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ひとり旅必携フリペ『たびぃじょ』 功績の裏にある“きらきらじゃない”活動

「情報を届けることでコミュニケーションを生み出したい」

教育学部 4年 中村 優花(なかむら・ゆうか)

皆さんは街なかで『たびぃじょ』というフリーペーパーを見掛けたことがありますか? 日本最大級の学生フリーペーパーの祭典「Student Freepaper Forum 2019」で50誌の中からグランプリを、「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2019」では400誌を超えるエントリーの中から観光部門で優秀賞を受賞している旅行情報誌です。その『たびぃじょ』の代表・編集長を務めた中村優花さん(教育学部4年)に、活動内容や実際の旅行での体験談などを聞きました。

※インタビューは2020年3月10日に行いました。

――フリーペーパー『たびぃじょ』はどのような冊子ですか? また、参加のきっかけを教えてください。

『たびぃじょ』は、学生団体mof.が「女の子のひとり旅準備ガイドブック」として2010年から1年に2回のペースで毎回1万部を発行しているフリーペーパーで、今年創刊10周年を迎えました。ターゲットは女子大生で読者も女性が多いのですが、メンバーが実際に国内外を訪れたレポート記事やひとり旅の心得などを掲載し、性別関係なく楽しめる内容になっています。

大学に入学して何をしようかと考えていたときに偶然mof.を知ったのですが、「ひとり旅に出たいと思っている女の子の背中を押せるような活動」というコンセプトに共感して参加するに至りました。メンバーは15名ほどで、旅行好きだけでなく、フリーペーパーを作りたいと入ってきた人もいますよ。

右端が4月に発行した最新号

――普段はどのような活動をしていますか?

活動のメインであるフリーペーパーの制作に伴う取材から編集、配布活動、協賛金を集めるための営業活動まで、全て自分たちで行っています。ミーティングは毎週土曜日の夕方に、母体となる大学がないこともあって都内のフリースペースなどを利用しています。また、旅関連のフリーペーパーを発行している他の学生団体との合同イベントや、飲食店とのコラボカフェを開いたりもしています。

――フリーペーパーを発行する中での苦労ややりがいを聞かせてください。

印刷会社への入稿前は1回のミーティングで4~5時間ほどかけて校正し、終わらなかったら家で作業することも。読者に正しい情報を適切に届けるため、妥協はしないそう

小さな団体なのでマネタイズが大変で、発行には企業からの協賛金が不可欠です。そのための営業活動に力を入れていて、今はWebサイトに掲載している電子版を活用し、読者の滞在時間やアクセス数などのデータから広告効果を把握・分析できるよう試行錯誤しています。配布では早稲田のような学生街の店舗は設置に好意的ですが、そうでない地域だと断られることもありますし、平日の取材・営業活動や入稿時期における授業との兼ね合いなど、結構苦労が多いです。地道な作業もあるので、メンバーからは「思っていたのと違った」と言われることも…。きらきらサークルではないですね(苦笑)。

そんな中で励みになるのが読者の方々の反応です。読者アンケートにぎっしりと感想を書いてくださったり、「『たびぃじょ』をきっかけにひとり旅に出た」、「おかげで〇〇ができた」、「次号も頑張って」といったコメントをいただくとやりがいを感じます。

――「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2019(以下、フリーペーパー大賞)」(主催:一般社団法人日本地域情報振興協会)の観光部門で優秀賞、「Student Freepaper Forum 2019(以下、SFF)」(主催:SFF2019運営委員会)でグランプリを獲得されましたね。

フリーペーパー大賞は、過去に最優秀賞を受賞したこともあるんです。企業や自治体が発行する媒体も対象としているためか情報面を重視する傾向のようで、情報量が多くてガイドブック的要素が強い『たびぃじょ』を今回も評価していただいたと思います。

一方のSFFは、対象が学生団体だからかビジュアル面重視の印象があるのですが、今回は冊子のみでの審査ではなく、決勝審査に公開プレゼンテーションが加わったことが大きかったですね。どういう発表をすれば審査員にささるか戦略を練り、企業とのタイアップ記事における広告の見せ方といった誌面の工夫についてはもちろん、自分たちの思いや営業活動についてなど、冊子を読むだけでは伝わらない部分をアピールしました。その結果、審査員の方からは「(営業活動のような)みんながやりたがらないけど大事なことにきちんと取り組んでいるところを評価した」とおっしゃっていただきました。そして有り難いことに、各賞の受賞後はタイアップ記事の依頼を企業側からいただくことが増えました。

――ご自身の初ひとり旅や印象に残っている旅行について教えてください。

初ひとり旅は、国内は大学1年の夏ごろに奈良へ、海外は1年の春休みに取材も兼ねてマレーシアへ行きました。マレーシアでは現地の人と仲良くなって一緒に小旅行へ出掛けるなどひとり旅ならではの出会いがあり、友達との旅行とは違う楽しさを味わいました。

印象に残っているのは中国とロシアを旅した際、北京駅で携帯電話をなくしたことです。駅員さんに「手机(※携帯電話のこと)!」と知っている中国語で必死に訴えたら伝わったみたいで、駅員さん自身の(SIMフリーの)携帯電話を譲ってくれたんです! こういった人の優しさに触れたことでひとり旅にハマりました。あの駅員さんには本当に感謝していますし、日本にいても世界のどこかを旅していても、困っている人がいたら助けてあげられる人間になりたいと思うようになったきっかけでもあります。

(左)ネパールのヒレで仲良くなった子たちが現地を案内してくれた思い出も
(右)インドのジャイサルメールでのラクダ乗り体験。夜の砂漠では満天の星空を見ることができた

――大学ではどのようなことを学んでいますか?

自分の選択肢を一番広げられそうで何でもできそうと思い、塾の先生に勧められた教育学部社会科社会科学専修(※)に入学したのですが、本当に自由で自分にもすごく合っているのでいい選択をしたなと思っています(笑)。卒論は観光社会学の観点からひとり旅をテーマに扱おうかと考えているので、『たびぃじょ』も絡めて書けたらと考えています。

(※)2018年4月入学者からは、教育学部社会科公共市民学専修に名称変更

――今後の進路や『たびぃじょ』の展望について聞かせてください。

卒業後はIT企業に就職予定で、情報を届けることでコミュニケーションを生み出せるような仕事をしたいと思っています。制作・編集や営業活動を通して、人と人とのコミュニケーションが重要であり難しい部分でもあると感じた一方で、自分が制作したものに対してリアクションをもらったり、人の行動に影響を与えることに対するやりがいを感じることができたからこそ、仕事でもそういうことに携わりたいと思うようになりました。就職先を考える上でも『たびぃじょ』の経験は大きかったですね。

『たびぃじょ』は4月発行の20号が、私が代表として携わる最後の号なんです。表紙と裏表紙で1枚の写真になっていて、女の子の後ろ側が20号までの歩み、そして見ている方向がこれからの未来を表していて、『たびぃじょ』がずっと続くというイメージで選びました。紙媒体だと設置することでいろんな方に手にとってもらえる良さがありますが、時代の流れもありますし、今後どういう形で続くかは正直なところ私には分かりません。でも、求めてくれる人がいる限りは何らかの形で続くことを願っています。

『たびぃじょ』20号の表紙と裏表紙

第753回

【プロフィール】
東京都出身。東京学芸大学附属国際中等教育学校卒業。『たびぃじょ』第20期代表・編集長。趣味は旅行と散歩。歩いているといろいろな発見があるだけでなく考え事もはかどるそう。旅行先で一番のお気に入りはネパール。ガイドブックに載るような観光地はほぼ回ったそうで、また行きたいと思いをはせる。
『たびぃじょ』公式Webサイトでは電子版やメンバーによるブログなどを掲載。「20号発行記念のキャンペーンもあるので、WebサイトやSNSをぜひチェックしてください!」
Webサイト:https://info69355.wixsite.com/tabiijyo
Twitter:@tabiijyo
Instagram:@mof__tabiijyo

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