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世代や地域を超えて町や人々をつなぐ祭り 佐賀県唐津市「唐津くんち」 

2019年、「上杉謙信の兜」150年記念にて(筆者は右端)

日本、そして世界各地から早稲田にやってきた学生が、自身のふるさとを紹介する「早稲田ふるさと大使」。今回は、佐賀県出身の木村さんが、その魅力をお届けします。

「佐賀県って何があるの?」その答えの一つは、ここにあります

大学院教育学研究科(教職大学院) 高度教職実践専攻 1年
木村 紀喜(きむら・としき)

自己紹介で出身地を伝えると、「佐賀県って何があるの?」とよく聞かれます。確かに、隣の福岡県や長崎県に比べると、観光地としての知名度は高くないかもしれません。

しかし、佐賀県は早稲田大学と深いつながりのある土地です。早稲田大学創設者である大隈重信の出身地で、JR佐賀駅から車で5分ほどのところに、生家と大隈重信記念館があります。また、佐賀県唐津市には、早稲田大学の系属校である早稲田佐賀中学校・高等学校もあります。

唐津城を背景にした早稲田佐賀中学・高等学校(唐津市東城内から撮影)

私の地元・佐賀県唐津市の「唐津」は、「唐=異国」、「津=港」に由来し、九州北西部に広がる海域・玄界灘(げんかいなだ)に面した港町として、古くから大陸との交流で栄えてきました。市の中心には唐津城があり、そこから市街地や海、日本三大松原の一つであり国の特別名勝・虹の松原などの景観を望めます。また、豊臣秀吉が朝鮮出兵の拠点として築かせた国の特別史跡である名護屋城跡は唐津市と玄海町にまたがっており、全国の大名が集まった歴史を学べます。

国の伝統的工芸品にも指定されている唐津焼は粗い土を使った素朴な風合いと多彩な装飾が特徴の陶器で、400年以上の伝統があり、全国的に有名な伊万里焼や有田焼よりも歴史があります。他にも、唐津よりさらに西にある呼子(よぶこ)町では、新鮮なイカがとても有名です。

写真左:唐津城から見る虹の松原。海岸線に見える緑は全て松原になっています
写真右:呼子のイカ。とても新鮮でおいしいです!

唐津を象徴するのが、毎年11月2日~4日に開催される唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」。江戸時代に始まり、14の城下町がそれぞれ曳山(ひきやま)を持ち、その形を守り続けてきました。獅子頭や兜(かぶと)、鯛など多彩な造形の曳山は漆塗りの豪華さで、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。3日間で50〜60万人が訪れ、狭い路地を曳山が進み 、角を曲がるときの迫力や響く囃子(はやし)の音が人々を魅了し、町全体が熱気に包まれるのです。

文政2(1819)年から明治9(1876)年までに製作された個性豊かな曳山

私にとって特別なのは、平野町の10番曳山「上杉謙信の兜」(明治2<1869>年制作)です。私の先祖がこの町に住み祭りに関わっていた縁で、私も幼い頃から囃子方や曳き子として参加し、町や唐津曳山囃子保存会で笛や太鼓の練習を重ねてきました。囃子に合わせて「えんや!」「よいさ!」と声を掛け合う瞬間は、参加する人も見る人も胸が高鳴ります。私は大学院修了後は佐賀県の小学校教諭として唐津に戻り、この祭りを次の世代に受け継いでいきたいと思っています。

1944年に撮影された上杉謙信の兜。曳山の右に筆者の先祖が写っています(写真提供:木村利治)

現在私が住んでいる神奈川県の「久敬社塾」は、もともと唐津出身者のための県人寮として設立され、今も佐賀出身の学生が多く暮らす学生寮です。そこでも地域の子どもたちと一緒に笛や太鼓を練習し、毎年10月には赤獅子を模した曳山祭りを開いて、遠く離れた地でも唐津くんちの雰囲気を感じています。

2025年10月に行われた、川崎市麻生区にある久敬社塾での曳山祭り。曳山に乗る地域の子どもたち(左)と、久敬社塾の寮生(右)

町と人を結び付ける唐津くんちは、世代や地域を超えて人々をつなぐ祭りです。唐津の町は、祭り当日の迫力だけでなく、唐津焼や呼子のイカ、城下町の景観などの多彩な魅力をいつでも楽しめます。福岡市からのアクセスも良く、気軽に訪れることができるので、ぜひ一度足を運び、唐津の町と祭りの魅力を体感してみてください。

◎ 佐賀県はこんなところ ◎

佐賀県は九州の北西部に位置し、福岡県と長崎県に接している。人口は約79万人(2025年4月現在)、面積は約2,440平方キロメートル。県の北部は玄界灘に面し、南部は佐賀平野が広がっており、農業が盛ん。有明海沿岸ではノリの養殖や干潟の漁業も行われており、全国有数の農水産県として知られている。県庁所在地の佐賀市は県の中部に位置し、江戸時代には佐賀藩の城下町として栄えた歴史を持つ。また、佐賀県神埼郡には、国の特別史跡に指定された吉野ヶ里遺跡がある。

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