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どらま館自主ゼミ はじめの一歩は「つくる人のための演劇史ゼミ」

みんなで勉強することの面白さを大いに感じた5日間

文化構想学部 3年 増田 悠梨(ますだ・ゆうり)

2020年1月16日から20日に早稲田小劇場どらま館(以下、どらま館)が主催した自主ゼミ「つくる人のための演劇史ゼミ」に参加しました。この自主ゼミは、どらま館が学生とより密な関係を築けるようにという目的の下、はじめの一歩として企画されたものです。水谷八也先生(文学学術院教授)と「贅沢(ぜいたく)貧乏」という劇団を主宰している山田由梨さんをゲストにお招きし、自主ゼミに興味のある学生が十数人集まって行われました。

私は現在大学で表象文化論について勉強し、演劇サークルにも所属しています。今回のテーマは、私が大きな関心を持つ二つの領域にまたがっていることと、演劇に対する知識をもっと深めたいと考えていた私にとってはまたとない機会であることから参加を決めました。また、これから先、どらま館の自主ゼミがどういう場所になっていくのかを知りたいと感じたのも動機の一つです。

配付された資料

1日目は自己紹介を兼ねて演劇の好きなところや知っている劇作家を挙げることからスタートしました。その後、水谷先生が作成した年表を参照して、明治から昭和にかけて日本の演劇がどのように「演劇」として作られていったのかを学び、2日目に時代ごとにピックアップした演劇映像資料を鑑賞しました。上演自体を見ることは不可能ですが、どのような空間が立ち上がっていたのかを映像で知ることができて、とても見応えがありました。

3日目は座談会の書き起こしやエッセーを読んだのですが、その中で印象に残ったのは劇作家の如月小春氏のフェミニズム観が書かれた作品です。戯曲を書いて演出する立場としてフェミニズムにどう向き合っていくのかが非常にクリアに書かれていて興味深かったです。4日目はその如月小春氏が書いた『MOON』と、山田由梨さんが書いた『わかろうとはおもっているけど』という戯曲のリーディングを行いました。気になったことを参加者と話したことで、自分一人ではたどり着けなかった見方を知ることができて刺激的でした。

最終日は、水谷先生と共に世界史の大まかな流れをおさらいし、中世から近代そして現代の時代性について理解を深めました。神中心から人間中心の世界に変遷し、では現代は…? という話をみんなでした後、今回の自主ゼミの感想や今後の展望について話し合い、5日間の自主ゼミは幕を閉じました。

戯曲リーディングの一コマ

この自主ゼミでは、最初から最後まで歴史を一つの視座として演劇を考察したのですが、それによって今まで見えてこなかったいろいろなことが新たに浮かび上がってきたように思います。歴史を足掛かりにして、文脈の中で物事を見たり考えたりすることの重要性や楽しさを感じました。この世にこうして生きている以上、歴史という大きな文脈からは誰一人自由になることはできませんし、そこから自分を切り離すことも不可能です。文脈をしっかり捉えていくことの有用性を知ることができたのは大きな収穫でした。

また、学ぶことは一人でもできますが、5日間という時間の中で同じ人たちと空間を共有し、その都度みんなで議論しながら考えを深め、学びを積み上げていくことはとても豊かな経験でした。ただ、自分の知識不足や、思ったことを言葉にするという瞬発力のなさを痛感したので、もっと私自身が勉強しなければと思いました。今回、大学という場所があり、そして劇場を有しているという恵まれた環境の中で、一緒に勉強するということの面白さを大いに感じることができたので、どらま館の自主ゼミがさらに発展していくといいなと思っています。

南門通りに位置するどらま館(右から2軒目)は、緞帳(どんちょう)をイメージした黒い外観が特徴

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