#01
"行きつけ"を探しに
一杯のコーヒーから、
見知らぬ誰かとつながれるカフェ
こはぜ珈琲

――最初に訪れたのは、早稲田キャンパス正門から徒歩5分、大隈通りにある「こはぜ珈琲」。2021年にオープンした自家焙煎コーヒー専門店です。どこか懐かしさを感じる店構えで、店内では学生たちが本を読んだりおしゃべりをしたりと気ままに過ごしています。

ウッディな珈琲店らしさの中に、ギャラリーの一角があったり、漫画や絵本の棚があったり、落語会の案内があったりと、カルチャーな空気が混じるところに個性を感じます。漫画は単なる飾りという感じではなく、ちゃんと店員さんによるチョイスがされているのが見てとれて、自然と空間に溶け込んでいてすてきです!
飾っているイラストは、お店のスタッフが描いてくれたものなんです。漫画に関しては私の趣味ですが、どちらもこの店らしさをつくっていると思います。
――「こはぜ珈琲」早稲田店の店主・谷川隆次さん。東京・下北沢で本店を営む中、ご自身が生活する早稲田の街にも店を開きたいと考え、2号店となる早稲田店をオープンしたそう。
谷川さんは、SNS上の漫画で紹介されたり(後に漫画『今日のてんちょと。』として出版)、お店自体が『結局珈琲』という映画になったりと、私の中では結構有名なんです。下北沢のお店には移転前に何度か足を運んだことがあるのですが、私は一人でゆっくり時間を過ごしたいタイプなのもあって、あの独特なテラス席を利用していたので…。今日はお会いできてうれしいです。
そんな控えめなお客さんにも、早稲田店はマッチするかもしれません。しゃべる空間が多い学生街で、「個の時間も大切にしてほしい」という思いを込めてオープンしました。
良いですね。店主の目線が届く範囲にしか席がないと、「しゃべらなきゃいけないかな…」と気負ってしまうので(笑)。それでも実際は、しゃべらなくて良いんですけどね。
お店は二つのスペースに分かれていて、カウンターがある入り口側のフロアは、店員や友人との会話を楽しむ開放的な空間。奥側のフロアはどちらかというと静かで、読書や勉強に適しています。誰かが定義したわけでもないのですが、みんなが自然とそのように座っていくんです。

読書や勉強って、図書館のような静かな空間だと、かえって集中できない人もいると思います。少し人の営みがあるような喫茶店が、ちょうど良いのかもしれません。ちなみに、谷川さんは、“話し掛けてほしくなさそうな人”を見分けられますか?
なんとなく感覚で分かりますね。逆にしゃべりたい人も分かるので、「この子、今日はちょっと寂しそうだな」と感じたら、勝手に声を掛けます。基本的には「しゃべりたい人がしゃべる」というフラットな関係です。私自身も、緩いTシャツと変な眼鏡で、緊張感なく接することができるようにしています(笑)。週に4〜5回来る子も多くて、常連同士で仲良くなって遊びに来てくれるパターンもあるんですよ。
インターネットの口コミでも、「普段使いしやすい」という言葉が散見されましたが、理由が分かってきました。座席一つ一つに、いろいろな過ごし方があるんですね。
緩やかなつながりを育む、恩送りカード
「こはぜ珈琲」といえば、「恩送りカード」も有名ですよね。入り口近くの壁に貼られているのが、そのカードですか?
はい。最初は面白半分で始めたのですが、過去のカードを保管していたら、いつの間にか分厚いファイルがいっぱいになるほど集まりました。
海外の「ペイ・フォワード(※)」がベースになっているのでしょうか?
もともと海外では、別の人に「ラテ3杯」をごちそうするような文化なんです。日本は寄付の文化が希薄で、おごられるのを嫌いがちなので合わないと思い、ポイントカード式にアレンジしました。店内に置いてあるノートには、「恩送りカード」のお礼や、友人への連絡などが書かれているんですよ。
メッセージ一つ一つに学生街らしさを感じます。強制されない緩やかなつながりが、居心地の良さにつながるのでしょう。
※ 直訳すると「先に払う」という意味で、「自分が受けた恩を他の誰かに渡すことで、恩をつないでいく」という考え方
店主が薦める、
一杯と一皿
深煎りのガツンとした味わいのコーヒーが、シナモントーストのザラメ糖の甘さとマッチしますね。両方にホイップクリームがのっていますが、全然くどく感じないです。
ホイップクリームは乳脂肪分40%と高いのですが、甘さを細かく調整しています。コーヒーを飲めない学生が、ウインナコーヒーからチャレンジして、ゆくゆくはブラックを飲めるようになるケースもあるんです。
入り口に大きな機械がありますが、こちらで焙煎しているんですね。
下北沢店時代から使っている機械を導入しました。うちでは、注文を受けてからその場で豆を焙煎します。焙煎度は7段階、挽(ひ)き方は9段階から選べるので、好みに合わせて仕上げられるのが特徴なんです。
定番の「ブレンド珈琲」を深煎りにしているのは、最近では珍しいですよね。
近年は浅煎りが人気ですが、私自身の好みもあって、深煎りを選びました。豆はブラジル産をベースに、コロンビア産やインドネシア産をブレンドしています。
メニュー数を絞り自家焙煎のコーヒーを提供する、本格店としての節度がありながら、シナモントーストのホイップクリームをアイスクリームに変更できるなど、おちゃめさを感じられる設定があり、懐が深いところもすてきです。
個性をとがらせ過ぎると、使い勝手が悪くなるじゃないですか。フラッと来て、コーヒーを飲んで、何も考えずに帰る。そんなスタンスを大切にしたいんです。価格も「ブレンド珈琲」のレギュラーが380円と、結構頑張っています。
コーヒー一杯で長居しても大丈夫ですか? 学生時代はしゃべっていたらあっという間に数時間たっていたことも多かった気がするので…。
2時間たったら再注文してほしい旨は、一応注意書きしているものの、強制はしません。「思い出したら頼んでね」って感じです(笑)。
Meri’s Cafe File:
こはぜ珈琲

- 【店舗情報】
- 住所
- 東京都新宿区西早稲田1-9-13
- TEL
- 03-6233-9030
- アクセス
- 東京さくらトラム(都電荒川線)早稲田駅から徒歩4分
- 営業時間
- 月〜土曜日 10:30〜20:00
日曜日 11:00〜19:00 - 決済方法
- 現金○ カード× 電子マネー× QRコード×
- Webサイト
- www.cohaze-coffee.com
- @wasedanocohaze








