
(左から)小澤アンディさん、大泉さん、小澤ジョージィさん。戸山キャンパス 33号館にて
学生の修学をサポートするため、昨今では国や地方自治体、企業など、さまざまな団体が数多くの奨学金事業を行っています。一方で、「返済が大変」「ハードルが高い」と、申請を諦めてしまう学生も多いのではないでしょうか。早稲田大学には独自の学内奨学金が約150種類もあり、その全てが“給付型”奨学金。返済の心配は無用です。また、民間奨学金にも多くの給付型があり、学内奨学金との併給も可能(※1)です。
こうした学内・学外の奨学金に一括申請できる「春の奨学金登録(学部)」が、いよいよ2月1日からスタートします。今回は、奨学金を受給している3名の学生に各奨学金の申請の流れや受給のメリット、受給後のキャンパスライフについてインタビュー。ぜひ参考にしてみてください!
(※1)民間団体側の規定により、他の奨学金との併用が不可となる場合があります。
奨学金のおかげで、学業も課外活動も全力で取り組めています
文学部 1年 大泉 論和(おおいずみ・ときわ)
法学部 3年 小澤 アンディ(おざわ・あんでぃ)
スポーツ科学部 3年 小澤 ジョージィ(おざわ・じょーじぃ)

(左から)小澤ジョージィさん、大泉さん、小澤アンディさん
――まずは奨学金を申請したきっかけを教えてください。
大泉:私は指定校推薦で入学が決まったのですが、地方出身のため、学費や下宿の家賃など家計の負担が大きいことが気掛かりでした。日本学生支援機構から貸与型の奨学金を借りていた兄が、社会人になってから返済に苦慮している姿を間近で見ていたので、なおさら申請するかどうか悩んでいたんです。そんな時に、大学から送られてきた地方出身学生向けの資料の中に大学独自の給付型奨学金を見つけて、応募条件も合致していたので「これはチャンスだ!」と思い、申請しました。
小澤ジョ:私たちは兄弟で4歳からラグビーを続けていて、高校はアンディと一緒に地元の強豪校に進学しました。進路を決める時期になり、「憧れの早稲田のラグビー部に行きたい、日本一の文武両道を目指したい」と2人で決意し、一浪して進学したんです。とはいえ、私立大学に2人通うとなると家計の出費が大きいため、入学前に親と相談し、貸与型の日本学生支援機構の奨学金を借りることを決めていました。
小澤ア:でも、いざ入学してみると、奨学金を受けても経済的に厳しいという現実が見えてきたんです。1年生の途中で「退部か退学か」というくらいに追い込まれてしまって、2人で他の奨学金との併給を検討し始めました。
「奨学金登録」の条件が合わない場合、一般公募という選択肢も
――現在受給している奨学金の種類と、申請の手続きについて教えてください。
大泉:「めざせ! 都の西北奨学金」(学内)を受給しています。予約採用型奨学金で事前申請が必要なので、高校3年の時にWebサイトから申請フォームを入力した後、必要書類をそろえて送付しました。
特に手続きは難しくなかったのですが、親の所得証明書などの公的書類が必要なので、手間や時間が掛かります。自分の都合だけでは進められないので、内容やスケジュールをきちんと確認しておくことが大事だと思います。
大泉さんが受給中の奨学金
学内奨学金 | めざせ! 都の西北奨学金 | 対象は一都三県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)以外の国内高等学校出身の受験生。年額45万~70万円(学部によって異なる)。 |
小澤ア:私は「校友会給付奨学金」(学内)の他、ジョージィと一緒に学外の一般公募に応募して「楠田育英会奨学金」(学外)も受給しています。基本的には「奨学金登録」をすれば、学内・民間奨学金に一括で登録できます。
その後は、大学側が奨学金の趣旨や資格にマッチした学生を選抜・推薦し、いずれかの奨学金に採用されたらWasedaメールでお知らせが来るという流れでした。「校友会給付奨学金」についても、登録後は個別で書類をそろえる必要もなく、特に手続きが難しいということはありませんでした。
小澤アンディさんが受給中の奨学金
学内奨学金 | 校友会給付奨学金(学部) | 対象は全学部の1~4年生。修学上経済的に困難な学生を援助することを目的としている。年額40万円。 |
民間団体奨学金 | 一般財団法人楠田育英会奨学金 | 対象は大学2年生以上、心身健全、学力優秀かつ経済的理由により就学困難な者。月額3万円。 |
小澤ジョ:私は学外奨学金の「楠田育英会」「戸部眞紀財団」などから受給しています。
奨学課のWebサイトで学外奨学金(民間・地方公共団体奨学金)のページを見つけ、学外には公募型も多数あることを知り、片っ端から応募しました。申請は奨学課の民間・地方団体奨学金のページから各財団のWebサイトにアクセスし、基本的には書類選考と面接を経て決定(※2)、という流れでした。
(※2)奨学金の採用条件は年度によって変わることがあります。
小澤ジョージィさんが受給中の奨学金(一部)
民間団体奨学金 | 公益財団法人戸部眞紀財団奨学金 | 対象は大学3年生以上、学力優秀かつ、経済的理由により学業の継続が困難な者。月額6万円。 |
募集要項をしっかり読み、志望理由を明確にすることが大きなポイント
――申請から採用までで苦労した点、気を付ける点はありますか?
小澤ア:奨学金ごとに条件や選考のプロセスが異なるため、まずはしっかり募集要項を読むことが大事です。特に奨学金の趣旨や求める人材、併給の可否については必読です。私もいろいろな奨学金に申請しましたが、GPA基準などの申請資格が合わずに縁がなかったものも多くありました。奨学金を検討している人は、ぜひ1年生の時からGPAを上げる努力をすると良いと思います。
小澤ジョ:学外奨学金の公募締め切りは毎年4月に集中しているので、複数申し込む場合はスケジュールの管理が必要です。私もいろいろとトライしましたが、やはり書類選考での志望理由が重要だと感じます。財団の方々に支援したいと思っていただけるように、自分自身の将来のビジョンを明確にした上で、新規性や具体性を深めながら的確に表現することを意識しました。
大泉:志望理由は大事ですよね。特に学内奨学金の場合は、自分の将来のビジョンに「早稲田大学で何が学べるか、何を学びたいか」を絡めた上で、なぜその奨学金じゃないと駄目なのかがしっかりと伝わるよう表現することが大切かなと思います。
――奨学金の使い道、受給してみての感想はいかがですか?
大泉:私は学費・家賃以外の生活費をアルバイト代から支払っているのですが、奨学金はその生活費の補塡に充てています。奨学金の存在が精神的な余裕を作ってくれていると感じますし、無理なスケジュールでアルバイトを入れることなく、授業やサークルなどの課外活動にも全力で参加できています。私は将来的に世界の不平等や偏見を解決する仕事をしたいという漠然とした思いがあり、2年生からはずっと興味を持っていた中東イスラム研究コースで学べることが、今からとても楽しみです。
一方で、奨学生として恥じない行動をしなければ、という責任も感じます。学生生活の中で時にはやる気が出ないこともありますが、その責任感が「勉強も課外活動も全力で楽しもう」という前向きなモチベーションになっています。

2024年1月にエジプトへ旅行に行った時の一枚。中東・イスラーム圏に興味を持つきっかけになった
小澤ジョ:私たち2人は奨学金で学費と部費、寮費、合宿費、生活費の全てを賄っています。正直、奨学金がなかったらどうなっていたか想像できません。だからこそ、ずっと憧れだった早稲田キャンパスで授業を受けたり、上井草のグラウンドで部活に取り組めたりしていることに幸せを感じます。私には将来的に「アスリートの再雇用問題を解決したい」という目標があるので、それをかなえるためにも、今後も勉強とラグビーに全力で取り組みたいと思います。
小澤ア:校友会給付奨学金の寄付者である校友会からは、奨学生証授与式や懇親会の他、大学のボランティア活動に参加する機会もいただき、母校愛がさらに深まったと感じます。奨学金のおかげで、素晴らしい環境で授業に集中でき、夢だったラグビー蹴球部での活動も心から楽しむことができています。特に私が好きなのは、校歌や部歌を斉唱している瞬間です。自分も早稲田の一員なんだとひしひしと感じて、この大学に入って本当に良かったと思います。
ラグビー蹴球部での試合中の写真。
写真左:アンディさんがジョージィさんにパスをしている様子
写真右:背番号11番がアンディさん、14番がジョージィさん。ポジションは2人ともWTB(ウィング)
――最後に、早大生へのメッセージをお願いします。
大泉:奨学金は「ハードルが高い」と諦めている人も多いと聞きます。でも、早稲田大学には本当にさまざまな奨学金があるので、受験する高校生も在学生も、積極的に情報を収集していけば、自分に合うものがきっと見つかると思います。
小澤ジョ:奨学金の受給を通して、各財団の方との関わりや奨学生同士の交流会などの貴重な機会もあり、自分の視野の広がりや成長を実感しています。いろいろな可能性やチャンスが広がると思うので、興味のある人はぜひ申請してみてください。
小澤ア:先ほど大泉君が言った通り、奨学金という動機があると、勉強や部活もボランティアもアルバイトも、自身に恥じないよう一生懸命になれると思います。「奨学金登録」を見逃している人も多いですし、私達のように大学推薦の要件が合わなくても、自ら調べて奨学金に応募するという方法もあるので、ぜひ希望を持って頑張ってほしいと思います。
奨学金登録について
早稲田大学では、奨学金希望者は全員、定められた期日までに「奨学金登録」(Web申請および必要書類の提出)をする必要があります。奨学金登録を完了した学生の中から、各団体の奨学金の趣旨・出願資格に最も適した学生が選考・推薦されます。ただし、家計支持者の死亡・失職・災害による被害などといった家計急変の事由が発生した場合は、その都度登録が認められることがありますので、奨学課に相談してください。また、在学中に懲戒処分が課された場合、処分内容や停止期間などに応じて奨学金が廃止または停止となります。2025年度版『奨学金情報 Challenge』でも確認してください。

2025年度版『奨学金情報 Challenge』は各所属学部・研究科事務所で配布中の他、奨学課Webサイトからダウンロード可能
2025年度奨学金登録についてはこちら
取材・文:渡辺 満樹子
撮影:番正 しおり
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