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琵琶湖からやってきた、かえるさん

文学学術院教授 細馬 宏通(ほそま・ひろみち)

人前で唄うようになって十数年になります。しかしちっともうまくなりません。

なぜ人前で唄うようになったかといえば、友人に誘われたからです。ギターの宇波拓とバイオリンの木下和重、二人ともすばらしい音楽家ですが、いわゆるポップスはほとんど演奏しません。なのにパーティー・バンドをやる話が持ち上がり、しかもわたしが作詞作曲して唄うということになりました。のちに、コンポステラ、ストラーダなどで名演奏を行ってきたパーカッション、クラリネット奏者の中尾勘二も加わりました。なぜかベースがいませんが、以来、このメンバーで演奏をしています。

左:かえる目4thアルバム『切符』(2016)。ジャケットは漫画家の田中相によるもの
右:仙台の至宝、「yumbo」の澁谷浩次と毎年歌を作っている。これは彼との1stアルバム『トマトジュース』

以前は琵琶湖に近いところに住んでいたので、水辺の生き物ということで、なんとなくその頃から「かえるさん」と名乗っています。「さん」は敬称ではなく名前の一部です。あえて敬称付きで呼ぶ場合は「かえるさんさん」ということになりますが、たいていの人は呼び捨てにしてくれます。かえるさんがいるのでバンド名は「かえる目(もく)」といいます。かえるの属している動物の分類名をつけたのです。

作る歌はおおよそ、なんと言うことはないそのときどきの感情のことで、どこまで唄っても報われません。報われようとしすぎる歌はどうも苦手です。以前は東京でやることは滅多にありませんでしたが、2019年に越してきたので、皆さんのお耳にかかる機会が増えるかもしれません。

「音遊びの会」。2012年、京都公演での坂口智基さん(左)と細馬の演奏

楽器は得意ではありませんが、ひとつだけ自慢できる演奏があります。それは神戸の「音遊びの会」で当時10才だった坂口智基さんとやったデュオです。「音遊びの会」は知的な障害のある人を含むさまざまな音楽家で作っている即興演奏のグループで、大友良英さんが長く関わっているのでご存じの方もいるかもしれません。智基さんとやったのも即興で、彼はドラム、わたしはトロンボーン。実は何の楽器を演奏するのかすら打ち合わせていませんでした。智基さんのプレイがすばらしく、その相手となったわたしはちょっと誇らしい。「osumo サウンドレスラー」というDVDの冒頭に入っているのでよかったら見てみて下さい。

音遊びの会DVD『osumo サウンドレスラー』

【プロフィール】京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)、滋賀県立大学教授を経て現職。 専門は人どうしの声と動作のやりとり分析、視聴覚文化研究。著書に『二つの「この世界の片隅に」』『浅草十二階 増補新版』『絵はがきの時代』(青土社)、『介護するからだ』(医学書院)、『うたのしくみ』(ぴあ)、『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮社)、『絵はがきのなかの彦根』(サンライズ出版)など。

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