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コロナ禍の1年生 母親と二人三脚で「アルファベット・トランプ」を商品化 

「多くの子どもたちにこのカードで英語学習の第一歩を踏み出してもらいたい」

国際教養学部 1年 原口 桜(はらぐち・さくら)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1年生は大学に入学してからもキャンパスに通えない日々が続いています。そのような状況の中、国際教養学部1年の原口桜さんは自身の体験を踏まえ、英語教師である母親と二人三脚でアルファベットを習得するための知育玩具(がんぐ)「アルファベット・トランプ」を商品化。他にも、オンライン英会話スクールの講師を務めるなど、さまざまなことに挑戦している原口さんに、商品化の経緯やコロナ禍での大学生活、今後の目標などを聞きました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――アルファベット・トランプを商品化した経緯を教えてください。 

大学進学を機に、幼いころに使っていた玩具や教材を整理することにし、知人へ譲っていく中で、知育玩具に興味を持っている子育て世代の多さに気付きました。また、ちょうどその頃、小学3年生のいとこに英語を教え始めました。私自身、母が作ったアルファベットカードで文字を覚えた経験があり、母に同じものを再度作ってもらったところ、いとこはカードに大喜びで、トランプ遊びをしながらすぐにアルファベットの読み書きができるようになりました。

この体験を通じて、より多くの子どもたちにこのカードで英語学習の第一歩を踏み出してもらいたいと思い、母と二人で商品化することにしたのです。幼いころから貯金していたお年玉を原資に400個を製作し、7月下旬に販売を開始しました。地元の新聞「佐賀新聞」で取り上げていただいた効果もあり、最初に製作した商品はほぼ完売状態となっています。

アルファベット・トランプは、「アルファベット並べ」「ババ抜き」「神経衰弱」などのトランプ遊びをする中で、アルファベットの大文字・小文字を自然と身に付けられるという

――アルファベット・トランプの特長や製作する上で苦労したことは何ですか?

幾通りもの遊び方ができるシンプルな仕様にしつつも、カードの大きさ、材質、デザイン、文字のフォントにこだわったことが特長です。そのため、製作の過程で一番苦労したのは業者探しでした。10カ所以上の印刷業者に見積もりを問い合わせたものの、私たちの予算では大量生産ができないため、1つあたりのコストが割高となってしまうのです。一度は商品化を見送ることも考えましたが、最終的にデザインと印刷を一手に引き受け、予算内で要望をかなえていただける地元佐賀の印刷業者に製作をお願いしました。

また、私は英会話講師、母は英語教師ということもあり、教材作りには強いこだわりがあります。頭の中にあるイメージを私と母、印刷業者の方で擦り合わせ、それを商品に反映することも大変でした。例えば、理想のフォントを作るために何度もデザイナーの方と打ち合わせをしました。ミリ単位で文字の太さや跳ね方を指定したので、その度に修正してくださったデザイナーの方には頭が上がりません(苦笑)。

フォントの校正紙。英語教育に最適な書体や配色にするために、文字を書く時の手の動きを線の強弱で表現するなど細部までこだわったそう

今回、初めて商売を経験したのですが、ニーズをビジネスに生かし、購入してくださる人のことをイメージしながら製作を進めました。商品化を通じて、ビジネスは単にお金をやりとりするだけではなく、より良いモノを世界に提供できる方法であると考えるようになり、将来設計を考え直すきっかけにもなりました。

――原口さんはオンライン英会話スクールの講師も務めていますが、英語に興味を持ち始めたきっかけやカナダの高校へ留学した理由を教えてください。 

オンライン英会話スクールの講師として4歳から78歳の生徒に英会話を教えている (※写真はデモンストレーション)

本格的に英語を学び始めたのは中学1年生の時からです。母は私がおなかにいるころから英語に触れさせようと英語のCDを聞かせるなどしていたようですが、小さいころの私は英語にあまり興味を持ちませんでした。それが、中学校に入学し発音を専門とする先生から音読の仕方を教えていただいたことで、音読を通して英文に触れることが楽しくなりました。

中学2年生の時からオンライン英会話スクールに通い始め、最初は苦労したものの、少しずつ英語で意思疎通ができるようになりました。その後、地元の国際交流イベントに参加するなどして海外の方と話し、自分の知らない世界の話を聞けるのが楽しくて、「もっと広い世界のことを知りたい」「もっと私も話したい」と思うようになりました。

中学3年生の夏休みには旅行でアメリカ東海岸を訪れました。そのころには毎日のオンライン英会話のおかげで英語に自信が付いていたため、ニューヨークのメトロポリタン美術館では英語ツアーに参加してみました。ツアーでは学芸員の方の質問に対して周りの多国籍の学生が発言していましたが、私は答えが分かっても英語で説明する自信がなく、発言することができませんでした。この悔しさから日常会話だけでなく学術的なことも話せるような高度な英語力を身に付けたいと思い、海外留学を決意しカナダの公立高校で高校2、3年次を過ごしました。

2018年10月、カナダ留学時にブリティッシュコロンビア州バンクーバー島にて。ハロウィンの準備のためにカボチャを収穫(左から2人目が原口さん)

――その後、なぜ早稲田大学国際教養学部を目指したのですか。 

通学路にあった大隈重信旧宅(生家)。生家には大隈が子どものころに眠気を覚ますために頭を打ち付けながら勉強に励んだという柱(ごっつん柱)が今も残っている

留学前は、欧米の大学に進学することを考えていました。しかし、多文化が共存している国カナダで自分を見つめ直した結果、アジア文化に心引かれていることに気付き、将来は日本を生活拠点にアジア圏で活動したいと考えて日本の大学に進学することにしました。

私の出身である佐賀県は、早稲田大学の創設者である大隈重信先生の出身地です。小学校、高校の通学路には大隈先生の生家があり、佐賀から並々ならぬ努力をして活躍された方であることを知って、幼いころから尊敬していました。そのため私にとって早稲田は身近でありつつも憧れの対象でした。そのような背景もあり大学選びをする中で、日本にいながら国際的な環境に身を置きたいという思いから、早稲田大学国際教養学部が適していると考え志望しました。

――現在、なかなか思うようにキャンパスに通えない日々が続いていると思いますが、どのように大学生活を過ごしていますか。 

友人とオンラインで会話練習。来春のインドネシア語検定に向けて勉強中(写真下が原口さん)

春学期の全授業をオンラインで行うことが発表された際は、ショックで夜も眠れませんでした。授業は全て実家から受講していたため、大学の友人との交流は半ば諦めていましたが、インドネシア語の授業で出会った友人とは、授業外でも自主練と称してインドネシア語で会話練習をしています。対面で会うことはできなくても一緒の目標に向かって取り組む友人の存在はとても心強いです。

思い描いていた大学生活を送ることができず落ち込むこともありましたが、今では少し吹っ切れ、これからさまざまなことに果敢に挑戦していきたいと思っています。オンライン化により、通学時間がなくなりゆとりができたことで、自由な時間を有効に使い、現在は海外文化を紹介する自身のWebサイト上で記事の執筆など、新しいことにも積極的に取り組んでいます。

――最後に今後の目標を教えてください。 

将来はビジネスの面から東南アジア島嶼部(とうしょぶ)の国々と日本との親善に貢献していきたいと考えています。また、アルファベット・カードは現在、目標の販売数は達成しており、在庫はわずかになりました。次回発注の際は大量生産ができるよう、買い取り販売をしていただける学習塾や店舗を探していきたいです。

第771回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
教育学部 2年 長谷川拓海

【プロフィール】
佐賀県出身。高校2年次に地元の公立高校から編入し、カナダのGeorges Vanier Secondary Schoolを卒業。TOEFL iBT 101点(2020年8月現在)。自身のWebサイト「マルチカルチュラル生活。」では関心のある東南アジア島嶼部に関する情報を発信している。趣味は海外映画(インド、インドネシア)を鑑賞すること。現在は週に1回、アラビア語の書道教室に通っている。好きな本は『マレーシアの魅力 人の心の温かい国』栗山昌子著(サイマル出版会)。
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