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今新たに問う「早稲田祭らしさ」 早稲田祭2020オンラインで本領発揮

早稲田祭の歴史の中で、初めてのオンライン開催となる「早稲田祭2020」。その裏には、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めながらも、約200もの参加団体の日頃の活動成果を発信すべく、日夜奮闘する「早稲田祭2020」運営スタッフの活動があります。11月7日(土)・8日(日)開催を目前に控え準備に励む運営スタッフの代表陣に、開催に懸ける思いを聞きました。

(左から)代表の福島さんと、早稲田祭2020開催の要ともいえる新型コロナウイルス感染症対策の担当となった第三副代表の箕田さん

「早稲田祭2020がゴールではなく、何かが始まる場にしたい」

「早稲田祭2020」運営スタッフ
代表 政治経済学部 3年 福島 陽(ふくしま・ひなた)
第三副代表 政治経済学部 3年 箕田 和記(みのだ・かずき)

――史上初のオンライン開催となる早稲田祭2020ですが、その狙いや学生に感じてほしいことは何でしょうか?

福島:1年生の中には、キャンパスに来る機会もなく、学生同士の交流がままならない状況で、「自分が何者か分からなくなってきた」と悩む学生もいると聞きます。だからこそ、今回のオンライン早稲田祭を通して、「自分も早大生で、この大学の一員なんだ」ということをあらためて実感してほしいと考えています。

上級生の場合も、ほとんどのサークルが春学期は思うように活動ができなかったことで、せっかく早稲田にいて何かを成し遂げたいのに、何もできない。何かしようとすればSNSでたたかれかねない。そんな風潮の中、やり場のない鬱屈(うっくつ)した思いを発散するためにも、早稲田祭という年に1度の大規模な文化活動発表の場がやはり必要だと思うんです。オンラインであっても早稲田祭を作り上げることに、皆の思いを存分にぶつけてほしいと願っています。

早稲田祭2020オンライン開催決定の発表動画

――準備段階でもさまざまな「初めて」に直面していると思います。企画立案からここまでの過程で、特に大変だったことは何ですか?

福島:大きく3つあります。1つ目は「Webシステム」の部分です。昨年までは延べ約20万人の来場者をうまく誘導し、事故が起きないようにすることが最大の責務でしたが、そこから一転、約300企画を公開する早稲田祭2020公式サイトをどう構築するか、サーバーが落ちてしまった際のシミュレーションなど、これまで経験したことがないことばかり。歴代運営スタッフの先輩方のサポートもいただきながら取り組んでいますが、まだまだ当日まで気の抜けないことばかりです。

2つ目は「感染症対策」です。ガイドラインを独自に作成し、大学と保健所の双方からの許可を得るまでは何度も修正を重ね、内容的にも苦労しました。

3つ目が「学園祭らしさ」「早稲田祭らしさ」をどう作り上げるか。オンラインだからといって、そうした「らしさ」が失われてはいけない。他大学の学園祭やオンラインイベントとは違う早稲田祭らしさ、早稲田文化らしさをどうオンラインで視聴者に届けるのか、という点は特に大きなチャレンジです。

約600人にも上る「早稲田祭2020」運営スタッフをまとめる代表陣と各局局長。全体を統括する代表および3人の副代表の下、実行部隊である9つの部門ではそれぞれ局長が指揮を執っている

――その「早稲田祭らしさ」とは具体的に何でしょうか?

福島:まずは、「来場者との交流」です。この点は、LINEの「オープンチャット」という機能を使い、参加団体と視聴者とが相互に発信でき、交流ができるシステムを整えています。

そして、早稲田祭といえば「カオスさ」も外せません。例えば、10号館前のステージを見ればキラキラしたアイドルサークルがダンスを踊り、かと思えば、屋内では研究系サークルが熱く語り出し…と、同時多発的にさまざまな企画が発生していることが早稲田祭らしくて私はすごく好きなんです。

箕田:こうした「カオスさ」は、むしろオンラインでこそ充実できると考えています。従来の早稲田祭であれば、別の企画を見るために移動しようとするだけでも、人の波をかいくぐることで疲れてしまうケースもあったと思います。でも、オンライン化によって、それぞれの発表企画はチャンネルで分かれつつ、クリック一つで違う企画を楽しむことができる。同時多発性は逆に担保できたと思っています。

「早稲田祭2018」メインステージである大隈記念講堂前ステージの様子(左)
「早稲田祭2019」来場者数は2日間で延べ約20万人。場内誘導は例年苦労していた点だという(右)

――先ほども話題に出た感染症対策ですが、具体的に大変だったことは何でしょうか?

箕田:当日、観客の来場はないといっても、参加団体の学生を含め約5,000人が早稲田キャンパス、戸山キャンパス内に集まります。そこで5月頃から大学とさまざまな調整を重ね、早稲田祭2020独自のガイドラインを作成しました。

作成にあたっては、特定業種ごとに公表されている多様なガイドラインを参考にしました。演奏や合唱ならばこう、パフォーマンス系ならばこう、チアリーディングだったらこう…と、早稲田祭2020におけるさまざまな企画、活動に即したガイドラインを学生生活課や総務課の方々と擦り合わせて作り上げていきました。

ガイドライン作成以外でも、早稲田祭規模の除菌・消毒には約270リットルのアルコールが必要です。80%以上の濃度になると危険物第四類に分類されるため、消防署の監査も受ける必要があるといった、当初は想定していなかった準備や許可取りがいくつもありました。

本当に大変な作業でしたが、根気強く資料を作り上げたことで、大学の承認を得た後に新宿保健所に持って行ったところ、「とてもしっかりした内容です」とお褒めの言葉もいただきました。

箕田さんを中心に苦労して作り上げた「ガイドライン(初版)」は20ページにも及ぶ(クリックして詳細)

――さまざまな準備を重ね、いよいよ本番が近づいてきました。あらためて、オンラインだからこそ特に重視していることは何でしょうか?

福島:オンライン開催に踏み切ったときから意識していることがあります。それは、「例年の早稲田祭の代わりの手段としてオンラインがある」という気持ちではダメだ、ということです。それでは従来の早稲田祭は絶対に超えられない。オンラインで開催するのであれば、オンラインならではの新たな魅力を私たち自身が見付け、かつ、それを来場者にも感じてもらう必要があると考えています。

――「新たな魅力」というと?

昨年度の「早稲田祭2019」運営スタッフ。「早稲田祭2020」運営スタッフは全体での顔合わせが難しく、開催日当日に初めて対面するメンバーもいるそう

福島:いくつもありますが、やはりオンラインならではの「いつでも、どこでも」という部分。これまでの早稲田祭は人が多いだけに、子連れの方や身体の不自由な方は来にくい学園祭だったとも言えます。でも今回、オンライン開催にしたことによって、校友(卒業生)の方からも「子どもと一緒に見ます」「今、アメリカにいるので、現地から視聴します」といった声が多数寄せられています。

同時にそれは、早稲田の発信力を全国に、そして世界中に届けるチャンスでもあるはずです。例えば、北海道から沖縄まで、全国各地の高校生に向けた情報を発信することもできます。また、留学生向けのコンテンツを提供するなど、「早稲田らしさ」を全世界に向けて届けられる可能性もあります。これは、オンライン開催ならではの大きな魅力です。

――「今、新たに」というキャッチコピーにも通じる部分ですね。

「早稲田祭2020」のキャッチコピー

福島:実はこの「今、新たに」というキャッチコピーは、コロナ禍になる以前の昨年12月には決まっていたものです。ここ何年かの早稲田祭は過去の模倣や踏襲がほとんど。継承していくことも大事なことですが、やはり2020年でなければできない、私たちの代ならではの学園祭を作りたい! という思いで「今、新たに」という言葉を選びました。

そしてもう一つ、「今、新たに」の言葉に込めた意味があります。学園祭は、これまでの練習の成果や活動の集大成として、多くの人にとって「ゴール」と思われがちです。でも、早稲田祭を終着点にするのではなく、「ここから何かが始まる場」にしたい。

例えば受験生なら、早稲田祭で頑張る早大生を見て、「自分もここに入りたい」と思ってもらえる何かを生み出したい。早稲田祭から活力がもらえる、前に進むきっかけになる…つまり、早稲田祭から新たな何かが始まる。

結果的に新型コロナウイルス感染症によって、「オンライン開催」という、まさに新しい形になった早稲田祭2020ですが、「今、新たに」に込めた初志は変えず、本番を迎えたいと思います。

取材・文:オグマナオト(2002年、第二文学部卒業)
Twitter:@oguman1977

「早稲田祭2020」オンライン開催概要

そもそもオンライン開催とは?

以下の2通りの方法にて参加団体・参加者の企画をオンライン配信します。

①当日のリアルタイムライブ配信
早稲田キャンパス、戸山キャンパスの屋内施設にて、主にYouTube Liveを使用してリアルタイム配信を行います。60~70企画を同時に生配信するので、例年同様の「カオスさ」を自宅でも体感できます。一部企画では、Zoomやラジオなどの異なる媒体も使用します。(※早稲田キャンパス、戸山キャンパスでの鑑賞はできません。)

②事前収録動画の配信
参加団体・参加者が事前に動画を撮影・編集し、早稲田祭2020開催の2日間限定でYouTubeにて配信します。

オンライン開催に向け、例年とは全く異なる準備の様子

日時:2020年11月7日(土)・8日(日)両日10:00~17:00
公開場所:早稲田祭2020公式サイト(https://www.wasedasai.net

◆公式Facebook:Wasedasai
◆公式Twitter:@wasedasai
◆公式YouTube: Wasedasaiofficial
◆公式Instagram:@wasedasai
◆公式TikTok:@wasedasai
◆わせだサイくん公式Twitter:@wasedasai_kun

今年の早稲田祭はここが違う!

さまざまな制約が課せられている「早稲田祭2020」。そんな状況を逆手にとった今年ならではの注目ポイントを、第一副代表の増田祐貴さんに紹介してもらいました。

「早稲田祭2020」運営スタッフ
第一副代表 政治経済学部 3年 増田 祐貴(ますだ・ゆうき)
大隈講堂VR美術館

「大隈講堂VR美術館」とは、早稲田大学のシンボルで国の重要文化財でもある大隈記念講堂を、4K画質のVR空間に再現し、その講堂内を回りながら展示物を見ることのできる企画です。オンラインならでは、かつ、他大学の学園祭では見られない企画となっています。これは例年であれば出版物や作品の展示を行っている団体の企画場所を、VRの大隈記念講堂に移し、美術館に見立てて飾ります。アプリのインストールなど、事前に必要な作業はなく、サイトにアクセスするだけで、普段なかなか入る機会のない大隈記念講堂内を体験できます。他にもさまざまな団体の衣装を展示する「VRファッションショー企画」も行われます。

LINEオープンチャット

早稲田祭2020はオンライン開催のため、来場者と参加団体・参加者、また来場者同士が交流する場が失われてしまいました。そのような状況下で、相互にコミュニケーションをとる場としてLINEオープンチャットを導入しました。具体的な役割としては、26のジャンルごとにオープンチャットを作成することで、来場者(視聴者)が自分好みの企画情報を、好きな時間に自由に収集することが可能となります。それだけでなく、参加団体が自身の企画の広報を積極的に行うことや、来場者(視聴者)から団体への応援メッセージなどを発信することもでき、早稲田祭2020を存分に楽しめる方がさらに増えるのではないかと考えています。

ワセメシコラボ

クリックして拡大

地域の飲食店の協力により、早稲田祭2020のキャッチコピー「今、新たに」とテーマカラーの白と黒に関連したコラボメニューを期間限定で販売します。今年度は、以下の店舗から合計8種類のメニューが登場です。

・油SOBA専門店 図星/油SOBA・かき氷専門店 図星はなれ
・キッチンミキ
・GOOD MORNING CAFE 早稲田
・炭焼丼専門店 どんぴしゃり
・東京麺珍亭本舗 高田馬場店、鶴巻町本店、西早稲田店
・Whistle CAFE
・武蔵野アブラ學会 早稲田総本店
・麺爺 あぶら

早稲田に来た際はもちろん、デリバリー形式で注文できるメニューもありますので、お好きな形でお楽しみください!

早稲田理工の学園祭「理工展」もオンラインで同日に開催

理工展連絡会
代表 先進理工学部 3年 船坂 駿太郎(ふなさか・しゅんたろう)

オンライン理工展では、Webサイトやアプリを用いた企画掲載を行います。理工らしく、アカデミックな企画の数々を今年はバーチャルキャンパスで臨場感を持って楽しむことが出来ます。どうぞ、新しい理工展をご自宅でお楽しみ下さい。

「第67回理工展」概要
日時:2020年11月7日(土)、8日(日)両日9:00~20:00
公開場所:理工展公式サイト(https://www.rikoten.com/
     理工展公式アプリ(https://app-2020.rikoten.com/

◆公式Twitter:@rikoten_waseda
◆公式Instagram:@waseda_rikoten

【次回フォーカス予告】11月9日(月)公開「研究室の今特集」

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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