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~早稲田から中国へ~現地で生活して得た、学術的知識を応用する術

インターネット領域のレベルの高さにも感銘

国際教養学部 3年 大森 貴生(おおもり・たかお)


2019年9月から2020年7月まで、中国・上海の復旦大学の新聞学院へダブルディグリー・プログラムで留学しました。新型コロナウイルスの影響で今年の1月に途中帰国することになりましたが、その後は日本にいながら現地のオンライン授業を受講し、プログラムを終了することができました。

赤を基調とした復旦大学新聞学院の校舎。新聞学院は2019年に設立90周年を迎えました

復旦大学新聞学院への留学を決めた理由は、主に三つあります。一つ目は、僕は3歳から7歳までの期間を上海で過ごした経験があり、近年の上海における経済、技術などの目まぐるしい発展や人々のモラルの変化に、僕自身の成長を投影してみたいと考えたからです。二つ目は、学術レベルの中国語を身に付けたいと思ったから。そして三つ目は、中国の大学の中でもメディア系でトップを誇る復旦大学新聞学院でコミュニケーション学を学び、日本のメディアに映る中国像とその実情とのズレを現地で体感しながら、理論的に理解したいと思ったからです。実際に上海で生活した期間は4カ月半でしたが、これらのことは達成できたように感じています。

授業の課題のためヨガの取材へ。ヨガ受講生との一枚(右から2人目が筆者)

日本に帰国して間もなく、僕は復旦大学のインターネット領域のレベルの高さに感銘を受けました。春休み終了後の3月には、既に円滑なオンライン授業の受講体制が整っていたからです。授業では、3~4人のグループ単位での論文執筆や、プレゼンテーションが課されることが多々ありました。しかし、日本にいても、グループのメンバーとのSNSでのやり取りやビデオ会議を頻繁に行っていたので、勉強に対するモチベーションが下がることはなく、メンバーに助けてもらいながら学業に打ち込むことができました。

復旦大学正門前。広大なキャンパスの移動は基本的に自転車でした

新聞学院では、現中国体制や、人々が意識的または無意識的に生活の礎としているイデオロギーを多く学べます。このような体系付けられた学術理論は、知識として蓄えるだけでなく、実際に中国の地で生活し、体感することで初めて身に付き、中国の実情に対する知見を得られるのだと身をもって理解しました。

また、今回の留学を通じて、学術的知識を生活のさまざまな場面に応用する術を学びました。例えば、「沈黙の螺旋(らせん)理論()」というメディア理論を用いて、コロナ禍において伝達される情報に対する人々の反応を分析することなどです。メディアによる偏向報道や、それに伴う世論形成の影響をさほど受けることなくファクトを眺め、俯瞰(ふかん)的に状況を分析することができるようになりました。

※人々は一般に社会的孤立を恐れるものであるため、自分の意見が多数派に属するときにそれを公的な場で表明する可能性が高くなり、少数派に属するときに沈黙する可能性が高くなる。結果、多数派の意見が多く表明され、社会における支配的意見・世論が形成されていくというマス・メディアにおける仮説理論。

現在、国際教養学部で主に哲学を学んでいますが、もともと僕はアートに興味があるので、卒業後は復旦大学で学んだメディア理論や、早稲田大学で学んだ哲学的概念を昇華させ、身体を使ったアートとして表現したいと考えています。

写真左:浙江省杭州市の霊隠寺(れいいんじ)で、熱心に祈祷(きとう)する女性。写真は「フォトジャーナリズム」の課題として提出した一枚
写真右:上海随一の観光エリア・外灘(ワイタン)。早朝にたこ揚げを楽しむ男性。こちらは「フォトジャーナリズム」の授業の一環として撮影したもの

~上海に行って驚いたこと~

はしごを宙に抱える男性と、素手で電線を触る男性。上海の電線工事の様子

上海では、電子決済サービスが日本とは比べられないほど普及していることに驚きました。留学一週目の私はまだ中国の銀行カードを持っておらず、電子決済ができなかったのですが、現金で支払おうとするとお店の方に驚かれたり、何回も偽札ではないかと確認されたりしました。上海ではいかに現金が旧式の支払い方法であるか思い知らされる経験となりました。

テクノロジーが進んでいると思いきや、街に出ると電線の工事をするのに、一人がはしごを宙に抱え、もう一人がそのはしごに乗り、素手で電線に触れながら修理していました。上海はテクノロジーとマンパワーの凄(すさ)まじさとカオスを体験できる街だと思います。

中国・上海はこんなところ

面積は約6,340.5㎢、人口は約2,420万人(2014年)。長江が海に流れ込む揚子江デルタに位置。中国最大の商工業都市であり、重要な金融センター、貿易と水運の拠点。古くから外国との窓口で、19世紀ごろには外国の租界が作られ、娯楽文化が発達し「魔都(まと)」と呼ばれた。2010年には「上海万博」が開催。東京から上海までのフライト時間は約3時間。時差は日本より1時間遅れ。

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