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「世界で輝くWASEDA」のために「“ガリ勉”が輝く早稲田」を創れ!

Waseda Vision 150 Student Competition 総長賞「チーム原因を推論したい」

(左から)芳賀さん、北川さん、楠瀬さん、原さん

政治経済学部 4年 北川 梨津(きたがわ・りつ)※リーダー
政治経済学部 5年 芳賀 悠基(はが・ゆうき)
政治経済学部 4年 原 健人(はら・たけと)
教育学部 2年 楠瀬 千尋(くすのせ・ちひろ)

「大学で何してんの?」と聞かれて、「勉強してる」って答えると微妙な空気になるのはなぜ?

大学は何をするところなのか。スポーツをするところ? サークル活動するところ? もちろんそれぞれの分野で学生が輝くことは素晴らしいことだけれども、学生の本分は「学問」でしょう。そんな学問で頑張る「学部生」が注目される機会を設けるプランを考えた「チーム原因を推論したい」が、2018年度の「第7回Waseda Vision 150 Student Competition」(※)で総長賞(金賞)を受賞しました。同チームの提案「学問の活用推進パッケージ-学部生の進取の精神を支える『3本の杖』-」は、学問という大学の根幹部分を補う内容。チーム名でも審査員の目を引いたメンバー4名が目指すのは「“ガリ勉”が輝く早稲田」を創ることでした。

※)「Waseda Vision 150 Student Competition」。早稲田大学が創立150周年を迎える2032年を見据えた中期計画『Waseda Vision 150』について、学生が自由な発想で大学改革案を練り、実現に向けた企画を早稲田大学総長や審査員の前でプレゼンテーション(以下、プレゼン)する。提案された企画内容は受賞の有無にかかわらず、早稲田大学が関連プロジェクトを実行する際に参考とされる。

――「チーム原因を推論したい」という名前の由来は何でしょうか。

芳賀

私たち4人中3人が政治経済学術院の久米郁男教授のゼミ生で、久米先生の著書『原因を推論する-政治分析方法論のすゝめ』(有斐閣)にちなんでいます。この本は何らかの「政治的な現象が起きた時に、それがどのような因果メカニズムで引き起こされたのか」、つまりその結果をもたらした原因が果して何なのかを科学的に推論する作法の指南書です

北川

今回の私たちの提案のテーマが「研究」であることもテーム名決定の決め手です。「原因を推論する」マインドは、政治学だけでなく広く社会科学、さらには自然科学の研究においても重要であることから、今回のテーマにぴったりだと考えました。

――提案内容を教えてください。

プレゼン資料

北川

学部生の研究を奨励する「競争的研究助成金」を設けること。全学共通の紀要を創刊して、学部生の研究を顕彰すること。学部生が研究を発表する晴れの舞台となる「研究フォーラム」を開催すること。この三つを学部生の進取の精神を支える「3本の杖」として提案しました。問題の着眼点は良いけれど、その対策案がふわっとしていて尻すぼみなプレゼンになってしまわないように、なるべく具体的な提案を心がけました。実現可能性を感じ取ってもらうために他大学の事例を紹介しつつ、どのようなベネフィットが大学にもたらされるのかを明確に示す、ということを意識しました。紀要は費用が安い電子ジャーナルであること、「競争的研究助成金」も「研究フォーラム」も、学内の既存の仕組みで始められること、などもアピールしました。

――今回の提案のきっかけはどのようなことでしょうか。

北川

私はカナダのクイーンズ大学に留学していたのですが、そこで学部生向けに研究助成金制度というものがあることを知りました。大学院生ではなく、学部生への助成金ということに驚き、自分の中に問題意識が芽生えました。その後、国内外の学部生向け研究助成金制度について調べていきました。ところが早稲田にはそのような制度がなく、学問で輝きたいと思っている学部生がいても、そのような機会が乏しいということに気が付きました。

芳賀

早稲田祭で輝いている学生がかっこいいと感じるのは分かります。でもサークル活動だけがすごい大学でいいのでしょうか。どうすれば「学問」が輝けるのか、また学問をしている学部生が魅力的に見えるには何が必要なのか、を考えました。

――学部生は学問で輝ける場所がない、というのはどのような機会に感じましたか。

公認サークルのサポート体制はすごく充実していて、早稲田祭でも目立っていてかっこいいと言われるのに、研究をしたい学部生は大学からサポートされている気が全くしなかったのです。政治学分野でサーベイを行うとなると、簡略なものでも3万円、やや厳密なものだと50万円はかかると言われるのに、そのサポートがないのは早稲田大学としてどうなのか、という疑問から出発しました。研究内容を顕彰される機会もなく、“ガリ勉”が輝く場が少なすぎると思いました。

――勉強する学生が輝いて見えないことで、悔しい思いをされたことはありますか。

友人から「大学で何してんの?」と問われて「勉強している」「こういうレポートを書いた」と答えても、微妙な空気になってしまうんです。「どこそこのフォーラムで発表した」というような、分かりやすい指標を言えることが勉強のモチベーションには必要だと思いました。

芳賀

私はお笑いサークルに所属していたのですが、3年生になったとき「ゼミを一生懸命やりたいから、サークルは行けなくなる」と話したら、「ゼミなんて適当に単位取っておけばいいじゃん」と言われました。「いや、ゼミの勉強はサークルと同じぐらいに楽しいんだけど」と思っているのに、勉強をすることが正当に評価されない環境があるのです。

楠瀬

多くの論文や学術書を正確に読んで専門分野に関する見識を深めることが大学で期待していたことです。一回の授業の課題であっても、論文を丹念に読み込む必要があります。サークル活動に費やす時間よりも読書の時間を設けたかったので、私はサークルには入りませんでした。すると友達から「暇でしょ?」と言われます。勉強するには読書の時間が無限に必要ですので、一生懸命にサークル活動をしている学生と同じぐらい忙しいのです。しかし、なぜか勉強する学生よりもサークル活動をする学生の方が優位な立場にいる雰囲気が、大学にはあると思います。

北川

学部生の研究環境が整っている慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスに通う友人から「この前、〇〇の研究で奨学金もらったんだ」などという話を聞いて、「ああ、僕もそういう制度があればサーベイ実験とかできるのになあ」という悔しさを抱きました。オープンデータというのもあって、もちろんそれをうまく使うというのも腕の見せ所ではあるのですが、流行りの実験政治学的な研究をするとなるとやはりお金がかかってしまいます。資金がないと「お金がかかるような研究は大学院に行ってからでいいか」などと、思ってしまうのです。

――勉強で輝いている学部生を見たことはありますか。

楠瀬

私が1年生の頃に、教育学部の同じ学科・専攻にいた当時4年生の先輩ですね。今は大学院に進学されています。一つのレポートを書く際に何十冊という本を図書館の研究書庫で読み込んで、古い資料も押さえた上で、最新の研究も取り入れたレポートを書いていました。学部の卒業論文は指導教員から「修士論文のレベルを超えている」と評価されていました。彼自身は輝いていましたが、その輝きを多くの学生や教員が知らないままというのはもったいないなとも思いました。

北川

先ほど紹介した慶應の学生は学部1年生のときから独自の研究をしていて、顕彰もされていました。4年生になったときは、自分がやってきた研究に自信を持っている様子が伝わってきました。GPA(Grade Point Average)だけでなく、研究を頑張った学部生が評価される場が、慶應にはいろいろとあるのだろうな、と思いました。

芳賀

学部生への研究助成金について、慶應は大学のアピールポイントとして積極的に情報発信しています。受験生にも注目されています。そのような制度がどのように成功していったか、ということをまとめ、本として出版もしていました。

勉強で頑張っている学部生が目立たない理由としては、論文コンクールなどの客観的な評価が分かる機会がないから、ということもあります。活躍している学生の姿が目に見えない、というのは問題の大きな背景だと思います。

――プレゼンではどのようなところを工夫しましたか。

「チーム原因を推論したい」によるプレゼン

芳賀

お笑いサークルで脚本を書いていた経験を生かして、冒頭の“つかみ”をコントにしました。一般的なプレゼンはスライドを使用しますが、研究助成金がある大学の学生と、ない大学の学生を対比させる内容です。久米ゼミでは「伝え方が大事だ」ということを学びましたので、ゼミのプレゼンで得た経験も生かしました。

私が「研究費捻出のためにずっとアルバイトをしていたので、サークル活動はしていませんが、研究は指導教員からA+の評価をいただきました」とアピールするものの「勉強だけは頑張ったってことね」と言われてしまう学生を演じ、一方で北川が「大学から50万円の助成金をいただき、非常に精度の高い実験ができました。成果は大学の研究フォーラムで発表し、ベストポスター賞を受けました」と実績を話し、「すごいねえ。50万円も助成金をもらったのか。君には能力がありそうだ」と言われる学生を演じました。

楠瀬

どちらも同じように研究に意欲的で、同じように努力をしてきたのに、就職面接で差が生まれてしまった失敗例と成功例を伝えました。外部からの評価が異なってしまったその原因を推論していく、という構成でした。

――審査員に言われたことで、印象に残っていることは?

堀尾正明さん

楠瀬

プレゼンを褒めていただけて、うれしかったです。当日は緊張し過ぎて、話すのが詰まってしまったのですが、それがいい“間”となったようで、審査員の方は「見ていて『頑張れ』と思わされた」とおっしゃっていました。

北川

堀尾正明さん(フリーキャスター、第一文学部卒)からはチーム名を褒められました。「小説『君の膵臓をたべたい』みたいで、極めてキャッチーだ」と。「名前自体が面白い」と言われる思いがけない効果がありました。

――スチューデントコンペティションという制度について、どのように思いますか。

北川

大学では学生も主役ですので、学生が大学に提言する場は必要だと感じます。そういう意味で、このコンペは素晴らしい制度 だと思います。これから、もっと多くの学生を巻き込めるように規模を大きくしたり広報に力を入れたりすれば、なお素晴らしいものになると期待しています 。

第728回

【プロフィール】
北川梨津:大阪府出身。桃山学院高等学校卒業。チームリーダーで企画・立案・プレゼン内容など全般をディレクションした。大学院進学予定。
芳賀悠基:東京都出身。神奈川大学附属高等学校卒業。公認サークル「お笑い工房LUDO」出身で、久米ゼミOB。ユーモアのあるプレゼン台本を担当した。大学院進学予定。
原健人:埼玉県出身。春日部共栄高等学校卒業。チームのムードメーカー。プレゼン当日は風邪をひいて声が出なくなってしまったリーダーの役割を部分的に担った。大学院進学予定。
楠瀬千尋:奈良県出身。国立奈良女子大学附属中等教育学校卒業。プレゼンではメインスピーカーを務めた。鋭い考察で、提案内容に厚みをもたせた。
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