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アーチェリーでロス五輪を目指して! 忍耐力と再現性の高さが強み

「競技を続けられたのは、同期と切磋琢磨できる環境や、家族や友人のおかげ」

スポーツ科学部 2025年3月卒業 園田 稚(そのだ・わか)

戸山キャンパス37号館 競技スポーツセンター前にて

史上最年少の16歳でナショナルチーム入りを果たし、2019年第16回世界ユース選手権大会では2位を獲得するなど、大学入学前からアーチェリーで輝かしい成績を残してきた園田さん。入学後も2023年ワールドユニバーシティゲームズ混合金メダル、2024年アジアカップの女子団体で銀メダルを獲得、さらにパリ五輪に内定し、2024年度小野梓記念スポーツ賞受賞と目覚ましい躍進を見せました。そんな園田さんの競技人生や大学での学び、今後の目標について聞きました。

――アーチェリーを始めたきっかけを教えてください。

中学1年生の頃、地元の大分で家族と歩いていた時にアーチェリー場を見つけたのがきっかけです。体験程度の気持ちで行ってみるとそこには弓道場も併設されていて、本当はそちらに興味がありましたが、その日は弓道場が休みで(笑)。当時のアーチェリーのコーチに「弓道だと五輪は目指せないよ」「アーチェリーも楽しいよ」と言われ、実際にやってみたらすごく面白かったので、そのまま続けることになったんです。 中学2年生の時に全日本小学生中学生アーチェリー選手権大会に出場して、日本オリンピック委員会(以下、JOC)の選手育成プログラムにスカウトされ、本格的に競技人生が始まりました。

――競技人生で、つらかったことや印象的だったことはありますか?

高校生の頃、JOCエリートアカデミーの同期と。後列の左から2番目が園田さん

JOCエリートアカデミー(※)に入ってからは、それまでと生活が大きく変わりました。練習量が格段に増えたので、慣れるまでは正直つらい気持ちが大きくて…。ナショナルチームに所属するための選考会など、今まで経験したことのない緊張感の中で実力を出し切らなければならないプレッシャーと戦っていました。とにかく、がむしゃらについて行くしかないと、ひたすら練習していましたね。

でも、地元ではたった1人で練習していたので、同じ目標を持つ仲間ができたことがとてもうれしかったです。 そんな同期と切磋琢磨できる環境や、家族や友人の応援のおかげで、前向きに競技を続けることができました。

※日本オリンピック委員会が設置した、国際競技大会で活躍できる選手を安定的に輩出するための育成機関。レスリングや卓球、アーチェリーなどの中高生の選手が、寄宿生活を通して実力を磨いている。

――自身のアーチェリーにおける強み、弱みはどんなところですか?

一番の強みは再現性の高さだと思います。アーチェリーでは、同じフォームを繰り返し正確に再現することが大切なんですが、それが得意です。試合でも安定したパフォーマンスを発揮できるのが自分の武器だと思っています。 一方で、ちょっとしたミスを精神的に引きずってしまうことがあるので、メンタル面の強化は課題です。

「第23回全日本学生室内アーチェリー個人選手権大会」(2024年)に出場した際の一枚

――進学先として早稲田大学を選んだ理由は何ですか?

アーチェリーで憧れの先輩が早稲田大学に進学していたからです。先輩の話を聞いて、早稲田のスポーツ科学部なら競技に加えて、実践的に生かせる学びも得られる点に魅力を感じて進路を決めました。

「第58回全日本学生アーチェリー女子王座決定戦」(2023年)にて部活の仲間と。前から2列目、右から2番目が園田さん

高校までは練習時に常にコーチがいて指導してもらえる環境だったので、大学でマンツーマンのコーチがいないアーチェリー部に入部し、初めて自分で練習メニューやスケジュールを考えなければならない状況に戸惑いもありました。練習量を増やすことでうまくなると思っていたので、天候に左右される屋外の練習場であることをもどかしく思ったり、女子主将を務めていたにもかかわらずナショナルチームの活動のために部活に参加できない期間があったりと、難しさを感じることも多かったです。

しかし、量ではなく質を重視したメニューのアドバイスをしてくれるかつてのコーチや、海外の大会に快く送り出してくれる部活の同期に恵まれて、自分を奮い立たせながら競技を続けることができました。

早稲田のアーチェリー部には大学から競技を始めた人も所属していますが、実力差がある中でもみんなが互いに教え合う文化があるんです。初心者の部員に基本的な技術を教えることで自分のフォームを見直すきっかけになるなど、新しい気付きを得ることもできました。

――スポーツ科学部では、どのようなことを学んでいましたか?

正木宏明教授(スポーツ科学学術院)のゼミに所属し、スポーツ心理学を学びました。先行研究でアーチェリーが実験の対象になった事例を知り、選手である自分のためにもなると感じたのがきっかけです。

ゼミでは、アーチェリーの狙いを定める時間と成績の関係について研究しました。一般的には時間をかけて的を長く狙えば狙うほど正確に打てると思われがちですが、実際には勝負どころとそうでないときに的を狙う時間が一定の方が良い成績を出せると分かりました。それに気付いたことで、試合のここ一番で「狙いすぎなくてもいい」と意識できるようになったのは、大きな収穫でしたね。また、ゼミで他の競技に取り組む選手と知り合うことができたのも自分にとって良い刺激になりました。

卒業論文の完成記念に正木ゼミで。前列右端が園田さん

――今後の目標を教えてください。

パリ五輪は日本代表に内定していましたが、団体で出場枠を獲得できず機会を逃してしまいました。その悔しさをバネに、2028年のロサンゼルス五輪出場を目指します。そのために、2025年・2026年の世界大会では実力をしっかり付けて、確実に代表入りできるように頑張ります! 一方で、競技だけでなく就職した会社での仕事にも積極的に取り組んでいけたらと思っています。アーチェリーで鍛えた集中力や忍耐力はどこに行っても役に立つと思うので、社会人生活を通して競技を引退した後も生かせる力を身に付けていきたいです。

第894回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 2025年3月卒業 田邊 紗彩

【プロフィール】

大分県出身。東京都立足立新田高等学校卒業。趣味は定食屋巡りで、友人とおしゃべりをしながらおいしいものを食べるのが最高のリフレッシュだそう。お勧めのワセメシは、カッパハウス所沢のトマトラーメン。

園田さんのInstagram:@wakasonoda
早稲田大学アーチェリー部 公式Webサイト:http://www.w-archery.info/

 

 

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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