、今はAIの安全性を訴える非政府組織(NGO)で働いているという。

※ AIの導入によって人間に対する労働需要が減少し、失業や雇用の変化が起こること

この時代への大学の対応は、善かれ悪しかれ遅い。そういうものであり、それで良いという意見もありうる。所詮、流行は移ろいやすい。時々の変化に最適化することが、長期的に見て最適な対応とは限らない。しかし、大学は知識の生産に携わる。反応は遅くとも良いが、感度が鈍くてはいけない。学生は講義ノートをAIに読み込ませて分かりやすく教えてくれ、と指示すれば良い。数学では、これまで時間が掛かっていた問題をAIがすでに高速で解けるようになっている。産業革命が人類を苦役労働から(おおむね)解放したように、現在進行中のAI革命は、人類を知的労働からも解放しつつある。

では、AI時代でも役に立つ知識、スキルは何か。あくまで米国のデータに基づくものだが、対人関係に関わる社会的スキルと、プログラミング、データ処理などの数学的なスキルを比較した場合、社会的スキルが高い方が雇用においても賃金においても上回る傾向が見られる。社会的スキルの涵養(かんよう)は、大学としてもまだ成しうることかもしれない。ただし、最大の問題は、私自身を含めて大学人は社会的スキルを教えるのに優れているとは言い切れないことだろう。

(NI)

第1188回

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