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政経の仲間と家庭教師会社設立、国際サバイバルを生き抜く方法を伝授

「誰かと誰かをつなげる仕事ってとても魅力的です」

政治経済学部 4年 バハール イシャナズ
政治経済学部 4年 アンダーソン 金田 実

「国際的に活躍したい生徒たちのための足場作りをしたい」と国際家庭教師サービスを提供する会社、「国サバ」を立ち上げた政治経済学部4年のバハール イシャナズさんとアンダーソン 金田 実さん。会社設立に至ったのは、日本の公立学校とインターナショナルスクールの教育カリキュラムのギャップに戸惑ったという自身の実体験があったからだと言います。設立から2年を経て、現在は運営にも確かな手応えを感じているという会社は、講師も経営陣も、約8割が早大生という特異な構成。「早稲田大学だったからこそできた」と声をそろえて語る二人に、会社運営の難しさや楽しさについて聞きました。

イシャナズさん(左)と実さん(右)。二人の学び舎、早稲田キャンパス3号館にて

――お二人が始めた国際家庭教師サービス会社「国サバ」について教えてください。

会社のロゴマーク。魚が遡上(そじょう)する絵で「困難に打ち勝つイメージ」を表しているそう

イシャナズ(以下、イシャ): 「国サバ」というのは「国際サバイバル」の略称です。国際社会で生き残っていくんだという意味を込めていて、日本から国際的に活躍していきたい生徒たちのために家庭教師サービスを提供しています。対象としては、インターナショナルスクール(以下、インター校)に通っている生徒はもとより、これから海外に行く予定の生徒やインター校から公立校に移った生徒、また海外現地校から日本のインター校に移った生徒など、小中高校生を中心にフォロー学習を行っています。「これからの時代はグローバル化」といっても、どこかつかみどころのない抽象的な感じがしますが、教育を通してそれを個人のレベルに落として実践していきたいと考えて活動しています。

――会社を立ち上げたきっかけについて教えてください。

イシャ私は生まれも育ちも共に日本でした。家では親が英語で話し掛けてくれるのですが、小学校までは公立の学校に通っており日常を日本語で過ごしていたため、少したつと英語がしゃべれなくなってきてしまいました。親がこのままではいけないと考え、中学校からインター校に移りました。すると公立の小学校では良かった成績が、中学校でインター校に行った途端にガクンと下がったんです。それは自分が勉強自体ができない人間だからではなく、英語ができなかったことが原因だと、自分でもはっきりと分かりました。

国サバでは、そのときの実体験を基に、当時の自分が欲しかったサービスを提供しています。また、日本人だけど海外やインター校で勉強したいという人に向けてもこうした家庭教師サービスにはニーズがあると考えています。

僕はイシャとは全くの正反対。生まれはカナダ、母国語は英語です。幼少期は長野県で過ごしましたが、小学校の途中からはカナダで暮らしていたため、教育の基本はカナダでのものでした。高校時代に日本に戻りインター校に通ったのですが、そこでは優等生でした。でもその理由は自分が周囲より頭が良かったわけではなく、ただ英語をよく知っていて、西洋流の教育に慣れていたからでした。そのことに気付いたときに「これでいいのかな」と、自分だけ有利な条件を持っていたことに違和感がありました。

インター校は、海外の教材を用いて授業をしているのですが、日本の公立校教育とのギャップをサポートするような仕組みが当時は無かったんです。日本で生まれ育ってインター校に通っている生徒にも、自分の実力を発揮できるようにサポートできる会社がないかと考えていたところ、イシャの国サバ構想が見事にはまった感じがありました。アイデアを聞いてすぐに一緒にやらせてほしいと言い、その後2~3カ月で会社設立に至りました。

――二人の実際の体験が基になっているんですね。そもそも二人の出会いは?

イシャ政治経済学部の英語学位プログラムEDP(English-based Degree Program)に9月入学し、11月にみんなでオリエンテーション合宿に行って、そこで意気投合しました。

イシャとの出会いもそうですが、その合宿で知り合ったみんなが趣旨に共感してくれて、講師として登録をしてくれたから今があると思うと、本当に早稲田だったからこその出会いだったと振り返ってみて思います。現在も実質的に50人くらいいる講師の8割が早大生で運営している状態なんです。

EDPの学生はインター校出身者が多いのですが、日本の塾では公立のカリキュラムを基に教えるという前提があるため、たとえ優秀であっても講師として雇ってもらえないことも多いんです。一方で、国サバが対象としている生徒たちにとっては、日本の教育システムだけを経験してきている講師では物足りない面があるので、EDPの学生を雇えばマッチングとしても良い結果となります。ニーズはすごくあるにもかかわらず、これまでこうしたサービスは少なかったんです。

――会社運営にあたって工夫していることや困難はありますか?

イシャ昨今世界中で使われている小中高のカリキュラムとして国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)※があります。私自身このカリキュラムでインター校を卒業したのですが、プレゼンの仕方、レポートの書き方、文献引用の仕方、また意見を発信する積極性など、自立性が培われるような内容で、これから世界で活躍する人や大学で勉強したい人に対してもアドバンテージが高いカリキュラムだと思っています。そうした教育を経てきた講師が国サバにはたくさんいることが自慢です。

※スイスのジュネーブに本部を持つ国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラム。世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置された。

国サバの仲間と行ったクリスマスパーティー。みんな本当に仲が良いという

ですが、そうした講師を生徒とマッチングするときに、親の要望とのすり合わせでなかなかうまくいかないことも多いんです。中でも一番対応が大変なのは、自分の子どもに対して自信を持っていない場合です。どんな子でもポテンシャルはいっぱいあるのに、それを親が見えていないのがとてもつらいと感じることがあります。

そのような場合には、無料のお試しという形で実際のレッスンの様子を親にも見てもらうようにしています。講師と生徒の年齢が近いため、ほとんどの場合、指導者としてだけではなく友達・メンターとして一緒にいるような感じになり、講師と生徒が打ち解けていく様子を見ていただくことで、家庭とは違った一面を見せることができるため、親の安心につながっていると感じます。

――生徒と講師の信頼関係の構築がそのまま親からの信頼にもつながっていくのですね。

レッスンの様子

イシャはい。講師として登録するにあたって面接を実施していますが、一番重視しているのは人として共感できるかどうかです。そのため、私たちと同じようなアカデミックなことに苦戦した境遇はあるか、こういう生徒がいたらどうするか、などを具体的に聞いています。また、その人自身がロールモデルとするような先生と出会っているかも重要です。私自身、日本のインター校時代のスクールカウンセラーをはじめ、シンガポールのインター校の英語教師や、大学生になって始めたアルバイト先の塾の教室長など、その後を決定付けるような出会いがあったからこそ今があると強く感じています。

良い成績を持っていることや教え方がうまいことはもちろん前提ですが、プラスアルファで生徒とそうした関係を構築ができるかどうかを大切にしています。

入学前から早稲田はいろいろな意味で「オープンマインド」「自分と違う人に対して歓迎する力が強い」という印象がありました。実際に入ってみて一緒に授業を受けている仲間もすごく誇りに思える人ばかりですが、そうした早稲田の強みが講師陣にも表れていると思います。

――今後について、展望を聞かせてください。

イシャ大学生で起業した会社となると、これから社長として続けるに当たって、「キャリア経験はあるのか」という、子どもを預ける親側の視点にはちゃんと応えたいと思っています。夢は「これからの日本の人材のレベルを上げること」なので、それに通じる仕事として教育はもちろん、人材会社やグローバル化を目指す日本企業の研修などにも携わりたいなど、いろいろと考えています。でも国サバは副業としてでも続けていきたいという気持ちでいます。

設立から2年たって、業務のオートメーション化に成功しているため、フルタイムで従事しなくても会社は動く状態になっています。なので、国サバを続けながらも、海外企業と日本の専門家をマッチングして、日本への進出をよりスムーズにするお手伝いがしたいです。人と人をつなぐ仕事を通して、もっと日本の良いところを海外の人にも知ってほしいと考えています。

第742回

【プロフィール】

バハール イシャナズ

東京都出身。オーストラリアン・インターナショナルスクール(シンガポール)卒業。「国際サバイバル学習グループ」代表取締役社長。早稲田への入学の決め手は「キャンパスに来て一目ぼれ」。人との出会いを求めて入った大学なので、さまざまなサークルにも顔を出しており、音楽が好きで公認サークル「ニューオルリンズジャズクラブ」では4年生になった今でもボーカルとして参加しているという。昨年の「早稲田祭2018」では留学生企画が少ないと感じていたことから、自身でサークルを立ち上げミュージカル企画を実施した。また、今年の「早稲田祭2019」では国際色豊かな音楽カフェ企画を11号館学生ラウンジにて実施予定。

 

アンダーソン 金田 実

カナダ・バンクーバー出身。カナディアン・インターナショナルスクール(東京)卒業。「国際サバイバル学習グループ」代表執行役副社長。幼少期を長野県下伊那郡天龍村で過ごす。毎年秋になると稲刈り・はざ掛けの手伝いをするために帰省するという。インターナショナルスクール時代には映画制作サークルを立ち上げたり、英語ディベートトーナメントの学校代表を務めるなど幅広く活躍。趣味はドライブ、食巡り、チェロの演奏、株の投資などと、多方面に関心がある。

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