
最近、高田馬場や早稲田周辺に店舗数が激増している「ガチ中華」。ガチ中華とは、日本人好みの味に寄せていない本場そのままの中国料理のこと。馬場歩きをする途中やキャンパス周辺で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか? 一方で、気になってはいても「とっても辛いんじゃないの?」「お店の人とコミュニケーションは取れる?」といった不安から入店をためらった経験もあるのでは。そんな疑問を解消すべく、『早稲田ウィークリー』編集室の早大生リポーターが、ガチ中華を実食! 気になる味やお店の雰囲気をお届けします。新たなワセメシの選択肢にいかが?
※記事中の価格は全て税込み。掲載情報は2025年11月現在のものです。
INDEX
▼陝西省の絶品ビャンビャン麺が味わえる「陝西面館 」
▼高田馬場で湖南料理を食べるならここ!「湘遇 TOKYO」
▼学生にうれしいビュッフェ付きランチ「拾味」
▼中国出身早大生の激推し「隴垣金城 蘭州清湯牛肉面」
▼北京で大人気の“肉餅”の名店が日本に初出店「河沿肉餠」
▼各店舗の地方マップ
この3人がリポート!
人間科学部 3年 西村 凜花(にしむら・りんか)早稲田ウィークリーリポーター(SJC学生スタッフ)
大学院商学研究科 修士課程 1年 孫 暢(そん・ちょう)
大学院文学研究科 修士課程 1年 川口 栞奈(かわぐち・かんな)早稲田ウィークリー読者モニター

(左から)西村さん、孫さん、川口さん
陝西省の絶品ビャンビャン麺が味わえる「陝西面館 」

店舗入り口の様子
JR高田馬場駅から早稲田キャンパスと反対方向に早稲田通りを歩くこと約4分。中国出身の学生から、「本場そのままと言っても過言ではない味」と太鼓判を押されたお店が、陝西(せんせい)省の名物・ビャンビャン麺を提供する「陝西面館(せんせいめんかん)」。陝西省はシルクロードの東端に位置しているためイスラム文化の影響を受けており、牛肉や羊肉を使った料理が多いそうです。ちなみにビャンビャン麵は漢字で書くと「𰻞𰻞麺」! 世界一画数の多い漢字として知られています。
店内に入ると、店主が笑顔で出迎えてくれました! メニューはメインの麺料理が7種類の他、ラー油と牛スネ肉のしょうゆ煮込みなどのサイドメニューとドリンクがあります。ハラル対応のお店のため豚肉料理とアルコール類の提供はしておらず、麺の辛さは3段階から選ぶことができます。陝西省出身の店主はあまり日本語を話すことはできませんが、とっても気さくで親切! お薦めのメニューを指さしで教えてくれました。
写真左:店主と店内の様子。席は11席でカウンターのみ
写真右:壁に掛けられているメニューの一覧
注文したのは、お店で1番人気の「陝西名物 三合一ビャンビャン麺」と、「油泼麺(ようぽーめん)」。「陝西名物 三合一ビャンビャン麺」は、きしめんのように幅広い麺の上に肉みそ、牛肉の角煮、トマトと卵の炒め物が大胆にトッピングされていて具沢山で、最後まで飽きることなくおいしく食べられます。よく混ぜることでトマトの酸味と卵が絡み、まろやかな味わいを楽しめました! 麺もコシがあり一杯で満腹になります。
写真左:「陝西名物 三合一ビャンビャン麺」1,280円
写真右:ビャンビャン麺にタレを絡めた様子。モチモチの麺に肉みそがよく絡む!
「油泼麺」は、平打ちでコシのある手打ち麺に柔らかい牛肉の角煮を合わせ、香ばしいラー油をかけた一品。お酢の風味が強く、青菜のシャキシャキ感が良いアクセントに。店主お薦めの辛さ2でもピリ辛程度だったので、辛いのが苦手な人でもとても美味しくいただけます。ビャンビャン麺とは違った爽やかさがあり、こちらも絶品!

「油泼麺」1,180円
料理の提供が早いので、午後からの授業前に食べるのにもお勧めです。ランチタイムにぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
西村さん
店主の方がとにかく気さくで優しいです! 食べる前には、よく混ぜるとおいしいと教えてくださったり、食べている途中には、無料でピーナツをトッピングして味変をしてくださったりと、お客さんにおいしく食べてもらうための思いやりにあふれています。
店舗情報
【店名】陝西面館
【住所】東京都新宿区高田馬場3-12-7
【TEL】04-2947-5004
【営業時間】11:30~15:00、17:00~21:00
【定休日】火曜日
高田馬場で湖南料理を食べるならここ!「湘遇 TOKYO」

店舗入り口の様子
JR高田馬場駅から早稲田キャンパス方面に徒歩約6分、神田川沿いに店を構える「湘遇 TOKYO(しゃんゆーとうきょう)」。中国で一番辛いと言われる湖南地方の料理を提供しており、こちらも中国出身の学生から「本格的」と太鼓判を押されたお店です。湖南省は亜熱帯地域にあり、湿度が高く体熱がこもったり、血流が滞ったりするため、その対策として発汗作用のある辛い料理が食べられるようになったそう。
写真左:店内の様子。大きな窓ガラスから光が差し込み、明るく開放的
写真右:壁には店長のお勧め料理の写真が飾られている。ランチは880円から
注文は席にあるQRコードを読み込んで、スマートフォンから送信します。日本語対応かつ料理の写真も見られるので、初めてでも安心。また、辛さは無し・やや辛い・普通・とても辛い、の4段階から選ぶことができるため、辛いものが苦手な人でも本場の湖南料理を味わうことができます。
最初にいただいたのは、お店で1番人気のメニュー「牛肉の湖南風炒め」。細切りにしたピーマンと牛肉を、唐辛子などと合わせて炒めた料理で、爽やかな辛さの中にほのかな甘みがあります。ご飯が止まらなくなるおいしさです!

「牛肉の湖南風炒め」2,068円
次にいただいたのは、名物「丸ごと魚の頭の湖南風蒸し」。直径30㎝はありそうな鍋に、魚の頭部分と、「これでもか!」というくらいの香辛料が乗っており、インパクト抜群。使われている魚はハクレンというコイの仲間の淡水魚で、中国四大家魚(中国で古くから親しまれてきた4種の食用魚)の一つ。中国の内陸地方に住んでいる人は海魚をなかなか食べることができないので、川魚を食べる習慣が根付いたそう。

「丸ごと魚の頭の湖南風蒸し」3,278円
ただ、何といってもこの赤さ。さすがに辛いのでは? と内心ドキドキしながら口に運ぶと、そのうまみの強さにびっくり! 数種類の唐辛子の他に、大量に入っているニンニクやショウガの味が引き立つことで、見た目ほど辛さを感じません。淡水魚の臭みも全くなく、フワフワの白身にスープが絡み合い、まさに極上の味。こちらの鍋には〆の麺もセットになっていて、魚のだしと香辛料のうまみがたっぷり効いたスープが、幅広の麺によく絡んでたまりません。
写真左:魚をほぐした様子。海魚よりも骨が大きいのが特徴
写真右:セットの麺。ゆでた状態で提供されるのですぐに食べられる
また、この日はサービスで「キュウリとクラゲのあえ物」と、定食を頼むとセットで付いてくるご飯、スープ、ゆで卵、ザーサイ、杏仁(あんにん)豆腐もいただきました。「キュウリとクラゲのあえ物」はとてもさっぱりしていて、辛い料理の後に食べると特に爽やか。辛さはそこまで強くないので、サイドメニューにぴったりです。
セットで付いてくるゆで卵は、しょうゆと茶葉で殻ごと長時間煮込んでおり、ほんのりお茶の香りが漂います。中国では茶葉を料理に使うことも多く、ゆで卵以外にも肉と炒めたり、スープに使ったりすることもあるそうです。
写真左:「キュウリとくらげのあえ物」
写真右:定食にセットで付いてくるゆで卵、スープ、ザーサイ、杏仁豆腐
孫さん
このお店は本格的な湖南料理(湘菜)中心で、お勧めできます。もし魚の骨が気にならなければ、唐辛子魚頭をお勧めしますが、辛さ無し、または控えめの辛さで注文するのが良いと思います。また、ココナツジュースと桃フレーバーのお茶などの飲み物もおいしいです。
店舗情報
【店名】湘遇 TOKYO
【住所】東京都豊島区高田3-10-22 キャッスルアンザイ 1F
【TEL】03-4362-6555
【営業時間】11:00~15:00、17:00~23:00
【定休日】不定休
学生にうれしいビュッフェ付きランチ「拾味」

「湘遇 TOKYO」のスタッフから「系列店でビュッフェ形式の食べ放題のお店があります!」と聞き、せっかくなので行ってみることに。それがこちら、「拾味(しーうぇい)」。JR高田馬場駅から徒歩約1分、さかえ通りを入ってすぐの建物の2階にあります。
店内の様子。席は全部で約40席あるので、打ち上げなどにも使えそう
2024年1月にオープンした店内は、明るくて清潔感があります。留学生や中国出身のお客さんはもちろん、近隣の社会人や日本人学生からも大人気で、昼食時は満席になることも多いのだとか。メニューは卓上にあるタブレット、もしくはQRコードを読み込んでスマートフォンから注文する形式で、こちらもしっかり日本語に対応しています。
お店の推しは、ランチタイムにレギュラーメニューを頼むとセットで付いてくる食べ放題のビュッフェ! この日のメニューは、豚の耳とネギのあえ物、焼きそば、ザーサイ、キムチ、揚げパン、煮卵、スープ、ご飯。メインのおかずは日替わりで、唐揚げや点心が出ることもあるそうです。もちろん味もとてもおいしく、辛さもそこまで強くないのでおなかいっぱい食べることができます。

(左上から時計回りに)ビュッフェコーナーの様子、豚の耳とネギのあえ物と焼きそば、煮卵、ザーサイと揚げパン
レギュラーメニューは、お店で大人気の「豚肉と目玉焼き炒め木桶ご飯」を注文。豚肉と唐辛子の炒め物の下に、カリカリに焼いた目玉焼きが添えられています。しょうゆやニンニクが効いた甘辛い味付けのお肉と、目玉焼きとご飯の相性が抜群! 「湘遇 TOKYO」と同様に辛さは数段階から選ぶことが可能で、その日の好みやビュッフェのメニューに合わせて調節できます。

「豚肉と目玉焼き炒め木桶ご飯」980円
また、人気の点心メニュー「黄金揚げ饅頭」も頼んでみました。きめ細やかな生地はほんのり甘く、外はカリッと、中はふんわりほかほか。添えられている練乳につけると甘さが増し、辛いおかずの後に食べれば無限ループの完成です。6個は多いかな、と思っていましたが、完食してしまいました。なお、食べきれない場合はテークアウトすることもできます。

「黄金揚げ饅頭」480円
とにかくおなかいっぱい食べたいときにお薦めのお店です。ディナータイムも営業しているので、サークルや部活の帰りなどに訪れてみてはいかがでしょうか。
店舗情報
【店名】拾味(SHIWEI)
【住所】東京都新宿区高田馬場3-2-15 RESTA takadanobaba 2F
【TEL】03-6690-7978
【営業時間】11:00~15:00、16:30~22:30
【定休日】不定休
中国出身早大生の激推し「隴垣金城 蘭州清湯牛肉面」

店舗入り口の様子
早稲田キャンパスから徒歩3分、大隈通り沿いにある「隴垣金城 蘭州清湯牛肉面(ろうえんきんじょう らんしゅうちんたんにゅうろうめん)」。今回取材にあたり、中国出身の早大生数人にお薦めのお店を聞いたところ、なんと全員が激推ししたお店です!
写真左:店内の様子。席は全部で14席
写真右:中国で人気の飲料も数多く取り揃えている
お店に足を一歩踏み入れると、香辛料の香りが広がります。カウンター越しには店主が麺を手打ちする様子を見ることができ、現地の屋台に来たかのような感覚。留学生から日本人学生までさまざまな客層が来店しており、ランチタイムは特に大にぎわいです。
メインの麺料理の他に、サイドメニューもお薦めということで、今回は「干し豆腐のあえ物」と「蘭州ラーメン」を注文。麺は細麺・中細・平麺・太麺の4種類から選択できる他、ラー油やパクチーもトッピングの有無を選べるので、自分好みの味に調節することが可能です。
「干し豆腐のあえ物」は歯応えがあって、麺を食べているような感覚。キクラゲや野菜などもたくさん入っていて食べごたえがあります。黒酢と自家製ドレッシングを組み合わせた味付けで、サラダ感覚でさっぱり食べることができます。
写真左:「干し豆腐のあえ物」350円
写真右:「蘭州ラーメン」1,100円。1番人気の中麺を注文

「蘭州ラーメン」は、見た目が赤くて少し身構えますが、食べてみるとそこまで強い辛さを感じません。食べるほど食欲が増すような辛さで、どんどん麺に手が伸びていきます。
お店自慢の手打ち麺はとっても長くもちもちで、こしはあるけどスッとなくなる不思議な食感。おでんのような味のしみた大根や、薄くて柔らかいけど肉肉しい牛肉も乗っていて、満足感があります。牛骨や牛肉、鶏肉のだしにたくさんの薬膳を加えて煮詰めたスープはうまみがたっぷり。程良いスパイスでさっぱりしていて、ゴクゴク飲めてしまいます。早稲田キャンパスからごく近いので、空きコマにさくっと異国情緒を味わってみるのはいかがでしょうか。
川口さん
自分の好みにカスタムできることが印象に残っています。注文の時にパクチーの有無や辛さの希望も聞いてくれるので、苦手な人も大丈夫。辛さ控えめに注文して、机に置かれているラー油で後から辛さを加えるのがお勧めです!
店舗情報
【店名】隴垣金城 蘭州清湯牛肉面
【住所】東京都新宿区高田馬場3-12-7
【TEL】03-6233-8278
【営業時間】11:00~14:30、16:30~21:30
※ただし、蘭州ラーメンはスープがなくなり次第終了。
【定休日】土曜日
北京で大人気の“肉餅”の名店が日本に初出店「河沿肉餠」

店舗入り口の様子
2025年10月にオープンしたばかりの「河沿肉餅(かえんろーびん)」。戸山キャンパスのすぐそば、サイゼリヤがある並びにあります。北京に8店舗を構えるお店で、ここが日本初出店。店主の張さんは元々日中の翻訳会社のオーナーをしており、8年前に来日。日本で仕事をしている中で、もっと手軽に食べられる中国料理店が欲しいと思い、友人が経営する「河沿肉餅」の店舗を日本で出店するに至りました。
店内の様子。注文はQRコードを読み込んでスマートフォンから送信する。張さんは日本語ペラペラ!
この日は張さんが取材用に特別に、看板メニューの「牛肉餅」と「豚肉餅」をセットで提供してくれました。皮はサクッともちっとしており、ギョーザの皮をより厚く大きくしたような食感です。中に入っている餡(あん)は粗びきで、牛肉・豚肉いずれもたっぷりの大葱を混ぜ込み、よくこねて、しょうゆとごま油で味付けしています。一口でも満足度の高い味わいです。餅の形はクレープのように平たく、餡が端までたっぷり入っているため、どこを食べても皮と餡を一緒に楽しめます。
牛肉はこってり、豚肉はあっさりと、味の違いを楽しめるのもうれしいポイント。出来立てなので肉汁もたっぷりです。辛さは全くなく、1つでもおなかいっぱいになります。

「牛肉餅」(左)と「豚肉餅」(右)。単品で注文すると牛肉餅が1,180円、豚肉餅が880円
さらにこの日は「胡麻黒飴餅」もいただきました。ゴマ、黒あめ、蜂蜜を混ぜたピーナツバターのような味わいの餡が、カリカリの薄皮に包まれています。皮と餡が複数の層になっていて、いろいろな食感を楽しむことができました。食べたことがないのに、昔から食べているような気がするどこかほっとする味で、駄菓子のきなこ棒が好きな人はきっと気に入るはず。昼食時だけでなく、勉強で疲れたときのおやつにもピッタリです。

「胡麻黒飴餅」780円
川口さん
最近オープンしたばかりで店内がとてもきれいでした! ランチにも、おやつにも、ディナーにもお勧めです。注文してから作るのがこだわりなので、いつでも出来立てが食べられます。
店舗情報
【店名】河沿肉餠 西早稲田店
【住所】東京都新宿区西早稲田2-1-19 YKビル 1F
【TEL】080-4953-1188
【営業時間】11:30~15:00、17:00~21:00
【定休日】火曜日
☆各店舗の地方マップ
一口に中国料理といっても、各地方ごとにさまざまな魅力があるのが特徴です。今回取材した店舗は以下の地域の料理。“ガチ中華”を食べるときは、ぜひ地域ごとの違いに着目してみてください!

【次回フォーカス予告】12月5日(金)公開「本庄セミナーハウス特集」






