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日中韓の架け橋に! 国境を越えて学生たちで考える国際プログラムに挑戦

「国際関係を良好にするために、周りの人たちにも働き掛ける仕事をしたい」

法学部 4年 諸見里 安奈(もろみざと・あんな)

早稲田キャンパス 8号館にて

日中韓三国の平和、安定および繁栄を促進するために設立された国際機関「日中韓三国協力事務局(Trilateral Cooperation Secretariat、以下、TCS)」。その青少年交流事業である、「日中韓ユース・サミット2024(以下、ユース・サミット)」「日中韓青年大使プログラム2025(以下、青年大使プログラム)」「日中韓三国青年スピーチコンテスト2025(以下、スピーチコンテスト)」のプログラム に参加し、日中韓の関係をより良くするための活動をしている諸見里さん。スピーチコンテストでは日中韓3言語でスピーチを行い、予選大会を通過した12名の中からチャレンジャー部門で見事一位に選ばれました。そんな諸見里さんに、TCSのプログラムに参加しようと思ったきっかけや活動内容、今後の展望などを聞きました。

――TCSのプログラムに参加しようと思ったきっかけは何ですか?

2023年に早稲田大学のDouble Degree Programsを利用して北京大学に留学した際、先輩に教えてもらったのがきっかけです。父が日本、母が中国出身という家庭で育ったことで、どちらの文化にもなじみがあり、日中両国や東アジアの関係性にとても興味がありました。また、高校のクラスに韓国人が多く、仲良くするうちに韓国語も少し話せるようになっていたので、ぜひ挑戦してみたいと思って応募しました。

――TCSのプログラムではどのような活動をしましたか?

ユース・サミットでは、日本・中国・韓国・TCSの四つの代表チームに分かれて、環境や文化、教育など三国共通の課題についてサミット形式で議論し、最終的に議論の結果を発表し合いました。私が参加した2024年のサミットは8月に1週間ほど韓国・ソウルで行われ、韓国文化体験や市内ツアーなども含まれており、学びと体験のバランスが取れた充実した時間を過ごせたと感じます。サミットは政治や日中韓の国際関係に関するものですが、プログラム以外の共同生活では互いの国の文化も体験でき、異文化理解に役立ちました。

写真左:ユース・サミットでのミーティング中の様子。右から2番目が諸見里さん
写真右:ユース・サミットを終え、プログラムの修了証と共に

青年大使プログラムは、三国間協力について9日間かけてディスカッションを行うプログラムで、私は2025年2月に参加し、3カ国の海洋環境問題についてプレゼンテーションを行いました。ユース・サミットは大学の学部生が多かったのに対し、このプログラムは大学院生や博士課程の人が多かったです。プレゼンテーションを一緒に行った中国と韓国のメンバーとは意気投合し、今でも連絡を取り合い、その後一緒に海外旅行へ行くなど、国境を超えた素晴らしい友情を築いています。

二つのプログラムを経て、2025年5月のスピーチコンテストには、自分の語学力を試すために挑戦しました。与えられた題は「共に歩む今日、成長する未来:日中韓交流ストーリー」で、自分で自由に発想すること。これに対して、私は「似て非なる 日中韓の若者交流におけるプラットフォームの重要性」 というテーマを設定し、「情報が氾濫する現代だからこそ、その情報の真偽を見極めて理解するためのプラットフォームの存在が、国々の対話や協力の促進において重要」という内容のスピーチをしました。TCSの李熙燮(い・ひそぷ)事務総長をはじめ、三国を代表する来賓の方々に審査していただき、コンテスト終了後には、人生経験や国際的な舞台で働く意義について直接伺うことができました。一位を受賞したことで語学への自信も付きましたし、大変光栄な機会でしたね。

写真左:青年大使プログラムでプレゼンテーションをしている様子
写真右:スピーチコンテストチャレンジャー部門一位のトロフィーと賞状を手に

三つのプログラムを通して、歴史と今の出来事がぶつかり合う東アジア関係の難しさを痛感した一方で、東アジアの若者同士が話し合うことで誤解が減り、お互いへの信頼が生まれることを実感しました。また、プログラムで、国際関係には文化やアイデンティティー、歴史の記憶が大きく影響していることを理解したことで、法律や仕組みだけでなく、歴史や社会で起きている具体的な事例にも目を向ける必要があると学びました。そして、日本・中国・韓国の違いは壁ではなく、むしろ協力を進める力になると強く思っています。

――活動を通して、苦労したのはどんなことですか?

プログラムによって環境が異なるため、体調管理に一番苦労しました。 青年大使プログラムでは期間中に熱を出してしまったんですが、中国や韓国のメンバーが片言の日本語で「一緒に病院へ行こう」と言って付き添ってくれて。国際背景など関係なく、こんなにも温かい友情が生まれるのだと実感しましたね。

――早稲田大学法学部に進学した理由や、大学で学んでいることは何ですか?

留学制度がとても充実しているので早稲田大学を選びました。また、国際関係に興味を持っていたので、国際法を学べる法学部への進学を決めたんです。大学では主に法律を勉強している一方で、留学した北京大学では、国際関係を中心に学びました。学ぶうちに、国際関係は人間関係と同じように、仲良くしたいという思いや理想だけでは成り立たず、立場や事情が違うためにどうしても対立してしまう現実があると感じ、そうした複雑な国際関係を今後さらに深く知りたいと思っています。

北京大学で友人に撮ってもらった一枚

――最後に、今後の展望について教えてください。

取材中の諸見里さん

国際関係についてもっと学ぶために、今はイギリスと中国の大学院へ出願しており、進学に向けて準備を進めています。大学院でさまざまな知識を身に付け、自分たちの環境や国同士の関係性をより良くするためにはどうすれば良いのか、周りの人たちにも意識してもらえるよう働き掛けていきたいです。

また、大学院の修士課程を終えた後は、TCSのような国際機関で働きたいと考えており、実際に2026年の2月から3月にかけて、ソウルのTCS本部で 2カ月間インターンシップに参加する予定です。そこでの学びも生かして、これからはTCSだけでなく、国際連合などの機関で国際関係をより良くするための仕事ができればと思っています。

第917回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
人間科学部 3年 西村 凜花

【プロフィール】

スピーチコンテスト終了後、韓国・釜山市を散歩した時の一枚

上海出身。趣味は、好きなジャズを作曲して歌ったり、三線(さんしん)や琴を弾いたりすること。散歩をするのも大好きで、早稲田から大手町を往復5時間歩くこともあるそう。好きなワセメシは「GOOD MORNING CAFE 早稲田」のさつま芋スティック蜂蜜バターディップ 。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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