1987年、埼玉県南部の狭山丘陵に誕生した早稲田大学所沢キャンパス、通称「所(とこ)キャン」。自然環境との調和を図りながら建設された構内では、四季折々の自然を感じることができ、学業やスポーツに打ち込める環境が整っています。そんな魅力たっぷりの所キャンですが、訪れたことがない早大生も多いのでは? そこで今回、所沢キャンパスツアーの学生ガイドが構内の見どころを紹介。キャンパスのシンボルから、普段通う学生たちでも知らないであろう穴場まで、盛りだくさんでお届けします!
\所沢キャンパスのマップはこちら/
所沢キャンパスツアーガイド
大学院スポーツ科学研究科 博士後期課程 2年 山口 龍星(やまぐち・りゅうせい)
大学院人間科学研究科 修士課程 2年 宮澤 希(みやざわ・のぞむ)
人とペガサス像

人とペガサス像をバックに。(右から)山口さん、宮澤さん
山口
スクールバスを下車して目に飛び込んでくるのは、正門そばにあるブロンズ像。スウェーデン出身の彫刻家カール・ミレス(1875~1955年)による作品です。「若い学生たちに生命力を与えよう」という考えから、青年とペガサスが何かを求めて飛び回っている様子を表現したこの像が生まれたそうです。
織田幹雄記念陸上競技場/多目的グラウンド(野球場)
山口
「人とペガサス像」を背に進むと、左手に見えるのが織田幹雄記念陸上競技場。早稲田大学の第1回スポーツ功労者・織田幹雄氏の生誕100年を記念して2005年に命名された、競走部のホームグラウンドです。日本陸上競技連盟公認の競技場で、ここで結果を出せば公認記録として認められます。
宮澤
一方、右手に見えるのが野球場。明治神宮野球場とほぼ同じ大きさの本格的な野球場です。ソフトボール部が練習で使う他、芝生ではサッカーなどの実技科目も行われる多目的グラウンドでもあります。
100号館(教室・研究棟)
山口
主要校舎の100号館は、実は迷路をモチーフに作られました。丘の斜面に逆らわない設計で、1階~4階それぞれから地上へ出入りでき、教室の位置は校舎を縦に分けたA~Gの「ゾーン」区分で表記されています。そのため、現在地が少し分かりにくく、僕も入学当初はよく迷いましたね…。
宮澤
特徴的な教室といえばA212教室。普段はオンライン授業を受ける学生向けに開放されています。心地の良い椅子に座り、落ち着いて授業を受けられますよ。
写真左:「C427」は、100号館内のCゾーン4階、427教室を表す案内板
写真右:A212教室は講演会や博士論文の審査会などにも使われている
所沢図書館
山口
一般教養に関する図書のみならず、人間科学やスポーツ科学に対応した図書を数多く収蔵。そのため、レポートや卒業論文のために多くの所キャン生が利用しています。もちろん、蔵書検索システム「WINE」を使えば、他キャンパス・他大学にある本なども取り寄せられるんです。
宮澤
館内には、大人数でミーティングできる「プレゼンテーションエリア」や「グループ学習室」もあって、ゼミやグループ学習、卒業論文の指導などでよく使われています。
【所キャン豆知識①】
宮澤:私の所キャンお気に入りスペースは、図書館窓際の自習スペース。目の前に緑が広がり、季節の移ろいが感じられます。野鳥もすぐそばまで来てくれるんですよ。
食堂
- 学生第一食堂(所沢食堂)
- 学生第二食堂(木の食堂)
山口
所キャンには二つの食堂が。所沢食堂は十分な席数があり、いつも学生でにぎわっています。ボリューム感のあるメニューで、14時頃に割引サービスが行われることも。勉強やスポーツに励む所キャン生を応援してくれています。
宮澤
一方、木の食堂は、テイクアウト商品などを持ち込める、飲食可能なフリースペース。オンライン授業向けにも開放されていて、レンガ調の背景を映してオンライン授業を受講する…なんて学生もいます。
保健センター所沢分室(診療室)
山口
通常の応急処置に加え、「スポーツ障害相談」「心療内科診療」「栄養相談(オンラインのみ)」も受け付けています。普段、診てもらう機会がない業界トップの医師などに診察・相談・処置してもらえるのは、アスリートが多く通う所キャンならではでしょう。
★それぞれの診療・相談ができるのは、担当者が勤務している時間に限られます。スケジュールはこちらを確認してください。
101号館(教室・研究棟)
宮澤
「一枚の葉」をモチーフとしたアーチ状の橋を渡った先にあるのが101号館。人間科学学術院の心理系・福祉系の研究室が数多くあります。1階にある「スポーツ医科学クリニック(※1)」のオフィスでは、アスリートがけがをして競技に復帰するまでを担当する、リコンディショニング相談などを受け付けています。
(※1)スポーツ科学部における教育・研究を効果的に融合発展させるため、所沢・東伏見キャンパスの開設に伴ってスタートした活動。詳細はこちら。
写真左:1階にあるのは、天井が高く開放的なラウンジ
写真右:ラウンジの壁面には、校友(卒業生)でアーティストの清水研介氏(1996年人間科学部卒)の作品が
105号館
スポーツホール
- 第一実習室
- 第二実習室
宮澤
各種スポーツやコンディショニングに利用されている、面積5,400平方メートルを誇るスポーツ施設です。球技・武道で使う「第一実習室」だけでなく、マット・器械運動用の「第二実習室」もあるので体操の授業でも利用されています。
トレーニングルーム
山口
本格的なトレーニングマシンが豊富に設置されています。授業や部活動だけでなく、一般学生のトレーニング用に開放されている時間帯もあるので、僕もリフレッシュを兼ねて週2日くらいは利用していますね。
★個人利用にあたり、予約は不要ですが、初回利用時に利用者登録および講習の受講が必要です。詳細はこちらを確認してください。
【所キャン豆知識②】
山口:トレーニングルームでは、アスリートのコンディショニングサポートに取り組む学部生を見かけることも。彼らは、アスリート指導に特化した国際認定資格「CSCS(Certified Strength and Conditioning Specialist)」の取得を目指しています。この資格は高度な専門知識が求められ、「CSCS」などを養成する教育機関と認定された大学の学生(※2)のみ出願できます。早稲田大学も認定校の一つで、僕も2023年5月に取得しました。
(※2)早稲田大学の場合、スポーツ科学部4年生以上の在学生または卒業後3年以内の卒業生。
MRI室
山口
主に、スポーツ医科学クリニックの「整形外科相談」で使われています。所キャン生でもここの存在を知らない人がいるかもしれませんね。一般的なものよりも短時間、かつ診断能力の高い画像を提供できるMRI装置があり、最先端のスポーツ科学研究のために使用されることも。
宮澤
MRI室の隣には、整形外科の医師が利用する骨密度の測定室があり、アスリートのトレーニング量や食事が適切かどうかを診断できます。地域の実業団選手がメディカルチェックに来ることもあるんですよ。
106号館
アクアアリーナ

写真提供:早稲田大学水泳部
山口
大学施設初の日本水泳連盟公認施設です。水泳部の練習や、水泳の授業などで使われる他、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や今年の世界水泳では、イタリア代表選手団の事前トレーニング場所としても利用されました。
大隈重信胸像
宮澤
最後に紹介するのは、キャンパスのほぼ中央にある、早稲田大学の創設者・大隈重信の胸像です。卒業・入学シーズンには記念撮影する学生の姿をよく見掛けます。手の届くところにあるのが早稲田キャンパスとの大きな違い。所沢キャンパスに来た際には、胸像のすぐそばで撮影してみてくださいね!
取材・文:流石 香織
撮影:布川 航太
【所キャン豆知識③】自然環境調査室
総務部自然環境調査室 職員 竹内 大悟(たけうち・だいご)
自然環境調査室は1987年、所沢キャンパスとともに誕生し、校内にある自然環境の保全管理と、調査研究を目的に活動しています。現在、B地区(※3)の林と湿地帯への立ち入りは原則禁止としていますが、湿地保全活動として年10回ほど実施しているボランティア活動に参加することで、早大生の皆さんもこの場所を体験できます。参加学生の中には、現地の調査補助のアルバイトとして継続的に活動してくれる方もいるんですよ。
「早稲田は都会」のイメージを持つ人が多いと思いますが、ここは緑豊かで全く異なる雰囲気を味わえます。ぜひ所沢キャンパスに来て、歩いて、新たな刺激を受けてみてください!
★11月11日(土)には、じねんじょ掘りを実施予定。参加申し込みなど、詳細はWebサイトから。
写真左:B地区にある雑木林。林床の草刈りや萌芽更新(年を経た樹木を伐採し、雑木林の若返りを図ること)によって維持されている
写真右:湿地保全活動での稲刈りの様子(2022年)
(※3)所沢キャンパスには二つの地区があり、建物や運動場が集まるA地区に対し、B地区は開発は一部にとどまり、豊かな自然が残っている。
▼10月22日(日)に実施される所沢キャンパス祭についてはこちら!
【次回フォーカス予告】10月16日(月)公開「創立記念特集」