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日本初、EU学生団体を早稲田に設立 活動で見つけた居心地のいい場所

「誰もが安心して、国際問題に関するディスカッションや文化交流を楽しめる場を作りたい」

European Horizons at Waseda University
代表 国際教養学部 3年 メイズベイロ マリア
財務 国際教養学部 4年  安井 日奈子(やすい・ひなこ)

(左から)マリアさん、安井さん

早稲田大学には世界各国から年間約8,000人の留学生が在籍し、コロナ禍以前は、キャンパスを歩けばさまざまな言語が耳に入ってきました。そんな早稲田に昨年設立された、European Horizons at Waseda University(以下、EH Waseda)は、欧州連合(以下、EU)が後援する学生シンクタンクEuropean Horizons(以下、EH)の日本初の支部です。幹部を務める二人に、活動内容や早稲田を目指したきっかけ、今後の目標について聞きました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――EHとはどのような団体ですか? また、EH Wasedaができた経緯を教えてください。

安井

EHは、米国や欧州の大学を中心に、60以上の支部を持つ学生シンクタンクで、2015年に米国・イェール大学で設立されました。EUの将来のビジョン策定に向け、各国の学生や教授などのネットワークを構築して、学界、政界、ビジネス界、市民社会との連携を図っています。

マリア

活動の一環として、毎年イェール大学で「欧州学生会議」が開催され、学生同士が欧州に対する考えやビジョンを共有する機会があるのですが、前代表のスーザン・ベーデン(2020年9月、国際教養学部卒)が留学中の2018年に会議に参加し、「日本にもこの団体を作りたい」と思ったことがEH Waseda設立のきっかけです。ベーコン・ポール教授(国際教養学部)をアドバイザーに迎え、2019年秋にスタートしました。

EHのロゴ

――お二人はなぜこの団体に関わることになったのですか。

安井

私は国際政治に関心があり、留学中の大学2年生のときにEHの活動に参加して、面白い団体だなと思ったんです。帰国後、ベーコン教授のゼミでスーザンと出会い、多様性に富む早稲田でEHの活動をすることに意義があると考えて一緒に設立しました。

写真左:日頃から「学生の今しかできないことをやろう」と心掛け、米国留学中は地域の難民支援団体でボランティアに携わった
写真右:昨年度は経済協力開発機構(OECD)でのインターンに参加

マリア

私は、ポルトガル人の父とスペイン人の母の元、メキシコで生まれ育ちました。メキシコとスペインの二重国籍を持っていて、以前からEUに興味があったのですが、メキシコではあまり勉強する機会がありませんでした。早稲田でベーコン教授の授業を受け、そこでスーザンのプレゼンテーションを見たことがきっかけでEHの活動に魅力を感じ、参加しました。

写真左:5歳のころにスペインの伝統的な装飾品を身に付けて。メキシコで育ちながらも、両親からスペイン文化に触れる機会をたくさんもらった
写真右:今年の春休みに東京在住のスペイン人の友達と、メキシコから来日した友達と3人で日光へ。メキシコ人の友達は雪を見たのはこのときが初めて。一緒に雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりして楽しんだ

――EH Wasedaにはどのような学生が所属していて、どのような活動をされているのですか。

安井

メンバーは15人で、そのうち11人が留学生です。米国やインド、ルクセンブルクなど、国籍もさまざまですね。コロナ禍の前は週に1回集まり、国際問題に関するテーマを設定してディスカッションしたり、政策立案を行ったりしていました。また、EHの公式Webサイトに掲載する記事をみんなで書くこともありました。さらに、EU外務・安全保障政策上級代表のフェデリカ・モゲリーニ氏が昨年11月に来日されたときは、駐日欧州連合代表部で行われたイベントに招待していただきました。

EU外務・安全保障政策上級代表のフェデリカ・モゲリーニ氏の来日に伴い開催されたイベント「平和・安全保障における女性と若者の役割」に参加したときの写真。(左からベーコン・ポール教授、安井さん、前代表のスーザンさん、EHメンバーのスティーブさん、マリアさん

マリア

今期は対面での活動ができず、オンラインでディスカッションしたり、PRチームがソーシャルメディアを通じて国際問題の情報発信を行ったりしています。中間試験の時期には「Peer Reviewワークショップ」をオンラインで開催し、英語でのレポートの書き方を発信していました。

Big Tech(GAFA)の社会的影響についてメンバーが書いたEH Waseda・Webサイトの記事。「このテーマはEUだけでなく、東南アジアなど世界中で話し合う必要がある」と記載。Webサイトでは、EUだけでなく、世界に及ぶ問題について発信している

安井

メンバーと会えないのは寂しいですが、オンラインになったことで、日本にいなくても協力して幅広く活動できるようになったと思います。ディスカッションも、半数くらいは海外からの参加です。できないことを考えても仕方がないので、現在の特殊な状況を生かして何ができるかを考えるようにしています。

オンライン(Zoom)での幹部ミーティングの様子

――活動する中で、楽しいことや印象に残っていることはどんなことですか。

安井

国際問題について、多様なメンバーと客観的に話し合えるのがとても楽しいです。先日、人権に関する問題の記事を読んでディスカッションをした際も、そもそもなぜ民主主義や人権を守ることが大切なのか、という話になりました。私は、人権は守るのが当然だと教わってきたので、「なぜ守るのか」と考えたことはありませんでした。また、メキシコなどでは「きちんとした教育を受けたことのない、国政についてあまり知識のない人に投票権を与え、国の将来を決めるのはどうか」という声もあるとマリアが教えてくれました。そういった自分の知らなかった意見や視点に触れられることはとても刺激的です。

マリア

EH Wasedaは、自分の興味のあることをリラックスして話し合える場所なので、楽しいです。また、オンラインになったことで、インドのシンビオシス国際大学にある支部との共同研究の機会も得ました。これは、インドがTikTokを禁止し、日本や米国でも同様の動きが出てきたことから、アジアのデジタル経済が進化する中で、欧州のポジションはどうなるのかを考察する研究で、近々共同で中国のデジタルメディアに関する記事を書く予定です。

新型コロナウイルスのパンデミックの中、香港国家安全法に対するEUの反応についてなど、EH Wasedaのメンバーが執筆し、EH公式Webサイトに掲載された記事。EH公式Webサイトには本部の許可の下、世界中のEHメンバーの記事が掲載されている

――ところで、お二人が早稲田を目指したきっかけは?

安井

私は幼少期、日本と米国を数年おきに行き来して育ちました。そのため「帰国子女」と呼ばれ、自分はどこにいても外国人だと悩むことがありました。早稲田の国際教養学部(SILS)を目指したのは、自分と同じようなバックグラウンドの人が多いので、自分の居場所が見つかるかもしれないと思ったからです。入学後は逆に、自分と異なるバックグラウンドの人と、お互いの違いを尊重し合える環境こそ居心地が良い、と思えるようになりました。今では、国籍などの枠組みを意識しすぎることはなくなった気がします。

1、2年次はパフォーマンスリーダーとして「Waseda International Fesival(WIF)」(公認サークル)に所属し、世界各地のダンスを踊っていた安井さん。入学して間もない2017年「早稲田学生文化・芸術祭」では、大隈記念講堂のステージで台湾のアミ族のパフォーマンスを披露した(左端が安井さん)

マリア

メキシコの実家の近くに、日本語や日本文化を教わることのできる学校があり、そこに入ったことで、日本に留学したいと思うようになりました。学校で早稲田を卒業した先輩に出会って、SILSがあると教えてもらったんです。私は国際問題も文化的なことも勉強したかったので、SILSは自分に合っていると思いました。けれども、日本は遠いですし、言語も全く異なるので、両親には反対されました(笑)。今は自分らしく勉強ができているので、反対されながらも早稲田に来て良かったと思います。

写真左:マリアさんは絵を描くことが好きで「絵画会」(公認サークル)に所属。副幹事長を務めている(右から3人目がマリアさん)
写真右:2019年の春休みに、絵画会の友達とメキシコへ帰省した際、テキーラという街で撮影した1枚。蒸留酒のテキーラはこの地方でしかつくれないそうで、手に持っているのはテキーラの原料となるアガベという植物

――今後の展望や、目標を教えてください。

安井

今のEH Wasedaは留学生が多いので、日本人の学生も入りやすい環境を整えたいと思っています。日本語と英語を使って、オープンな雰囲気の場を作り、映画を見たりEU各地のご飯を食べたり、メンバーが出身国について話をすることができるカルチャーイベントも企画できたらと考えています。

マリア

より多くの記事を、EHやその他のアカデミックなブログに載せられるように頑張ります。また、アジアや日本の他の大学にもEHを広げていきたいと考えています。そして、誰もが安心して、国際問題に関するディスカッションや文化交流を楽しめる場を作りたいと思っています。

第765回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
文学部 4年 我妻 はな

【プロフィール】
メイズベイロ マリア:メキシコ・グアダラハラ出身。Preparatoria Lomas del Valle UAG卒業。2020年5月からEH Wasedaの代表を務める。語学にも興味があり、早稲田では日本語、中国語、フランス語、イタリア語の授業を受け、現在は日本語能力試験N1合格に向けて勉強中。春学期は、友人と暮らす日本のシェアハウスでオンライン授業を受けた。以前は自分のアイデンティティーに悩んだこともあったが、EH Wasedaで自分と同じ二重国籍やハーフの学生たちと活動する中で、「他の人と違ってもいいと思うようになった」と話す。

安井 日奈子:東京都出身。東洋英和女学院高等部卒業。EH Wasedaでは唯一の日本人幹部として財務を担当する。留学センターのグローバル・リーダーシップ・フェローズ・プログラム   (GLFP)6期生として、米国・ジョンズ・ホプキンス大学に1年間交換留学。これまでに19カ国へ旅行した。印象に残っているのは、サークルでボリビアのダンスをしたときのリーダーを訪ねに、ボリビアとペルーに行ったことだそう。

European Horizons at Waseda University:FacebookInstagram

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