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演劇出身の早大生が監督 OB小手伸也出演映画『色の街』どらま館で試写会

「映画を撮って、演劇はすごく自由だとあらためて気付きました」

文化構想学部 4年 森平 周(もりひら・しゅう)

「演劇集団キャラメルボックス」や「劇団ラッパ屋」などの人気劇団を輩出した公認サークル「(劇団)てあとろ50’」で脚本・演出家として活動した文化構想学部4年の森平周さんが、11月公開予定の映画『色の街』で初めてメガホンを取りました。公認サークル「演劇倶楽部」出身で、現在テレビや映画で活躍中の俳優・小手伸也さん(1999年教育学部卒)が特別出演。ミュージシャンMom書き下ろしの曲が映画を彩ります。6月23日、24日に早稲田小劇場どらま館での完成披露試写上映(※)を控える森平さんに、作品で伝えたかったこと、映画製作で気付いた演劇の魅力、将来のことなど、話を聞きました。

※クラウドファンディング(映画『色の街』製作支援プロジェクト)のリターンとして開催。一般の学生は鑑賞できません。

――森平さんが早稲田大学に入学したのは、演劇をするためだったのですか?

大学に入るまで、自分が演劇に関わるとは思ってもいませんでした。僕は、好きな小説や映画を作りたいと思い、早稲田大学の文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系を目指しました。入学して、文芸サークルや映画サークルなどを見ましたが、ぴんとこなくて…。「てあとろ50’」は最初の約3カ月は全員役者として舞台に立ってから入団するシステムで、ひたすら走らされたり発声練習をさせられたりしますが、その後は役者でも脚本でも、自由に活動ができます。大学でサークルに入るなら何か手応えのあることがしたかったし、僕は役者より脚本を書いて作品を発表できる場が欲しかったんです。てあとろには演劇人として尊重してもらえる環境があると感じ、入団しました。

小手伸也さんは、物語のカギとなる中年男性役を演じる

――今回映画を製作したきっかけは? 小手伸也さんやMomへオファーした経緯も教えてください。

2017年に、演劇と映画をコラボレーションした『できない刑事(でか)』という作品を作りました。その時に城西国際大学のメディア情報学科の学生が映像担当として加わり、そこで彼らとつながりができたことがきっかけでした。

構想を練りながら、著名な役者さんに出演してもらいたいと思い、真っ先に思い付いたのが「演劇倶楽部」出身で、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)で印象的な演技をされていた小手伸也さんでした。駄目元で脚本をお送りしてお願いしたところ受けていただけることになり、本当に驚きました。撮影は、小手さんの『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の撮影時期と重なっていましたが、忙しいスケジュールの合間を縫って、主役の黒澤優介(てあとろ50’出身)と絡む重要な役どころを演じていただきました。うれしかったですね。

Momさんは僕がずっと好きなアーティストで、映画のイメージソングとして企画書に勝手にお名前を書いていたほど(笑)。オファーしたものの、まさか主題歌と挿入歌を書き下ろしていただけるとは思ってもいなかったですし、映画にぴったりの楽曲を提供いただき、感激しました。

映画『色の街』撮影風景

――映画監督を経験して、大変だったことや、映画と演劇の違いなど感じたことはありましたか?

映画と演劇では表現へのアプローチが全く違いました。演劇はみんなと作り上げていくスタンスで、変化していくことが許され、むしろそれが楽しいんです。でも映画は現場で多くの人が動くので、綿密な計画をした上で撮影に臨むことが大事だと分かりました。役者のスケジュール調整も大変で、現場で撮影内容を変更することになったりして、結局断念したカットもありました。また、今回の撮影スタッフは授業でも映画を撮っている学生たちなので、彼らの暗黙のルールと僕のやり方との違いもありました。撮影中は監督として判断を迫られることばかりで、葛藤もありましたね。

映画監督を経験したことであらためて気付いたのは、演劇はすごく自由だということです。演劇は生もので、舞台の上でリアルな時間が流れていきますが、映画は目の前にいない観客に向けて、カット割りをどう結合させていい作品にするかを考えます。そこに縛りを感じ、表現するのがとても難しいと感じました。僕は演劇は想像力だと思うんです。具体的に表現しなくても、役者と観客の想像力が合わさったときに面白さが生まれると思っていて、役者と観客の想像力を信じてさえいれば演劇は何だってできるし、これ以上自由なものはないんです。だから、映画でも役者や観客を想起させ、演劇と同じく相互作用が起こるような表現ができたら、もっと面白くなると考えています。

森平さんが脚本・演出を担当した演劇『少年は、胸が高鳴って死ぬ』のワンシーン。(劇団)てあとろ50’の創立45周年記念として、2018年5月に戸山キャンパスの学生会館で公演 Ⓒ飯田 奈海

――『色の街』は二つの時代を交差させた青春ストーリーだそうですが、作品を通して伝えたいことを教えてください。

この作品のテーマは「ありのまま」です。今の時代、「ありのままで生きたらいいよ」とか、「ありのままが幸せ」とかすごく言われますが、じゃあ、ありのままって何だろうと考えてしまいます。「それって本当に存在するのかな?」「むしろそういう風に生きようとするから苦しいのかな?」と思ったり…。ありのままがくさびみたいになっているような気がするんです。だから、自分の中にどう受け入れて進んでいけばいいのかを、映画を見て考えてくれたらと思いますし、もし悩んでいるなら、そこから解放されるきっかけになればうれしいです。

――授業では、重松清教授(文学学術院)のゼミを履修しているそうですが、今回の脚本を書くにあたり、何か影響されたことはありますか?

重松ゼミの授業はとても面白くて、街に出掛け、そこで感じたものを小説でも脚本でもエッセーでも何でもいいのですが、文章にまとめます。先生は、僕たちが書いたものに的確な評価をしてくださるので、とても勉強になります。また、授業に関係なく創作活動を応援してくださり、今回の脚本も先生に読んでいただきました。こう変えた方がいい、といったことは決して言いませんが、僕の方が先生の反応を見て手直ししたところはあります(笑)。

――最後に、今後の目標を聞かせてください。

まずは『色の街』を多くの方に見に来ていただきたいです。また、製作するにあたり映画祭で賞を取ることを一つの目標にしていたので、何か受賞できたらうれしいです。それは、関わってくださった方のためでもあるし、自分のためでもあると思っています。

今後も小説や脚本を書きたいですし、演劇も映画も、ジャンルにとらわれず作りたいです。今は仕事をしながら創作活動をしている方が多いので、僕も就職して、社会のことをきちんと学んで、ちゃんと街に出て、そこからストーリーを作っていきたいと思います。

第733回

【プロフィール】
埼玉県出身。私立武蔵高等学校卒業。(劇団)てあとろ50’では、主に脚本・演出を担当。2018年に上演した本公演『少年は、胸が高鳴って死ぬ』では、主人公を舞台上で約45分間走り続けさせ、メディア各社に取り上げられた。主な作・演出作品は『君なしでは生きていけない』(2016年)、『できない刑事』(2017年)がある。映画『色の街』は、「ありのままでいること」について、過去と現在を交差して描く青春ストーリー。(劇団)てあとろ50’出身の黒澤優介が主演・プロデューサーを務めた他、早稲田大学演劇研究会から旗揚げした「ボクナリ」主宰の榎本純、早稲田大学演劇倶楽部より旗揚げした「演劇スポーツ」主宰の内田倭史が参加。また、演劇倶楽部出身で、現在放送中のNHK連続テレビ小説『なつぞら』、TBS日曜劇場『集団左遷‼』などに出演する俳優・小手伸也氏が特別出演。現役早稲田演劇人との共演を実現させた。大学では作家でもある重松清教授(文学学術院)の「ノンフィクション・創作ゼミ」を履修している。

映画『色の街』作品情報

◆2019年11月公開予定
◆監督・脚本:森平周
◆出演:黒澤優介、矢崎希菜、安慶名晃規、小手伸也(特別出演)
◆主題歌:Mom『プライベートビーチソング』(アルバム『Detox』収録)
◆公式サイト:ironomachi.com

映画『色の街』ポスター(クリックして拡大)

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